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絶対って奴はない。弱点は必ず、どんな敵にもある。

ようやく50段ほどある階段を上り切り、屋上に戻ってきた。

目の前には、光弾をうまくよけ続けるリエータと、

不動の構えでダメージを何とかして減らすディアナが。

「タイガ君!」

それに気付いたリエータが、何か合図を送る。

「!?」

背後から尻尾が迫ってくるので、スタミナを振り絞ってかわす。

威力が大きそうな分、動きは大振りで見切りやすいと言えるだろう。

「やっと戻ってきたんだね、心配したよ!」

「り、リエータ……わ、悪い……」

そして肩で息。

……体力つけよう。マジで。

「とりあえず遅れた分挽回してくれないと、おこだよ!」

「私なら大丈夫!」

ツバキはオーバードライブをかけると、猛スピードでゼウスの腹部に向かう。

「援護する……ぜっ……ツバキ……!」

「タイガ君は少し呼吸整えて!」

ごもっともだ。

「{ドラグーンバイト}!」

赤い閃光がまっすぐ、ゼウスに向かって飛ぶ。

「{アッパーブレイク}!」

赤い閃光が貫くと同時、ツバキの拳が穿つ。

しかし、防御ダウンは無効化される。……まぁそれもそうか。

「{天地一閃}!」

直後に衝撃波が、ゼウスを斬り抉る。

怯まないため、効いているかどうかがわかりづらい。

「{シャドウレーザー}!」

ようやく体力が戻った俺は、シャドウレーザーをとりあえず頭に撃ち込む。

やはり光属性得意と言うだけあり、唯一弱点を付ける属性の闇は多くのダメ―ジをたたき込める。

「ガアアアァァァ!」

すると、ゼウスは頭を地面に突っ込んだ。

「!?またこの技……!?」

「ど、どうしようリエっちゃん!?パワーシールド使えんよ!?」

「くっ……!」

焦るリエータとディアナ。

「くっつくんだ!」

俺は二人に大声をあげた。

「タイガ君!?」「タイちゃん!?」

「いいからそいつにくっつくんだ!早く!」

「わ、わかった!」

「イミフだけど……うん!」

ディアナ、リエータが、ゼウスの体にしがみつく。

「タイガさんも!」

「あぁ!」

そして俺とツバキも、ゼウスの尻尾に密着し……


チュド~~~~~~~ン!!




砂ぼこりが晴れると……

「すげぇな。ツバキ。お前のおかげだ」

「いえ、私も見間違いかと思っていたので……もし違ったら申し訳ないなと……」

俺たちは全員無傷だった。

光属性の攻撃だから、闇得意な体と尻尾に当たると不都合があるのだろう。

だからその部分には攻撃を当てるわけにはいかない。

そのゼウスの隙を見抜くことが出来たのは、ツバキのおかげだ。

ゼウスを見ると、ゼウスは息切れしているかのように動かない。

高揚度が高まったがために、攻撃を矢継ぎ早に行ってきたんだろう。

「チャンス!」

しがみついていたリエータが、ゼウスの背中を進んでいく。

「おい、リエータ!?」

「大丈夫!リエっちゃんには考えがあるみたいだから!

 それより……{サンダーボルト}!」

雷を飛ばす。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「?」

その様子を、ポラリスが不思議そうに眺めていた。

「り、リエータさん……?」

「あれはいったい……」

「なるほどね」

そして『何か』を見つける。

「エル、強化剤の準備、お願いできるかい?」

「はいっ!」

「アレン、キミはアンカーの準備を、ボクが声を上げたら、撃ち出して」

「わかりました」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「オオオオオォォォ!!」

「くっ……!」

体力を盛り返したゼウスが、リエータを振り落とそうと暴れ出す。

「リエータさん!」

「大丈夫!攻撃を続けて!」

抜群の体幹で、揺さぶる動きをものともしない。

「はい!……{スラッシュキック}!」

ツバキが腹部を蹴り下ろす。

そこへ光弾を撃ちだそうと、口を大きく開けるゼウス。

「{パワーシールド}!」

すかさずディアナがパワーシールドをかけ、ツバキごと守る。

「!?ごめんなさい、ディアナさん」

「だいじょぶだいじょぶ!でもあんま空中にいないほうがいいよ!バキッちゃん!」

その言葉を聞くと、ツバキは空中で足をのばし、勢いよく着地する。

「{シャドウレーザー}!」

さらに俺がシャドウレーザーを撃つ。

「オオオオオォォォ!!」

ゼウスの口の中に光が集まりだす。

「ブレス……!」

「とりゃ~!」

ジャンプの勢いを借り、ゼウスの頭に槍を突き刺す。

「ガアアアァァァ!」

頭を攻撃された怒りからか、ゼウスは技を中断する。

その瞬間に、アンカーが飛んできた。

「グウゥ!?」

拠点から無数に伸びたアンカーが、ゼウスの体を無数につなぎとめ、拘束する。

直後に赤い霧……強化剤が降り注ぐ。

「さすが……うまくやってくれてるな……なら、大盤振る舞いで行くか!」

「はい!」

「マジJB!」

ファントムソードをかけ……

「{パワースラッシュ}!」

「{秘剣・オオイカズチ}!」

「{烈風脚}!」

俺たちが相次いでスキルを使い……

「{ドラゴリベリオン}!」

そしてゼウスの頭に、リエータが槍を突き刺す。

アンカーを振りほどいた瞬間……白い頭を赤い炎が蹂躙する。

「きゃっ……!」

しかしすさまじい爆風に、自分も吹っ飛んでしまう。

「リエータ!」

「グガオオオォォォ!」

激しい痛みを、頭を揺り動かして表現するゼウス。

「やっぱり効いてる……いだ!」

何かを確信したと同時に、したたかに背中を打ちつける。

「大丈夫かリエータ」

「う、うん。ありがとう」

背中を軽く払い、ゼウスを見据える。

「タイガ君、さっき見えたの。ゼウスの頭の上に、黒い裂け目が」

「つまり、そこに攻撃を当てれば何かある……ってことか?」

「うん、めちゃくちゃ痛がってたから、間違いないと思う」

少し考えた後……

「あぶねぇことで悪いが、もっかい頼めるか?」

「うん。お兄ちゃんのためなら」

リエータは再び駆け出した。

「ディアナちゃん!ツバキちゃん!時間稼いで!」

「今度はリエっちゃんのためにね!りょ!」

怒りからか、ゼウスの攻撃が激しくなる。

口から激しく光弾を吐き出すが、リエータは絶妙な足さばきでよけていく。

「こっちです!」

ツバキが挑発するようにパンチを放つ。

「ウチにもか~まちょ!」

同じようにディアナも攻撃。

「ウオオオォォォ!」

そこへ大口が迫る。

「!?{オーバードライブ}!」

ディアナの腰に手を回し、勢いよくダッシュ。

「あっぶっ……ありがとうバキっちゃん!」

「……リエータさん!」

声を上げると、リエータはかなり高く跳びあがっていた。

「おおおおおおお!」

それに対し、首を持ち上げるゼウス。


ズドン!


「ガギ!?」

大砲がゼウスの頭に命中し、大きく首を降ろした。

「{メテオドロップ}!」

赤い炎を纏った槍がまっすぐに、ゼウスの頭に向かい刺し抉った。

再びゼウスに乗るリエータ。

「ガギャアアアァァァ!」

ゼウスは大きく頭を揺り動かすが、

「ぐううぅぅっ……!」

深く突き刺さった槍を支えに、両足に力を込めて踏ん張る。

職業通り、暴れるドラゴンを乗りこなすドラゴンライダーとなっている。

「{ソニックブレード}!」

そのリエータを援護するように、俺が頭に攻撃する。

「タイちゃん!ウチらは!?」

「そうだな……ツバキと一緒に、このまま待っててくれ。オーバードライブ中悪いけど」

「大丈夫です。私はタイガさんを信じます」

ゼウスをまっすぐ見据える二人。

「{ダークネスビット}!」

引き続き援護を続ける。

「ガアアアオォォォ!」

頭を攻撃され続ける怒りからか、再び地面に顔をめり込ませるゼウス。

「その時を……」

「待ってたんだ!」

リエータは槍を引き抜くと……

「{ドラゴリベリオン}!」

思い切り槍を突き刺し、大爆発。

しかしゼウスは怯まない。

「{デストレイル}!」

そこへ俺がデストレイルで薙ぎ払う。

すると、バリバリと何かを破るような音が聞こえて……

「ガグアアアァァァ!」

ゼウスの白い鱗が、根こそぎ剥がれ落ち、

陸地に打ち上げられた魚のようにぐったりと動かなくなった。

「待たせて悪かったな、ツバキ、ディアナ、行くぞ!」

いわゆるチャンスタイムだ。

ディアナとツバキも、倒れ込んだゼウスの頭へ近づき、一息に攻撃する。

しばらく経つと、ゼウスの頭部の鱗が再生し、ゼウスは再び起き上がった。

「ガアアアァァァ!」

そして口の中で光を溜める。

まずい、アンカーと大砲はおそらくクールタイム中だ。

「なら……{パワーシールド}!」

ディアナがパワーシールドを発動し、俺たちがその結界の中に入る。

直後に強大なエネルギーが、パワーシールドに襲い掛かる。

視界が白く染まり、何も見えない。

……ようやく視界が戻ると、そこにはまるで何もなかったかのように、

その場に鎮座するゼウスがいた。

「やっぱ一筋縄ではいかねぇな」

「それでこそ、燃えてくるんだけどね!」

リエータのその言葉に、俺たちは再び構えなおした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そうした動きが続いて、早40分弱が経過。

「よし、いい調子だ」

飛行船の中に、安堵が広がる。

モニターには、再びダウンを奪った姿が映っている。

「さ、さすがに緊張しっぱなしで、疲れてきました……」

「結構長いですね……エル、大丈夫か?」

こくりとうなずくエル。

「あ、ゼウスが起き上がります!」

アレンの声と同時に、

「……?」

ゼウスは、塔の周辺を飛行し始めた。

「何?」

「あ、アンカーを撃ち……あ、あれ?」

そして空高くへ、ゼウスが飛んでいく。

「……まずい予感がする」


結果的に、そのポラリスの予感は的中した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「!?」

塔にいる俺たちも、その違和感に気付くことが出来た。

「ガギャアアアァァァ!!」

「な、何!?」

そしてゼウスが、大きな口を開ける。

まずい、大技か……?

ついさっきデストレイルを使ってしまった。

今一応ブラックソウルで回復しているが、間に合わない。

冥府神の加護が発動しない場合、俺はまず間違いなく消し飛ぶだろう。

そうこう考えているうちに、巨大な黒い隕石のようなものが見えた。

「!!?」

そして、ゼウスが咆哮と同時に、その黒い隕石が落ちてきて……




ゴオオオオオォォォォォ……!




―――――――――――――――――――――――――――


【WOO第三回イベント】襲来!天神竜ゼウス 3【8月4日】


878 名無しの冒険者


がんばってんなぁ、アーチャー氏のとこ


879 名無しの冒険者


これだけの小規模なギルドでもし生き残ったらすごいな


880 名無しの冒険者


うお、ついに神の怒り使ってきたぞゼウス

残り20分の合図だ


881 名無しの冒険者


ここまでこれたのが5組。うち2組だけだからなこれを生き残ったの

どうなるんだ


882 リエータ教信者


リエータたあああん


883 名無しの冒険者


仮にこれを乗り越えても神の怒り

残り10分と残り5分に使ってくるんだろ?

耐えられるとは思えないんだが


884 名無しの冒険者


全員不屈の闘志とサイクルスキルで生き延びてた黒き悪魔たちと違うしな

ところでなんで鋼の心は生き残れたんだあれ


885 名無しの冒険者


HP400近くある奴が1撃だったもんな

どうやって生き延びたんだろうな


886 名無しの冒険者


とりあえず俺は、次の神の怒りで拠点含め全員消し飛ぶに一票


887 ナナシドラゴン


いや、案外しぶといかも知れないよ彼らは

それに……


タイガならこのイベントのからくりに、気付くかもしれないしね

ナナシドラゴンが言う「からくり」とは?

次回、第三回イベント完結です。

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