覚悟できてなかった男の話(2)
主人公たちはマジです。
覚悟の上、真面目に取り組もうとしていますが
残念ながら下ネタ回になっております。
「ちょっ……まっ……やめっ……」
(どうですか?)
「あっ……」
どうですか? じゃない!
「なんだよっ……これ」
ぜえぜえ……
(念話です)
「んっ……」
そ、それはわかったけど!
こ、この感覚はなんなんだよ。
「あなたが感じたとおりです」
か、感じたとか言うなよ〜。
「き、聞いてないぞ」
「私はオススメしませんと言いました」
「具体的に言えよ」
「さすがに憚られまして。
念話をすると、性的に近い快感を得る。
なんて言い辛いです」
は、恥ずかしい。
聞いたものの、説明されるとめっちゃ恥ずかしい。
穴があったら入りたい。
「なんて下品な」
「その穴じゃないっ!」
あっ、なんて最低な会話。
「泣きたい」
「どうぞどうぞ」
しくしく……
「何も本当に泣かなくても」
「泣かないでいられるか! こんな辱めを受けて!
こんなんになるって知ってたらやってない!」
「あなたには覚悟が足りません」
「はぁ?!」
「私は『覚悟はいいですか?』と言いました。
あなたは『来い!』と言った。
なのにこのザマです」
「それとこれとは違っ」
「違いません。あなたはあまりに軽率です。
これが軽度なエチチ方面だったから良かったものの、重度のエチチでしたら、取り返しのつかない事になっていたのですよ」
すごい真面目な話しでエチチっていうのやめろ。
でも確かにツキの言う通りだ。
俺には覚悟が足りてなかった。
「俺が悪い」
「私も試すような事をしました。申し訳ない」
ツキ……
「童貞のあなたには刺激が強すぎるとは思っていたのですが、予想を遥かにこえて敏感でした」
やめろやめろ。
今、いい感じで終わりそうだっただろ。
「冗談はさておき」
面白くない。
「精進します」
すなすな。
「どうしますか? 続けますか?」
「はぁ?! おまっ! 今の話し聞いてたか?」
「聞いてましたが、今回の件でなくとも念話ができるとなにかと便利なので」
まあ、そうだけど。
耐えられる自信がない。
「これまではさすがに言えませんでしたがこの際なので。
個人差はありますが、1週間も特訓すれば慣れるでしょう。煩悩を捨てましょう」
「俺は出家でもするのか」
「そんな大仰な。コントロールですよ。
何事もコントロールできれば最強に近づけますよ。
性的快感を本来の目的で得たい時はそっちモードに開放すればいいわけですし」
もうこの会話やだ。
「そもそも性的快感は普通に生きていれば避けては通れません。特に男性は。
あなたはその中でもかなり繊細なので、これを機に慣れておいては? 私なら誰にも言いませんよ」
…………
考えてしまう。
確かにそうかもしれない。
俺はそういうのから、無意識に逃げていたかも。
相手はツキだし、どうせ色々バレてるし。
「そうそう」
なんかノリが軽くなってきたけど。
キリッ。
や、キリッとされても。
「分かった。今度は本当に覚悟を決めたぜ。
付き合ってくれるか、ツキ」
「もちろん。私は念話するだけですし」
ごくり。
じゃあ、特訓開始するか。
……勇気がいるな。
「こんな所で勇気使わないで下さい」
うるせー。
「では、私は私の部屋から念話しますので。
しっかり修行に励んで下さい。
あ、変な意味ではありませんよ。
おっぱじめないで下さいね」
「え? お前ここにいないの?」
「やめて下さいよ。あなたがよがって悶えてる姿なんて見たくないですよ」
「な、なんだそりゃ! 先に言えよ!
俺の覚悟返せよ!」
「そういうのが覚悟が足りないのですよ」
うるせー。
「では頑張って下さい」
◇
くっ……ダメだ……持っていかれる……
いや、頑張れ俺……俺なら、俺ならできる……
「ふぅ……。はぁ……」
まだいける。
いや、そのいけるじゃない。
冷静になれ。
賢者になるんだ。
有名な賢者タイムを常に!
「あぁ……くふぅ」
分かった。
違うことを考えればいいんだ。
ツキが念話で歌ってやがる。
(ツキが〜、出た出〜た〜♪
ツキ・ソーイが出た〜あ、オリオリ♪)
くっそー、腹立つー!
立ってるのは腹だからな!
何言ってんだ俺は。
ダメだ……ダメだ……
(オリは〜、出さな〜い♪
我慢〜する〜あ、オリオリ)
あいっつ……
マジで……
◇◇
よしっ……
いけるいける。
そのいけるじゃないぞ。
気をひきしめれば、持っていかれなくなったな。
油断すると危ないが。
危ないというか、俺のメンタルが崩壊する。
俺は賢者になったと言っても過言ではない。
(さすがに過言ですよ)
「あっ……」
油断した。
出してないからな。
何を言ってるんだ俺は。
(神殿にいる間は特に油断しないで下さいね)
「おう!まかせろ」
(頑張りましたね)
本当に頑張ったと思う。
前世と今世で一番頑張った。
(大げさな)
「大げさじゃない。二生で一番充実してる」
(そりゃ、あんなによがってればね)
やめろやめろ。
(では、そろそろ行きますか)
「イッてない!」
(いい加減にしてください)
すみませんでした。
◇
「正直、あなたがこの修行を乗り切れるとは思いませんでした」
おい。
「この1週間、あなたは何度も果ててしまいましたが」
やめてやめて。
言わないで。
「諦めることなく挑む姿勢に私はちょっと引いていました」
引いとったんかい。
「あなたの性格ではとても乗り切れるとは思えませんでしたし。正直、感心しました。
この人、恥ずかしくないのかなって」
殴っていい?
「冗談はさておき」
本当に面白くない。
「この修行は多くの者が脱落してしまいます」
そうなの?
「念話にこのような効果があると分かると快楽に溺れ廃人になる事もあります。脳内麻薬のようなものですから。
人の欲望とは留まることを知りません。
先程は過言と言いましたが、あなたは賢者ですよ」
にこりと微笑むツキ。
ツキ……
「そんな顔もできるんだな。
真顔か、変顔しかできないと思ってたわ」
ゲシッ。
ツキにキツめのローキックをされた。
「なにはともあれ、これで一緒に神殿を覗き見できますね」
覗き見て。
「つまらない所だったら、頑張り損ですね」
頑張ったことに損なんてないだろ。
「良いこといいますね……」
え、そう?
それに、ツキと念話ができるのは嬉しいし。
「便利ですからね」
そうそう。
じゃあ、そろそろ行くか!
「ではまた次回」
主人公たちは念話してるだけなんですけどね。
セクハラがひどい。
しかしながら、これにより主人公にはこれまでになかった、新しい世界が広がりました。
「やめろやめろ」




