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続・運命の人

「裏口から出てったな」


「予想通りですね」


 お〜、走ってる走ってる。


「俺からは逃げられないけどね」


「ストーカー発言やめて下さい。気持ち悪いので」


 確かに今のは気持ち悪かったな。


「素直」


 それ俺の良い所だから。


「数少ない」

 

 そうだね。


「お、右行った」


 足、速いな。


「でも俺の方が速いけど」


「また右」


 お、止まった。


「追って来ないと思ったのでしょう」


 普通は探索スキルないから、見失うもんな。


「相当気に入ったんだな……」


 ショウさんが麦わら帽子を物色している。


「黒装束に合う麦わら帽子を探しているようですね」


 ないよ。


「分かりませんよ」


 ないよ。


「そうですね」


 お!


「やりますね、黒い麦わら帽子を発見しましたよ、あれならば」


 合わないよ。


「やはり素材の違いは大きいですね」


 本人が気に入ったのが一番だからいいんだけど。


「嬉しそうに店を後にしましたよ」


 頭巾と口当てしてるから顔見えないんだけど、嬉しそうなのが歩みから伝わってくる。


「スキップをしたいけど、我慢してる人の歩みですね」


「よし、じゃあ嬉しそうな所悪いけど捉まえるか」


 麦わら帽子をゲットして油断しているショウさんの前に出た。


「ショウさん。任務完遂おめでとうございます」


「オリ殿……」


「完遂記念に麦わら帽子ですか?」


「すまん」


「謝ってもらう事なんてないですよ」


「この麦わら帽子はやれない。この色は最後の1個だったんだ」


 いらねーよ。


「いりませんよ」


「くっ……すまん」


 『くっ……』じゃないよ。

 

「俺、麦わら帽子に興味ないので」


「いいんだ。分かってる」


 何も分かってない事は分かった。


「麦わら帽子はどうでもいいので、ちょっと話せませんか?」


「話……」


「ああそうだ。この間やれなかった打ち上げやりましょう。今日も一緒だったんですし。案件2件分の打ち上げ! 今度こそ割り勘で。待てよ? この間の飲み物代分は俺達が貰っちゃったから、今日は俺のおごりで。どうですか?」


「いや……」


 ダメか……


「割り勘なら」


 おお!


「いいんですか?! よし、じゃあ割り勘で! 帰り道によく行く店あるんで、そこで打ち上げしましょう」


「ああ」


 ◇


「じゃあ、2件の案件が無事……あれ? 2件目は俺達的には無事じゃないか?」


 ツキと目を合わせる。


「無事でいいだろう。お嬢様には何もなかったんだから」


「ですね。じゃあ、無事終了した事を祝して」


「「「かんぱ~い」」」


 今日はショウさんと話ができるかもしれないと思って、フェスには夜も二人の面倒をお願いしている。理由は言わなくてもOKしてくれて本当に助かる。フェスには足を向けて寝れないな。


(でしたらベッドの配置を変えた方がいいですよ)


 そういえば、足を向ける方向で寝てた。ベッドの配置変えは厳しいから、今度皆でピクニックにでも行こう。サラが行きたがってたから、行けたらフェスも嬉しいだろう。


(え~……)


 お前も行くって言ってたんだからいいだろ。


(行く日を言ってないので、十年後でも良かったのですが)


 そんなにサラと行くのが嫌なのか。


(面倒ですからね)


 ひどい。


「そういえば、頭巾と口当て外したんですね」


「ははは、室内で頭巾と口当てしてたらおかしいだろ」


 馬車は室内じゃないわけね。


「俺、早々に退場になっちゃったから分からないんですけど、あれからどうなったんですか?」


「ああ、昼食はおいしかったぞ。食べられなくて残念だったなオリ殿」


「そういえば俺、昼食べてない……」


 急激にお腹が減ってきた。


「それはいかん。昼は食べないと」


 朝は食べなくていいんだね。


「今から沢山食べます」


「それがいい!」


「ショウさんは好き嫌いありますか?」


「ないぞ!」


 そんな感じした。


「オリ殿とツキ殿は?」


「俺は好き嫌い凄くあります。食わず嫌いまであります」


「食べてないのに嫌いとかあるのか?」


「見た目で嫌いなのが分かるんです」


「見た目が嫌いで食べてみたら好きだったとかなかったのか?」


「ないですね。見た目が嫌いで無理して食べたらもっと嫌いだったって事ばっかりです」


「それはそれで凄いな。勘が良いんだな」


「どう考えても好き嫌いがないのが、一番良いですよ」


「ツキ殿はどうだ?」


「食べられればなんでも良い」


「嘘つけ」


「嫌いなのはないけど、お前の好きは極端だろ」


「どういう事だ?」


「こいつの場合は確かに嫌いはないけど、好きな食べ物は極端に好きだから『好きとどうでもいい』が正しい答えですよ」


 ツキが薄目で俺を見て来る。


「なんだよ、その目は。合ってるだろ」


 白目剥くなって。


「オリ殿はツキ殿の事が良く分かっているんだな」


「そんなんじゃないですけど」


「カラアーゲー」


 ツキが商品名を言い出した。


「あ! そうだった。何頼みます?」


「エービフライ」


「私は何にしようか……アスパーラの肉巻きと……」


「カーニグラターン」


「俺はエダマメェーと……」


 ◇


「ショウさんは気に入られてたから分かりますけど、陽キャさんが残るとは思わなかったな」


「陽キャさんとは?」


「あ~……皆の名前分からなかったんで、勝手にあだ名つけてました」


「ははは、面白いあだ名だな。彼はバイン殿だ」


 バインさんね。


「夜ご飯もお嬢様の屋敷で食べるそうだ」


 凄いな。


「確かに、バインさん壁があるタイプじゃなかったから話しやすかったですもんね」


 そういう所がお嬢様にも良かったんだろうな。


「オリ殿……」


「はい?」


「私は壁がある人を見た事ないぞ」


 本当の壁だと思ってそう。


「あ~……壁っていうのは本当の壁じゃなくて見えない壁ってやつで」


「見えない壁?」


「見えない壁があると、閉め出してるというか入れさせない。みたいな」


 俺は壁を作る方だから、壁がない人は羨ましい。


「なるほど、分かりやすい表現だな」


「ショウさんは壁がない人だと思います」


 だからお嬢様も気に入ったんだろうな。


「そんな事はないぞ。私にだって壁はある」


「そうですか? 話しやすいから壁がなさそうだなって」


「バイン殿もそうだが、オリ殿に壁を作る必要がないと感じたから壁がなかっただけだろう」


 え?


「オリ殿は信用できる何かを感じるぞ」


「ええ?!」


 それは嬉しい。


「安心感とでもいうのか。まるで自分のおじいちゃんのような」


 それは微妙。


(さすが、おじいちゃんまで生きた人は違いますね)


 そうだね。


「すまん、おじいちゃんは違うな……年下の男の子に何を言っているのか」


「いえいえ」


「オリ殿と友人のライとリリーが羨ましいくらい――」


 あ……


「……っ!」


(ではまた次回)

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