四章 戦士と奴隷③
「まず、一つ重大な告白をする。実は、俺は高校生ではない」
「やっぱりな」
「ほぅ、見抜いていたのか。中々優秀だ」
「…………」
――多分ほとんどの人が気付いていると思うんだけど。
「翔が見込んだだけはある。実は、俺はある組織に所属していて、その組織の命令でこの学校にきた」
「組織?」
孝二が聞き返すと、真は制服の内ポケットをあさり、中から何かを取り出す。
「これがその組織だ」
取り出した物を孝二によこす。孝二は黙ったままそれを受取る。
「なんじゃこりゃ?」
真から渡されたものは名刺だった。真の名と、組織名らしき物が書かれている。
「Collect Waste Articles.通称『CWA』。それが俺たちの組織の名だ」
「CWA?」
「直訳で廃品回収って意味だ。世界中に散らばる刻印を回収する。それが『CWA』の目的だ」
「刻印って、それだよな」
孝二は、真の手の甲の紋様を指さす。
「敬語で喋れと言っただろうが……。私のほうが年上だぞ」
「……分かりましたよ。それで、何なんですか、その刻印は」
真は煙を吐き出しながら、口を開く。
「実を言うところ、この刻印については、まだほとんどのことが分かっていない。様々な説があるが、まず、その内の一つの話をしよう」
孝二は黙って真の言葉を聞く。真は続ける。
「これは、もう神話のレベルだな。かつてこの世で神と悪魔の間で戦争が起きた。どちらがこの世界――つまり人間界を支配するかという戦争がな」
真は一呼吸おいて、さらに言葉を紡ぐ。
「だが、その戦争で主に戦ったのは、神の兵士でもなく、悪魔の兵士でもなく、人間だった」
「人間が?」
孝二が聞き返す。真はちらりと横目で孝二を見やる。