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鉱石取り

「フェス、今日は夜まであの子らの面倒見てくれてありがとな」


「こちらこそ、ありがとうございます」


 何が?


「おかげ様でサラ様と4人で外食できました」


「それ、俺のおかげじゃなくない?」


「サラ様から誘って下さったのです」


 嬉しそ~。


「なら良かったよ。どこ食べに行ったんだ?」


「サラ様オススメのラメーン屋に行きました。キョウサもおいしかったですよ」


「そうなんだ。じゃあ今度、皆で行こうぜ」


「良いですね」


「そうだ! なぁ、ツキ。キョウサとか作れる?」


 コクリ。


「今度さ、皆でキョウサ作らないか? 皮で包むのとか楽しそう」


「それはいいですね。是非やりましょう」


 穏やかな空気と会話にほんわりした気分になる。

 最近大人な話が多かったから癒されるぜ。


 その後、リリーにショウさんの話をして後はまかせた。


 ◇◇


「さて、今日からの案件はもうちょっと戦うやつにしよう」


「1件目は余裕すぎましたからね」


「もうちょっと戦うやつだぞ」


「相変わらず慎重ですね」


「大事なことだろ」


「あなたならランク5の案件はままごとのようなものですよ」


「俺のメンタル舐めんな」


 戦いは問題ないとしても、恐怖心が問題なんだよ。


「冷静ですね」


「当たり前だ。蟻ダンジョンの事を俺は一生忘れないぞ」


 今思い出しても震えが来るぜ。


「あのダンジョンの下層に行くという手もありますよ」


 ねーよ。


「お! これ、丁度良さそう」


 毎日募集:人数制限なし

 洞窟から指定素材を取ってくるお仕事です。

 低レベルモンスターが多数出現します。

 ※討伐したモンスターの魔石やドロップ品はお持ち帰りOK!

 基本日額なし

 指定素材の買取 最低買取額 10,000ギゼル/1個

 取ってきた素材は全て買取します。

 沢山荷物を運べる力持ちの人が向いています。

 ※ご希望の方には台車無償貸与。

 

「ほほう」


「異世界と言えば薬草採取だけど今更だし。モンスターが出現するのが確約されてて、荷物が沢山運べる人が向いてるって俺のための依頼じゃん」


「そうですね。アイテムボックスがありますから台車も不要ですし」


「な! これにしよう」


 ◇


「え?」


「いやぁ、助かりますぅ。冒険者の方なかなか来て下さらなくてぇ」


 科学者風のひょろひょろ長髪お兄さんが悲しそうに言う。


 目の下の隈がすごい。


「冒険者の方ぁ、一度は来て下さるんですけどぉ、二度目はないんですよねぇ」


 なんか聞いた事あるフレーズだな。


「へぇ~……もしかしてぇ、小さい虫とか出ますぅ?」


 サイエンス兄さんの真似をしてしまう。


(サイエンス兄さんとはこの方のことですか?)


 最近あだ名つけるのが俺の中で流行ってる。


「出ませんよぉ。どこにでもいるモンスターが出るだけなんですけどぉ」


「そうなんですか?」


 じゃあ、なんで冒険者来ないんだ?


「よっぽど素材が取りにくいとか? 安いとか?」


 基本日額がないから、素材取れなきゃ無収入だもんな。


「素材自体は取りやすいんですけどぉ」


「けどぉ?」


「重いんですよぉ」


 俺はアイテムボックスあるから関係ないな。


「モンスターもいっぱい出るんでぇ、面倒くさいみたいですぅ」


 なるほど。


「重い荷物を持ちながら、モンスターを相手にするからって事ですね」


「そうです、そうですぅ」


 なら問題ないな。


「じゃあ、今日は頑張りますね」


「よろしくお願いしますぅ。取ってきてほしい素材はこの冊子に書いてありますのでぇ」

 

 どれどれ。


「……石ですね」


「鉱石ですぅ」


「色んな種類ありますね」


「そうなんですぅ。どれでもいいですぅ。助かりますぅ」


 これは普通の冒険者じゃキツイ。


「買取価格はピンキリですぅ。一番高いのは後ろのページのですぅ」


 じゃあ、できるだけピンの方がいいよな。


「この1ページまるまる使って説明してる、この石を取ってこれたらいくらで買い取って貰えるんですか?」


 時価って書いてあるんだよな。


「今だと3億ギゼルですぅ」


「は?」


「3億ギゼルですぅ」


「えーーっ! この洞窟にそんなに高い石があるんですか?!」


「あるハズですぅ」


「はず?」


「眉唾かもですぅ」


 てきとー。


「昔、出たとか出ないとか言われてますぅ」


 へー。


「出たらちゃんと買い取りますから安心して下さいねぇ~」


「すごいお金あるんですね」


「儲かる仕事なんですぅ」


「ここに載ってる石があるなら、冒険者とかじゃない人に狙われてもおかしくないですか?」


「この洞窟の所有者の事を知ったらそんな事する人いないですよぉ」


「あ~怖い人なんですね」


「怖い組織ですぅ」


 組織か~。


「じゃあ、お兄さんも怖い組織の人なんですね」


「ボスですぅ」


「ボス?!」


「一番偉い人の事ですぅ」


 それは知ってます。


「え~……じゃあ、お兄さん怖いん…ですね」


「怖いですよぉ~」


 全然怖くねー。


「人は見かけによらないっていいますけど本当ですね」


「え~……怖くないですかぁ?」


「怖いっていうより、寝ずに研究してそうってイメージです」


「合ってますぅ~」


 隈凄いからね。


「素朴な疑問なんですけど、もっと高ランクの冒険者に依頼したらいいんじゃないですか? 予算が潤沢にありそうですし」


「ご存じないですかぁ~? こちらはギルドに依頼するだけでランクの指定とかできないんですよぉ~。仕事の内容で割り振られるので、鉱石取って低レベルのモンスター倒すくらいの依頼だとぉ、ランク5になっちゃうんですよぉ~」


 へー。


「なんか色々聞いてすみません」


「なんでも聞いてくださぁい」


 優し。この人が組織のボスとか、面白くない冗談なんだろうなぁ。


「じゃあ、気にしてもしょうがないんで行ってきます」


「台車どうしますかぁ?」


「台車は使わないんで大丈夫です」


「お嬢さんもいらないですかぁ~?」


「この子の分も俺が持つんで」


「大丈夫ですかぁ~?」


「はい、問題ありません」


「頼もしいですねぇ~」


「できるだけ沢山取ってきますね!」


「よろしくお願いしますぅ。気をつけてぇ」


「はーい」


 手を振りながら、洞窟に入っていった。


「ではまた次回」

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