表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/222

はじめての案件受注(4)

「北側に煙幕弾上がってますね」


 やっぱり北側がよく出るんだな。


「南側は全然出ないな」


「ですね。まぁ、出ない方がいいんですけどね」


「そうだな」


 確かにこれはのんびりしちゃうな。

 一応、索敵はしてるから大丈夫だろうけど。

 それにしても『クリア・エネミーサーチ』カッコ良いな〜、俺とツキ以外に見えないのが残念だぜ。


「それにしてもよく上がってるな」


「やっぱり森が近いからですかね」


「おい、中央付近に煙幕弾が上がってるぞ」


「本当ですね」


「あの女の子大丈夫か?!」


「大丈夫ですよ」


「あんな華奢な身体でか?!」


「はい」


 誰よりも強いからな。

 なんならこの世界で一番強いんじゃないか?

 それはさすがに言いいすぎか。


「ははは」


「どうした急に笑い出して」


「いえ、思い出し笑いです」


「相棒にモンスターが迫ってるというのに余裕だな」


「そうですね。相棒を信じてるので」


 最強だからな。


「それはいいな」


 顔が黒い布で覆われてるから分からないが、ショウさんが笑った気がした。


「それにしても煙幕弾、上がりまくってますね」


 あれじゃ、畑の人達の手が止まっちゃうだろうな。


「加勢しに行った方がいいのではないだろうか?」


「そうですね。近場の畑の人に聞いてみますか」


 こっち暇だからな。


「すみませーん。北側に加勢って行った方がいいですか~?」


「ダメダメ、南側に何かあったらどうすんだ」


 まぁ、それもそうか。

 でも、南側は見事に何にもいないんだよな。


 北側まで索敵の範囲を広げる。


 なんか昨日よりモンスター来てるぞ。

 でも行っちゃダメだって言われたしな。


 ツキー。そっちどんな感じ?


(カンリパーティーが苦戦してますね)


 俺達そっち行けないんだけど、大丈夫そうか?


(大丈夫ですよ。いよいよとなったら、こっそり手伝います)


 じゃあ、いいか。


「くっ……反対側で戦っている者達がいるのに行けないとは」


「煙幕弾も上がらなくなって来たんで大丈夫じゃないですか? カンリパーティー慣れてそうだったし」


「……そうだな。君は落ち着いてるな」


「そうですか?」


「私はいつも、気ばかり急いてしまうんだ。こんなんじゃダメなのに」


 落ち込みだした。そんな感じにみえなかったけど。


 人は見かけによらないな。

 ……そういえば、本来の意味で見かけ見えてなかったな。

 黒装束で覆われてるから。

 どんな顔してんだろ?


 ◇


「今日は参った参った。こんなにモンスターが出る事はなかなかないんだが」


 へー、そうなんだ。


「ツキちゃんのおかげで助かったよ」


「すごいナイフ捌きだった。キラーベアーの脳天にナイフでズドンだからな。命の恩人だ」


 全然こっそり手伝ってないね。


「運が良かった」


「うんうん」


 …………。


 カンリパーティーの人が滑ったみたいになった。

 

「では明日からもよろしく頼む」


 ◇


「皆さん、1週間お疲れさまでした。報酬はギルドから受け取ってください」


「お世話になりました」


 終わったかと思ったら、畑の責任者の方が俺達を手招きした。


「今回はモンスターの数がやけに多かったので、畑Bの皆さんには心ばかりではありますが、上乗せしておきました。ありがとうございました」


「え、いいんですか?」


「もちろん」


「ありがたい。良かったなオリ&ツキにショウ。こんな事はなかなかないぞ」


 そうなんだ、はじめての案件受注で幸先がいいな。


「またどこかで会ったら、よろしく頼む」


「こちらこそ」


「オリ殿、今回は世話になった」


「ショウさん。いえ、世話なんてしてませんよ」


「なんだかんだ、私は一度も戦わなかったから……」


 確かに。ショウさんがいる時はモンスターも獣も出なかったな。


「モンスターは出ないほうがいいんですから、良いじゃないですか」


「良かったら、お礼に食事でもいかないか? 打ち上げみたいな……」


「いえいえ、本当に気を使わないで下さい。俺達は仕事してただけなんで」


「そうだよな。私なんかと打ち上げなんて嫌だよな。すまん、聞かなかった事にしてくれ」


「いやいやいやいや。違いますよ。嫌だなんて事ないですよ」


「……」


 う~ん、見られてる。


「分かりました。じゃあ、割り勘でどうですか? な、ツキ?」


 コクリ。


「いいのか?!」


「はい」


「よし! じゃあ行こう! どこ行こうな?!」


 う~ん、最初に見た時と印象が変わってきたぞ。


「私はどこでもいいぞ! オススメとかあったら教えてくれ!」


 勢いが凄い。


「じゃあ、俺達がよく行く店で良いですか?」


「ああ! もちろん!」


「じゃあ、ショウさん麦わら帽子返してから行きましょう」


「あっ! まだ被ってたな!」


 走って帽子を返しに行った。


「やっぱり人って、話してみないと分からないな」


「話していても、分からない事があるのですから当たり前ではないですか」


 そうですね。


「どうせなら、カンリパーティーも誘えば良かったな」


「誘えないくせに」


 ギクゥ。


「かなり年上だからな〜」


 誘われるなら、いいんだけど。


「年上じゃなくても、できないくせに」


 うるせー。


「そういえば、なんでこんな案件受けてんだろ?」


 低ランクの仕事だよな?


「ずっとここの警備をしてるそうですよ」


「え?」


「楽だからと言ってました」


「いやいや、他にもあるだろ」


「高望みはしないそうです」


 は〜……。

 冒険者も色々だね。


「待たせたな! 行こう!」


 …………。


「えっと……どなたですか?」


「何を言っているんだ! ショウだよ!」


 ははは! と目の前の人が笑う。


「ショウさん?!」


「しょうだよ!」


 ははは! と笑ってるが面白くないよ、そのダジャレ。


「顔……」


「ああ、顔か。日も暮れたからな、頭巾と口当ては脱いだのだ」


 顔……。


「ほら、行くぞ! 場所を教えてくれ」


 ショウさんが駆け出す。


「あ、はい……」


「ではまた次回」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ