ショウ姉探し
「俺たちは、ショウ姉を探す為にハンプレンドルに来たんだ」
「え?! そうなの? なんでここなんだ?」
「勘よ」
は?
「何て?」
「勘よ」
「聞こえてるよ」
「オリが聞いたんじゃない」
そうだね。
「勘ってそんな適当な……」
普通、そんなんで生活拠点移せないだろ。
「俺には分かる。ショウ姉はハンプレンドルにいるって」
「根拠は?」
「ショウ姉の気配がした」
何言ってんだこいつら。
「二人とも本気で言ってるのか?」
「「本気」」
息ピッタリだね。
「私の勘と、ライのショウ姉に対する異常なまでの察知能力が合わさってハンプレンドルにいるって事になったの」
「いるって事になったって……」
「現にいたじゃない」
そうですね。
「まぁ……そうだな」
恐ろしいまでの勘と謎の察知能力だな。
「というのは半分冗談なんだけど」
こんな時によく冗談が言えるな。
「ショウ姉がこの街以外に行く選択支がないんだよ」
「なんで?」
「この街が他の街より安全だから」
「ほほう」
「前からこの街が気にいってたし、女性の一人歩きも可能だからな」
確かに女性一人が暮らすには良い街だ。
「この街便利だし、美味しい食事屋さんも多いしね!」
「で、ショウ姉が一人で暮らしていくにはお金を稼がなきゃいけないだろ? だから食事処で給仕係りとかしてそうだなって」
「まさか冒険者してるとは思わなかったわよね」
「盲点だった。いつすれ違っててもおかしくなかったのに」
「まぁ、ショウさん黒装束だから分からないだろうな」
「「黒装束って何?!」」
「あれ? 言ってなかったか? ショウさんは黒装束で麦わら帽子というとんちんかんな格好をした冒険者だって。麦わら帽子は借り物だけど」
「そんな事言ってた?!」
「ショウ姉……相変わらず可愛いな」
ライが口元に手を当ててにやけている。
「仕事が終わるまで女の人だと気づかなかったからな」
「ショウ姉はいかにも女性! って感じじゃない所もいいんだよな」
ライが腕を組んで、うんうん頷いている。
とりあえず、放っておこう。
「ライとリリーで探してるって言ってたよな」
「夜とか休みの日とか、空いた時間に探してたの」
「本当は毎日でも探したいけど、暮らしていく為には働かないとな」
「ショウ姉の似顔絵とか特徴とか言って聞いて回ってるんだけどね」
二人して肩を落としている。
「似顔絵か。どんなのだ?」
まぁ、それしかないか。写真がないんだから。
「ちょっと待っててね」
リリーが似顔絵を取りに行ってくれた。
「そういえば、ライさ」
「うん?」
「前に好きな人いないって言ってなかったか?」
「そういえば、そんな事言ったな~」
「めちゃくちゃ好きな人いるじゃん」
「好きな人がいなくなったって意味だったけど、分かんないよな~」
あはは、と笑うライ。
「あー……なるほど」
「それにあの時はショウ姉の事をオリに言うつもりなかったし」
「そっか」
確かに言わないとかなんとか言ってたな。
「今回、教えてくれて良かったのか?」
「俺の正体バレちゃったしね~。頭おかしい俺、オリに知られたくなかったからさ~」
「頭おかしいって言ったって。好きな相手にはおかしくなってもおかしくないだろ」
好きな人ができた事がない俺が言うセリフではないけど。
正直、ライが羨ましい。
「ふふ、ありがと~。オリに受け止めて貰えて嬉しいよ」
「言っといてなんだけど、おかしい度合がどれくらいか分からないから言える事だけど」
「そうだね~」
ふふ、と笑い合う俺達。
「お待たせ~。似顔絵持ってきたよ」
「おお、見せて見せて」
「こっちが私が描いたので、こっちがライが描いたの」
…………。
「お前ら、これ見せて探してんの?」
「「うん」」
「ショウさん探す気あるのか?」
「あるに決まってるでしょ!」「あるに決まってるだろ!」
声を荒げる二人。
「ごめんごめん。でもさ、これ見てショウさんに気づく人、皆無だと思うぞ」
「「なんで?」」
嘘だろ。
「自覚ないのか?」
「「なんの?」」
「絵、下手すぎだろ!!」
揃って、似顔絵を見る二人。
「どう見てもショウ姉でしょ」
「どう見てもショウ姉だろ」
二人とも真剣な顔だ。
「ダメだこりゃ」
「ダメじゃないだろ」
「じゃあ、オリ描いてみてよ」
は~……。
「紙とペン取って来る」
◇
「終わりましたか?」
お前……!
「どこにいたんだよ!」
「フェスの部屋でクリスとクウガと利きたくあんぬをしていました」
何してんだよ。
「こっちは大変だったんだぞ!」
「そのようですね」
他人事かよ!
「はい。今回私関係ないので」
「そんな事言わずにいてくれよ~」
「ああいった話しは少人数の方がいいですよ。あなたも自分で言っていたではないですか」
そうですね。
「それに、あなたにしては頑張っていたと思いますし」
必死だったんだよ。
「ライの話しにドキドキしすぎでしたが」
うるせー。
「お前、話し聞いてたのかよ」
「あなたの心の声が大き過ぎるのですよ。二人が実際何を話しているかは聞かないようにしていましたから。前にも言ったでしょう、あなた以外のプライバシーは侵害しません」
俺もやめて。
「こんな所で油を売っていていいんですか? 二人が待っていますよ」
「そうだった! お前も来いよ」
「そうですね……今なら大丈夫でしょう」
おお! 良かった!
「行こ行こ!」
「なんですか、その笑顔は」
「やっぱりツキがいると心強いなと思って」
「チートですからね」
「今それは関係ない」
紙とペンはどこだっけ?
「ここにありますよ」
「お~、ありがとう」
「どういたしまして。その顔やめてください」
俺どんな顔してんだろ。
「ではまた次回」




