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三章 ピンクなアミーゴ④



 ホームルームにはぎりぎり間に合った。そして教室に入るなり、とてつもなく巨大で鋭い殺気が孝二を貫いた。

 発生源は見なくても分かる。真だ。

「…………」

 孝二は一瞬ためらうが、自分の席に着くため、恐る恐るといった様子で、近付いていく。

「――貴様」

 真が口を開き、孝二へと向けられた眼をさらに鋭くさせる。孝二は思わず立ち止まる。

「純粋無垢で天使のような――いや、まさに天使そのものといってもいい舞との約束を平気で破っておきながら、よくのうのうと遅刻間際に学校に来れたものだ」

「…………」

 孝二はうんざりしたように、ため息を吐く。そして隣で同じように、ため息を吐いている舞に、言葉を投げかける。

「その、昨日はごめん。学校案内できなくて。今日は絶対に忘れないから」

「……あ、うん。大丈夫。気にしてない。でも今日は用事があるの」

「……そうか。本当にごめん」

 孝二は謝りながら席に座った。

「――こともあるだろう。だが、朝一番で粗品と土下座を持って、謝罪するならまだしも、貴様は――私を無視したな……」

 背後からの殺気。だが二日目になると、だいぶ慣れてきた。

「お兄ちゃんの相手するの、大変でしょ~? 本当いつもこうなんだから」

 隣の舞が、声をかけてきた。孝二は首を大きく縦に振り、同意する。

「あ、包帯取れたんだね。けが治ったんだ」

「あぁ、これ? うん、今朝とれたんだ」

 そう言う孝二の口元が自然と緩む。ずっとトラウマとして持っていたものが消えうせたのだ。

「足の短い、平凡面のくせに、よく私を無視出来たものだ」

「…………」

 孝二は、背後からの声に、眉を一気にひそめる。真の殺気に慣れてくると、だんだんとその言動に腹が立ってきた。

「あんたなぁ……いい加減にしろよ。いつまでも調子に乗ってると――」

 孝二はそう言いながら、後ろを振り返る。

 真は孝二の顔を確認すると、口元をにやりと歪ませる。

「ほぅ、良い面構えだ」

 真は身を乗り出し、孝二に顔を近づける。

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