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いざ!冒険者ギルドへ!

 数日寝込んだ俺は、お粥から普通食へと段階をあげて行き、胃に負担のかからない食事をして回復した。


「あほ?」


 最初からこれでは肩透かしもいいところだ。


「油断大敵お腹ピーピーだな」


「汚い」


 とかいいながら食事はツキが作ってくれた。


「ありがとう、お母さん」


「誰がお母さんだ」


「朝っぱらから仲がいいなぁ」


「あ、おはようライ」


「おはよう~。

 あ~あ、俺もツキちゃんが作った朝ごはん食べたいな」


「だってさ、お母さん」


「嫌」


 よく面と向かってそんな事言えるなオイ。


「残・念」


 爽やか~。あんな事言われてんのに。

 爽やかに、そしてナイススマイルで返せるなんて。

 あれが陽の人か。メンタル強すぎ。

 俺なら膝抱えて泣いてるね。

 冗談で言った事を一生後悔する。立ち直れない。

 こんなんだから俺は童貞で一生を終えたんだ。


「うじうじ」


 うるせー。心を読むんじゃない。


「おはよー! オリまだ調子悪いの?

 朝っぱらから死んだような顔して」


「まだピーピー」


「違うわい!」


「汚っ。オリ、朝からやめてくれる?

 これから朝食なのに。

 ライ、今日のご飯なに?」


 言ったのはツキなんだが。


「ん~? エッグトースト~」


「やった! 好きなやつ!」


 この人たちこれで付き合ってないっていうから、もうよく分からないよ俺。


「何?」


「俺もライの朝ごはん食べたい」


「だってさ、お父さん」


「ん~? ウチの子になるか~?」


「なるなる」


 ゲシッ。


「痛っ」


 ツキに蹴りを入れられた。


「冗談だよ、ツキのご飯が一番おいしいよ」


 すんごい顔で睨んでくるツキ。

 睨みすぎて白目になりそう。


「ぶはっ……顔やば」


 ゲシッ。


「痛ははっ! ごめん、ごめんって!」


 ゲシゲシッ。


 ローキックばっかりしてきやがる。


「ぶほっ」


 それはそれは綺麗なハイキックを頂きました。


「それはダメなやつだろーが!」


「ギルド」


 そうですね。


「じゃ、行ってきまーす」


 俺たちは元気に冒険者ギルドへ向かった。


  ◆


「やっぱ仲いいよな~。

 本当に付き合ってないのかな~?

 羨ましいなぁ、ツキちゃんのキック」


「ぶっ! ちょっとやめなさいよ。

 コオヒー吹いたじゃない。変態みたい」


「誰が変態だよ」


「ライ・クリスタル」

 

 ライにコップを差し出すリリー。

 リリーのコップにコオヒーを注ぐライ。


「今日のコオヒーおいし」


「だろ、新しい店でさ――」


  ◆


「さて、と。やってきました! 冒険者ギルド!

 ここまで来るのに長かったぜ~」


「あなたのせいですね」


 すみません。


「この間来た時とはまた違う高揚感があるな」


「異世界好きのおじいちゃんの記憶入りましたからね」


「おじいちゃん言うな。そういえばさ、あの世モードとツキモードで全然違うよな。なんなの?」


「この世界では無口キャラなので」


 キャラ言うな。


「美少女は色々大変なんですよ」


 ギルド来たぜぇ。


「美少女は色々大変なんですよ」


 あ~、ドキドキする。

 記憶戻る前はどんなだっけ?

 前回は初めての冒険者ギルドでなんかふわふわしてたから、全然覚えてないな。


「とっとと入りましょう」


 ギィィ……


「おぉ! ……お?」


 中へ入るとカウンターがあり、窓口は7番まである。

 綺麗なお姉さんや普通のお姉さん達や眼鏡をかけたお兄さんとかがいた。

 そして、長椅子が並んでおり、冒険者たちはたぶんパーティーで座っていた。


「大きい銀行の受付みたいだな」


 思ってたのと違う。拍子抜けだ。

 あれ? こんなんだったっけ?

 あれぇ、THE異世界どこぉ?


 前の時は違和感も何も感じなかったけど。

 ここが冒険者ギルドかぁ。なんて思ってたけど。


 記憶が戻るとなんか違うってなるのか。

 冒険者ギルドといえば、パーティーごとに丸いテーブルに高い椅子とかに座ってたり、立ってお酒飲んだりしながらたむろしてる的な。

 で、新参者の俺達をからかうーみたいな?

 そんなのはなかった。あれこそ異世界テンプレって感じなんだけど。


「えっと、受付するか」


「番号札持ってきましたよ」


 ガーンッ!

 そういえば……番号札があった。

 銀行とか病院でよくあるやつ。

 ここのギルド、番号札がありやがる。

 木でできてるけど、木が2本セットになってて。

 1本は自分達、1本は窓口の箱に入れて。

 呼ばれたら、窓口へ行くんだ。

 長椅子に座って待って、呼ばれたら窓口に行くという効率的なシステムがこの世界にはあるんだった。便利~。


「うそだろ」


「本当です」


「52番だから、まだ呼ばれるまで時間かかりますね」


 はは……そうですね。


「受ける依頼票を持って来ましょう」


 そうですね。


「あらためて、ゴブリン退治にしておきますか」


 長椅子が並んだ横あたりに、漫画喫茶の雑誌コーナーみたいな本棚があり、依頼の冊子が置いてある。8月号と書いてある。


「依頼票が壁に貼ってないなんて」


「依頼が沢山あるのに、壁で足りるわけないでしょう」


 そうですね。


 でも異世界ものって、壁にはなくても、お姉さんが後ろの本棚から冒険者に合った依頼を探してくれたりするじゃん。


「本棚に置いておけばいいのに、受付で探すなんて非効率でしょう。時間がいくらあっても足りませんよ」


 そうですね。

 確かに。間違いない。全くもってそのとおりだ。

 でもさ、でもさ。探してる間にお胸の大きい綺麗なお姉さんと会話したりしてさ、仲良くなってさ。 レベルが凄く上がったら凄いって言ってもらえたりさ。食事に行ったり、その後にムフフなんてあったりさ。


「早く行きますよ」


 はい。


「ちなみに、冒険者になりたての弱い我々には、こちらの本ですら不要です」


 え?


「前回と同じく、ゴブリン3体にしておきますか」


 本棚の横にちらしのように置いてあるコーナーもあった。

 スライム、ゴブリン、カーダイ、キラーラビット等々の紙が置いてある。


「カーダイって聞いた事ないな」


「蚊の大きいヤツです」


 あっそ。

 もうなんでもいいよ。


「この紙に何体倒すか書いて受付に出します」


「そんなんだったな~。

 思ってたシステムと違って、それはそれで新しいな。

 知らないだけかもしれないけど。

 異世界もの何でも知ってるわけじゃないからな~。

 てかさ、なんでゴブリンとかの依頼があるんだろうな。

 なんか、強いパーティとかが、撫でるだけで倒しそうなのに」


「強いパーティーは難易度の低い依頼は受けないからに決まってるじゃないですか」


「そうなの? 道歩いてる時とかに出くわして『ぺいっ』て倒しそうじゃない?」


「それをされたら冒険者が育ちませんからね」


「なるほど」


「でもさ、そしたらゴブリン街に来ちゃわない?」


「だからこうして毎日のようにゴブリン討伐依頼があるんでしょうよ」


「なるほど」


 とりあえず、呼ばれるまで待つか。


「ではまた次回」

異世界のモンスターとか詳しくないので、モンスター名適当なのが多いです。

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