虹色の目の女の子
虹色の目ってシオン君と同じだよな。
虹色の目って珍しそうだけど、そんな事ないのか?
(虹色の目はとても珍しいですよ)
この子って……女の子だよな?
(そうですね)
シオン君は男の子だし、クリスとクウガとも似てないしな……。
最近性別を間違えてしまう事が多いから心配になってくる。
女の子は下を向きながら、ミックスソフトをパクパクと食べている。
俺と一緒で舐めない派だ。
「おいしい?」
コクリと頷く女の子。
「それは良かった。それにしてもごめんな、俺がちゃんと前を見てなかったせいで」
女の子が首を横に振ってくれた。
「一人? お父さんかお母さんは?」
女の子の動きがピタリと止まる。
「どした?」
突然、女の子がソフトクリームをガツガツ食べ出した。
「おお……そんな慌てて食べなくても、コーン部分ならそんな簡単に溶けないぞ」
食べ終わったかと思いきや、ペコリと頭を下げ女の子は走って行ってしまった。
「えっ?! あっ!」
「……俺なんかした?」
「頭にソフトクリームを落としましたね」
なんて奴だ。
「それは和解した感じだっただろ」
「あなたの都合の良い解釈かもしれませんよ」
そうですね。
「あの子ってまさかシオン君とかじゃないよな?」
髪はボブで同じ長さだけど、紫色だったし……。
まぁ、髪色は染められるから当てにならないけど。
顔が違ったし、女の子の服着てたしな。
「……あの二人とのつながりは感じませんでしたが」
お前がそう言うなら、違うか。
「目が虹色ってだけで、シオン君なわけないか」
「いえ……」
?
「可能性はなくは……」
「シオン君かもしれない?」
「いえ、不確かな事は言えないので言いませんが」
言ってよ。
「やめておきます」
言ってよ。
「うるさい」
ひどい。
「目が虹色ってだけでシオン君と一緒にしてちゃダメか」
珍しいって言ったって、いないわけじゃないらしいし。
「虹色の目は色々な組み合わせがあります。色だけに色々」
うるせー。
「は?」
なんでもないです。
「シオン君の虹色がどんな組み合わせの色か気になるな」
「帰ったら、二人に聞いてみましょう」
そうだな。
「それにしても、あの子独特の雰囲気あったよな」
印象的というかなんというか。
「そうですね」
「どっか行っちゃったけど、また会ってみたいな」
「クリア・サーチすれば良いではないですか」
「1回会っただけの子にそんな事したら、俺ヤバイ奴だろ」
「ロリータ・コンプレックスのように思えますね」
やめろやめろ。
「あなたがそうと言ったわけではありませんが」
そういえばそうですね。
「なんかクセで俺が言われてる気がした」
「被害妄想ですね」
お前のせいだけどな。
「冗談はさておき、クリア・サーチしてみてください」
「俺はロリコンじゃねーぞ」
「その話はもういいですから」
なんなの?
「先ほどの子は表示されますか?」
「なんでクリア・サーチするんだ?」
「いいから早くして下さい」
なんなの?
「はいはいっと……」
クリア・サーチ。
「うん、いないな」
「あなたの探索範囲にいれば、表示されるハズですが……」
「移動するの早いんだろーな。馬車にでも乗ったかな?」
ああ、馬車の時間だったから走ってったのかな?
「ちょっと黙っててもらえますか」
ひどい。
「泣かないでくださいよ」
泣いてねーよ。
「ふむ。面白いですね」
何が?
「あなたの泣き顔です」
だから泣いてねーよ。
「さて、ショウさん探しを続けましょうか」
なんなの?
「クリア・サーチの探索範囲が広がる事を祈っています」
それはどうも。
「探しついでに、ギルドに行って明日の案件何にするか見て来ようぜ。やっぱり、冒険者たるものガンガン活動しなきゃな」
「案外、案件冊子に名前が書いてあるかもしれませんよ」
「そんな事あるわけないだろ。身バレしたって分かった後に案件冊子に名前書く奴なんていないよ」
「書かなければ、受注できませんよ」
「ないない」
◇
「あった」
「あれだけフラグを立てていればありそうな感じはしましたね」
フラグなんて立てた覚えはない。
「なんで書いちゃうかな?」
隠れたいんじゃないのか?
「おっちょこちょいなのでしょう」
可愛い言い方するね。
「よくライとリリーにバレなかったな」
「抜けている所がありますからね」
鋭さと鈍さを合わせ持つ二人だからな。
「こういう時に鈍さが発動するのは残念ですね」
だな。
「ちょうどまだ枠があるから、この案件に入ろうぜ」
「そうですね」
さぁて、ショウさんが選んだ案件はなんだ?
「『お嬢様の警護』ですね」
「お嬢様の警護? どれどれ」
募集:1日限り 5名
年齢:16歳~20歳まで
お嬢様の友達のように振る舞いながら警護をする重要なお仕事です。
任務1:お嬢様と街で買い物する。
任務2:お嬢様と食事をする。
任務3:お嬢様を守る。
※昼食代負担
※お嬢様があなたに買った物はお持ち帰りできます
200,000ギゼル/1人
「なんだこりゃあああぁぁ」
めっちゃいい。
「え? ギルドってこんな優良案件あんの?」
一日で200,000ギゼルって凄すぎない?
「こんなん普通取り合いだろ」
なんで空いてるんだ?
「年齢制限と友達のフリでしょうね」
ああ……確かに。
「っても良いと思うけど。もしかしたら凄く危険な所に行くとかかな?」
「場所までは書いていませんね」
そういう不確かな案件は選ばないのかもな。
「でもランク5案件だから、そんなに危ない場所へは行かないだろ」
「そうですね」
「まぁ、いいや。ショウさんも入ってるし、明日はこれにしよう」
一石二鳥案件だったな。
「あなたに友達の振りとかできるのですか?」
「俺を舐めてるな」
「そんな汚い事しません」
でしょうね。
「友達っぽい感じを出さないといけない場面ではそういう振る舞いできるんだよ俺」
空気を壊したくない一心で得た技だ。
「友達はできないけど、フリはできるんだ! 凄いだろ!」
黙ってハンカチを差し出すんじゃない。
「泣いてないから」
「では私が使わせて頂きます」
お前も涙出てねーだろ。
「気持ちの問題です」
そーですか。
「では友達のフリが問題なければ、いけそうですね」
「そもそもお前だろ。無口キャラじゃ限界あるだろ」
「私を誰だと?」
「ツキ・ソーイさん」
コクリ。
「コクリ。じゃない」
「何年このキャラやってると思ってるんですか」
「16年」
コクリ。
「じゃあ、申し込んで来るか」
「ではまた次回」




