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帰り道

「フェス、今日はありがとな」


「どういたしまして」


 俺達は神殿で説明を聞いたり諸々の手続きをして、家に戻るところだ。


「神殿の感想は?」


「『お〜、神殿』って感じだったな〜」


「大雑把な感想ですね」


「ま~、でも緊張するな。

 あと、綺麗すぎて落ち着かないし。

 1回行けば十分な観光地みたいな」


「1回しか行かないんですか?」


「本とか読んでみたいから、行くけど。

 ささっと見て、あんま行かないかもな」


「訓練室とか使わなくていいんですか?」


「それは外でやればいいかなって」


「神殿に興味はわきませんでしたか」


「そうだな」


「オリらしいですね」


「あとさ、あの神官長さんが魔法の才能を与えたのは『神』とか『神に選ばれた』とかさ、なんか合わないなって」


「はははっ……

 いかにも神殿関係者が言いそうなセリフ言ってましたね」


「おお、引いちゃったもん」


「あははっ……」


「なんでそんなに笑ってるんだ?」


「いや、神官長も損な役回りだと思いまして」


「ええ……?」


「あの人あれを真面目に言ってるわけではありませんから安心して下さい。

 パフォーマンスみたいなものというか」


「パフォーマンス?」


「ああいう事言うと、それっぽくないですか?」


「ぽいな」


「ああいう事、ああいう感じで言う係ですから」


「係?」


「神殿にいると、ああいうのが求められるんですよ」


「ええ……」


「大変ですね、神官長も。

 神官長は神殿の中でもかなりゆるい方ですよ。

 ゆる過ぎるくらいゆるい。

 選民意識とかないので安心して下さい」


「そうなの? あの感じで?」


「あの感じだから、皆騙されますね。

 どちらかというと、騙されていたい人のニーズに応えているというか……

 そうならざると得ないというか」


「なんだそれ」


「勝手に期待されて、違うと勝手にがっかりして……

 皆が思う神官長してるのが一番楽で皆も嬉しい。

 ということに気づいて、今の形にしたらしいですよ。

 若い時は悩んだ時期もあったりなかったり」


「なんでフェスがそんな事知ってるんだ?」


「叔父ですから」


「はっ?!」


「叔父です」


「いや、聞こえてた」


「似てませんか?」


「似てる〜……」


「ね」


「ね。じゃない!

 そんな感じまったくなかったじゃんか。

 恭しくお辞儀なんかしててさ」


「多くの神殿関係者には秘密なので」


「今、凄い普通に言ってるけど。

 聞いてもないのに言っちゃってるけど」


「オリならいいかなって。

 言いませんよね?」


 ウィンクしてくるフェス。


 ウィンクうまっ。

 よく似合いますわ。

 俺がやったら両目閉じるね。


「言わないけど」


「叔父のたくあんぬを超えるたくあんぬを作ることが、私の夢です」


「神官長になるとかじゃないのかよ」


「なんの罰ゲームですか。

 あんなのやってる人の気がしれません」


「叔父さん可哀そ」


「叔父はお人好しですから。

 優しすぎていけませんね」


 フェスが神官長を思って遠い目をする。


「フェス……」


「くっ……叔父が近くにいれば、あのたくあんぬがいつでも食べられるのに!」


 くっ……じゃない。

 たくあんぬのこと思ってたんかい。


「私も神殿は好きではないので、あまり近づきたくないんですよ」


「そうなの? 神殿めっちゃ似合ってたけど」


「分かります。私、神殿顔なので」


 なんじゃそら。


「叔父と極少数の者以外、選民意識が強い集まりなので、面倒くさいんですよ。

 そして悪い人たちなわけではないので、よりやっかいというか」


「魔法使える人少ないからそうなるのかな?」


「そしてそういう人達に限って、この手の顔を好むのです。平凡な顔のオリが羨ましいです」


「嘘つけ」


「こんな事で嘘などつきませんよ」


「どうせ平凡顔ですよ」


「神殿にいる魔法使いも結婚するわけですが……」


「なんだよいきなり」


「えてして、この手の顔と結婚しないのですよ」


「はぁ?」


「私の父を見たら驚きますよ。全く似てないので。

 母には悪いですが、父みたいな顔が良かったなぁ」


「へ〜、そうなんだ。

 てことはお母さんが神官長の?」


「はい、姉です」


「え?! 神官長って弟なの?

 お兄さんっぽいのに」


「中身は弟脳ですよ。

 だから向いてないんです神官長とか」


「へ〜、聞いてみないと分からないもんだな。

 なんか、イメージ悪い感じで言ってごめん」


「いえいえ。

 多くの者はあのセリフを聞いて喜びますから。

 オリが胡散臭いと言っているのを知ったら喜びますよ」


「そこまでは言ってない! 言うなよ!」


「はいはい」


「フェスの家族か〜。会ってみたいな〜」


「機会があれば会えますよ。街にいますし」


「そうなの?」


「はい」


「なんでシェアハウスいるんだ?」


「15歳の時に神殿に入りたくないって言ったら、じゃあ家を出ていくしかないってなりまして」


「え?! 神殿って入らなきゃいけないのか?」


「才能もあるし、神殿顔なので」


「自画自賛すごいな……」


「皆からそう言われて育ってきたので」


「よくその仕上がりになったな」


「親の教育の賜物ですね。

 勘違いするなと言われ続けてきました。

 よくグレなかったと思います」


「ほえ〜」


「顔があほっぽいです」


 ほっとけ。


「家にいると神殿に入れと関係者がウチに押しかけて来るので、嫌気が差しまして」


「は~、大変なんだな」


「話せばキリがありませんが、愚痴っぽくなってしまいましたね。

 家族以外でこんなに話したのは初めてです」


「神殿の話しは他ではできないもんな……」


「はい。なので、これからも愚痴聞いて下さいね」


「ははっ! どんと来い!」


 なんて、話してたら家に着いた。


「「ただいま〜」」


(盗み聞きのようになってしまいました)


 内緒だぞ!


(ではまた次回)

歩きながらってめっちゃ話しますよね。

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