表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/222

運命の人

 なんという事でしょう、黒装束に麦わら帽子を被っていたとんちんかんな人が、頭巾と口当てを取ったら、美しい人に早変わりしました。


「顔……」


「なんだ、さっきから顔顔と」


「いや、顔が美しくて驚いています」


「そうか? よくいる顔だろ」


 いないよ。


「あれ? 確かに……言われてみれば誰かに似てる」


「だろ」


 誰に似てるんだ? 喉まで出てるんだか思い出せない。

 う~……思い出したい。


「あ!」


「どうした?」


「しまった! クリスとクウガがいるんだった」


「クリスとクウガ?」


「最近、小さい子供を預かってて。ご飯一緒に食べないと」


 日中フェスに頼ってて、夜までってのは絶対ダメだろ。


「え……あ、そうか……じゃあ、打ち上げは無理……だな」


「すみません!」


「いや、急に誘った私が悪い」


 ショウさんが目に見えしょぼんとする。


 申し訳なさすぎる。


(行って来たらいいではないですか)


 いや、ダメだろ。


(私がクリス達を見ておきますから、二人で行って来たらいいですよ)


 はあぁぁ! おま! 何言ってんの? 無理無理無理無理。


(こんなチャンスなかなかないですよ)


 チャンスて。


(女性と二人だけの食事なんて、今後できるかどうか)


 いや、その前に二人だけなんて断られるだろ。


「オリ、私があの子たちと一緒に食事をするから、二人で行って来たら?」


 しゃしゃしゃ、しゃべったーー!!


 薄目で俺を見るツキ。


 なんというレア。これは貴重な瞬間を見た。


「あー……そんなわけに行かないだろ。ねぇ、ショウさん……」


「いいのか?」


「え?」


「二人で行って来てもいいなら、打ち上げしたいのだが」


 なんですって?


「オリ殿がいいなら行きたい」


 え……もしかしてこの人、俺の事好きなのか?


 (馬鹿は休み休み言ってください)


 だって、今……。


 (これだから童貞は。食事を一緒にしたいと言われたくらいで、そんな短絡的な事を思わないでください)


 一瞬夢を見ていたようだ。


「長い事、誰かと食事をしてなかったから……」


「そうなんですか」


「オリ殿はなぜか話しやすいからな」


 あれ? やっぱりこの人、俺の事好きなのか?


(目を覚ましてください)


 起きてます。


「そうだ! 俺とツキはシェアハウスに住んでるんですけど、そこで打ち上げしませんか?」


「シェアハウス?」


「俺達含めて6人と子供2人が住んでるんですけど、皆いい奴らばっかりなんで、俺と二人より賑やかで楽しいと思いますよ」


 ショウさんの顔が明るくなる。


「シェアハウスか。いいな!」


「じゃあ、そうしましょう。ツキの料理は上手いですよ!」


「それだと、割り勘にならないぞ……」


「じゃあ、飲み物とかデザートを買ってもらうってのでどうですか」


「ああ!」


 う~ん。輝くばかりの笑顔だ。


「ツキもいいか?」


(せっかく何かが始まりそうだったのに)


 うるせー。


「いいよな、ツキ」


 コクリ。


「じゃあ、買い物行ってから行きますか!」


「ああ!」


 ◇


「また沢山買いましたね」


「8人もいるなら、これくらいいるだろ!」


 クリスとクウガがいるから余るという事はないな。


「オリ兄ちゃん!!」「オリ兄様!」


「おお~、クリスにクウガ。今戻ったのか?」


 二人が駆け寄ってくる。


「はい!」「うん!」


「残念ながら、今日も成果はありませんでした」


「そっか。フェスもありがとうな」


「そちらの方は?」


「ああ、紹介するよ。今週一緒の案件に入ってたショウさん。打ち上げをシェアハウスでしようと思って」


「そうですか」


「今日はサラはいるのか?」


 静かに首を横にふる。


「じゃあ、熊尽くし一緒に食べようぜ」


 今週はずっと熊尽くしだが、ツキが色々な料理にしてくれるので全く飽きない。


「ありがとうございます。私はまだ食べてないので楽しみです」


 フェスがツキに微笑む。


 コクリ。


 頷きだけで『まかせろ』と伝えるんじゃない。


「綺麗な殿方だな」


 ショウさんが小さい声で言う。


 やっぱり、皆そう思うよな。


「このシェアハウス、顔面の良い人ばっかり集まるんですよね」


 言ってから、普通顔も増えて来た事に気づいた。


 普通顔は俺、ツキ、サラ。

 良い顔はライ、リリー、フェス。

 可愛い顔はクリス、クウガ。


 子供はノーカウントとして割り合い的には同じだな。うん、サラのおかげでバランスが良くなった。


「それは凄いな」


 いや、ショウさんも十分すぎる程、美しいです。


「「「ただいまー」」」


(食事の用意してきます)


 おお、よろしくな。


「クリスとクウガは先風呂入って来いよ」


「はい」「あーい」


「ショウさん、食事これから用意するんで、そこのソファで座っててください」


「ありがとう」


「飲み物何にしますか?」


「そうだな。エールジンジャにしよう」


「了解です」


 エールジンジャを用意する。

 買ったばかりだから冷たい。


「ここがシェアハウスか……」


「こういう所初めてですか」


「ああ……」


 ショウさんが興味深そうにキョロキョロしている。


「低ランク冒険者専用のシェアハウスです」


「そうか、冒険者になったらこういう所に住めるんだったな」


「ショウさんはどこに住んでるんですか?」


「ああ、私は街外れのボロ小屋に住んでるよ」


「え?」


「安くてな」


「ギルドに近くて安いから、こういうシェアハウスも良いですよ。一緒に住む人にもよりますが」


 来たばかりの頃の、ライリリー争奪戦みたいな事が起きなければだけど。


「ボロ小屋でも住めば都だ……それに、人が多いところは……苦手でな」


 なるほど、その気持ちも分かる。


「「ただいまー~!」」


 お、ライとリリーも帰って来た。


「お帰り~」


 ガチャンッ。


「?」


 ショウさんのグラスが割れていた。


「大丈夫ですか?!」


 慌ててショウさんを見ると、目を見開き固まっていた。


「ど、どうしました?」


 ショウさんの視線の先にはライとリリー。


「嘘! ショウ姉っ?!」


 リリーの知り合いか?


 ライに目をやると、ライも目を見開き固まっていた。


「あれ? 二人とも知り――」


 知り合いか? と聞こうとした瞬間、ショウさんが凄まじい勢いで走って出て行った。


「っっ!! ショウ姉っ!」


 え? という間もなくライが走って追いかけて行く。


「なんっ……」


 なんだ? 一体何がどうなってる?


「まずい……」


 まずい?


「ライを止めないと! オリ! 追いかけるわよ!」


「え?! 何? ライを止める?」


「詳しい話は後でするから! いいからライを追いかけるの手伝って!」


「お、おう」


 何が何やら全く分からない状況でライを追いかける事になった。


「ではまた次回」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ