運命の人(2)
一体全体どうなっているのか。
ライ達をリリーと二手に分かれて探している。
「ライを止めるってなんだよ」
結構走ったけど、いないし。
リリーが見つけたかな?
一旦戻るか?
状況がよく分からないし。
「――っ! ――せ!」
「――だよ!」
「やめっ――」
ん?
通りから少し外れた路地から声が聞こえた。
「ライとショウさんか?」
声が聞こえた方を見に行く。
こんな所にいたら、そりゃ分かんないわ。
ライとショウさんの姿が見えた。
いたいた。
「お……」
おーいライ。と声をかけようとして、俺はとっさに身を隠した。
ライがショウさんの腕を掴んで、壁に押し付け身動きがとれないようにしている。
あれ……? 俺なんで隠れたんだ?
「今までどこにいたんだよ!」
「お前には関係ない!」
「関係ないわけないだろ! どれだけ探したと思ってんだよ!」
「探すなって置き手紙しただろ!」
「はい、そーですかってなると思ったか?! 俺がショウ姉を探さないとでも思ったのかよ!」
ショウさんを掴む手にさらに力を込める。
「っ痛い! ……離せっ!」
ライを押し戻そうとするが、ビクともしない。
「逃げるみたいにいなくなって……俺のせいなんだろ!」
「……」
「言ってくれよ!」
「お前のせいじゃない。お前は関係ない。私の問題だ」
「嘘だ!」
「嘘じゃない。もう離してくれ。お前とはもう会っちゃいけないんだ」
「ショウ姉がいなくなってから俺がどんな気持ちでっっ」
ライがショウさんを抱きしめる。
ええっ?!
「離せっ」
ショウさんがもがいてライから逃れようとする。
「嫌だ! 離さない!」
「やめろ!」
「嫌だ!!」
ライが無理矢理ショウさんにキスをした。
あああああああああああああっ!!
な、ななななななななんああぁぁ!!
な、なななな何やってんだ!
は?! ライだよな。あれ、ライだよな?
目を擦ってもう一度確認する。
ぎゃあああああぁぁぁっ!
ライだああぁぁぁぁっ!
う、嘘だろ!
し、舌……あわわ……ディ、ディープなのしてる!!
映画やAVだけでしか見た事がない、ディープなのしてる!!
「……っ! いい加減にしろ!」
「何でだよ! 前は受け入れてくれただろ!」
「言うな! あれは間違いだ!」
「間違いってなんだよ!」
頭を抱える俺。
キャパ越えだ。展開についていけない。
あれは俺が知ってるライなのか。もはや別人だ。
ライとの楽しい思い出が走馬灯のように駆け巡る。
「死ぬんですか?」
振り向けばツキ。
「ツキ……ツキ~……」
思わず、ツキにしがみつく俺。
「なんですか、鬱陶しい」
ひどい。
「泣くのをやめて下さい」
ショックすぎて。
「確かにお盛んですね」
やめろ。
ライだぞ。
『お盛ん』なんて言葉が一番似合わないだろーが。
「何かあるとは思っていましたが、こちら方面とは予想外です」
やめろやめろ。
「やめてほしいなら、あの修羅場を止めてきてください」
俺じゃ普通に無理だろ。
「いいから、行きなさい」
ツキに蹴りだされた。
勢いよく振り向く二人。
気まずい俺。
「あはは……」
こういう時って笑うしかないよな。
「いや~、二人とも急にいなくなるからビックリしたよ」
秘技! 見てない振り。
「あれ? どうかしたか?」
「オリ……」
「オリ殿っ」
ライの手を振り払い、ショウさんが駆け寄って来て俺の後ろに隠れる。
俺ん所来るんかい。
「え~っと……」
上手い言葉なんて出るはずもなく。
「ご飯できた」
ツキが後ろから加勢してくれた。
ツキ様~~~!!
ん? でもコイツのせいでこんな修羅場に入ったんだよな。
「ツキちゃんまで……」
「おお、そうそう。ご飯できたから、呼びに来たぞ」
ツキを見てからショウさんを流し見るライ。
「ああ、今行くよ」
戻っていくライ。
「あの、ショウさん……」
「オリ殿」
「ひゃい」
噛んだ……。
「グラスを割ってすまなかった」
そんな事もありましたね。
「それは大丈夫ですけど」
「今日は失礼する」
「え……」
「打ち上げができなくて残念だったが……もう、会う事はないだろう」
「え……」
「世話になった」
「あ、ちょっと!」
ショウさんは走り去っていった。
「一体、なんだったんだ……」
「人に歴史あり」
分かるけど、俺の想像を遥かに超えまくる歴史すぎだろ。
「どんな顔してライに会えばいいんだ」
気まずすぎる。
「そんなのライの方が思ってますよ」
確かに。
「は~……帰りたくない」
「クリスとクウガが待ってますよ」
そうでした。
「二人が風呂入ってる時で良かった」
◇
「ただいま~……」
力なく帰還した事を告げる俺。
バタバタと足音がこちらへ向かってくる。
確実にリリーだ。
「オリ! ライとショウ姉は?!」
「ショウさんは帰った」
「帰っちゃったの?!」
「ああ」
「ライは?!」
「え? ライは先に戻ってるハズなんだけど」
「え?! あいつっ! いつの間にっ!」
ライの部屋へ走るリリー。
「ライ! いるんでしょ!」
ライの部屋の戸をドンドンと叩くリリー。
う~ん、戸が壊れそうだ。
「出て来なさいよ! ライ!!」
「うるさい! 来るな!」
「あんたショウ姉に変な事してないでしょうね!」
してたよ。
「お前には関係ない!」
ゴンッ!
ライ側から戸に物を投げつけた音がする。
「関係ないわけないでしょ!」
ガンッ!
リリーが戸を蹴る。
戸が可哀想すぎる。
「物に当たったってしょうがないでしょ! あんたがそんなだからショウ姉は逃げるのよ」
「どうしろってんだよっ……」
「冷静になりなさいよ!」
「……頼むから、今は一人にしてくれ」
「……明日はちゃんと顔出しなさいよ」
ガンッ!
リリーが戸を蹴る。
「分かったの?!」
「……かったから!」
「は~……もう」
リリーが振り向く。
「あ、ごめんねオリ。驚かせちゃって」
「いや」
驚くとかの騒ぎではない。
「とりあえず、先ご飯食べよっか」
そういえばクリスとクウガとご飯食べないと。
「ああ……」
「ライ君どうかしたのですか?」
クリスが心配そうな顔をする。
「なんかお腹痛いみたい! ライは放っておいて食べよ!」
「今日も脳ミソおいよし~」
「まだおかわりありますよ」
脳のおかわりって聞いた事ないね。
「ではまた次回」




