入れ替わり立ち代わりいろんな人に会う。それが醍醐味でもある?
弓スキルと光スキルの説明を加筆しました。
また、掲示板の書き込みを一部修正しました。
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【WOO】なんか変な長剣使いがいたんだけど【初心者さん?】
58 名も無きアーチャー
例の初心者さんっぽい長剣使い、なんでもツバキとフレンドらしいよ
59 名無しの冒険者
マジか。よりにもよってそんな厄介な奴に目を付けられてんのかよ
60 名無しの冒険者
ツバキってビギニングイベント9位の奴じゃん
厄介な奴ってなんでなん?
61 名無しの冒険者
知らねぇの?
あいつ兄妹ぐるみでデータ改造してるらしいって噂
62 名無しの冒険者
てかアーチャー氏、なんでツバキとフレンドって知ってたん?
63 名も無きアーチャー
ツバキが本当にそうかはわかんないけど
前のビギニングイベント、なんかデータの改造があったってのは事実だね
水使いですら苦戦する炎得意モンスター多かったのに、風得意なツバキが
モンスター50体も倒すのっておかしいとかなんとか
64 名も無きアーチャー
>>62 雪山で素材集めしてたらフレンドワープ使ってるのが見えた
その後気になってフレンドワープで町に戻ったらツバキも戻ってたから多分そうだと思う
足遅いからちゃんと見てないけど
まさか初心者さんなら町の近くから離れられないだろうしね
65 大剣大好きっ娘
情報提供あざ丸水産
あとその長剣使いって気になるね、男?女?
66 名も無きアーチャー
男
67 リエータ教信者
それ聞いてどうなんだよwww
そんなことよりリエータたんハァハァ
68 名も無きアーチャー
それ、別のスレでやってくれる?
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とりあえず昼食をとるため、後でもう一度落ち合おうとツバキに連絡し、ログアウト。
「悪いな、ナツキ。飯作っててくれたんだな」
「うん!今日はちょっと張り切ってみたんだ!」
目の前に置いてあるのは冷やし中華。麺は市販のもの。
しかし具材は美しく切られており、タレも市販のものを元に味付けがされている。
「で、旦那ぁ」
「……」
……大抵こういう凝ったものを作る時はわかっている。
「……嫌だぞ」
「え~!?まだ何にも言ってない!」
「どうせ{宿題がわかんないから教えてほしいナツー}とかだろ?知ってんだからよ」
ズルズルと頬張る。……うまい。
「あたし{ナツ―}なんて語尾じゃないもん!お兄ちゃんの意地悪!」
そして俺から器を取り上げようとする。
「……」
「……」
キョロキョロと、俺の方を見る。
「……あ~、わかったよ。ちょっとだけだぞ?俺も忙しいんだからな」
「わ~い!ゆっくり食べていいからね!お兄ちゃん!」
「たく……」
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――って、ことで少し遅れる。
世話になってるのに悪いけど、またログイン出来たら連絡させてくれ。
本当にごめん。
「……」
一方こちらはツバキの家。
家と言っても、こちらは現実世界のツバキの家である。
「妹……か……」
椅子に腰かけ、深くため息をつくツバキ。
「……」
その時、背後の扉が開いて……
「おい、無能」
「!?」
背後から、黒髪のロングヘアの男がやってきた。
「に、兄さん……」
「テメェ、何無駄に箸にも棒にも掛からねぇ奴に世話焼いてやがんだ?
オレを1位にするっていう約束はどうした?」
「え、いやっその……」
バシッ!
「きゃあ!」
平手打ち。
「いいか、テメェはオレの引き立て役だ」
男がツバキの胸倉をつかむ。
「ちゃんと、わきまえてんだろうな?」
「……」
「わきまえてんなら……もうわかるだろ?やるべき事が」
「……」
ゴミを投げ捨てるかのように地面に投げ飛ばす。
「なんで母さんや父さんじゃなく……」
「……」
「お前みたいな役立たずが生きてんだろうな?」
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キラ~~~ン……
「さてと……{悪い。今ログ……}ん?」
TO:タイガ(Tiger)
Subject:ごめんなさい
今日は少し急用ができてしまったので、これ以上ご一緒には出来ません。
本当にごめんなさい……
現実時間の15時、つまり今から5分前にメールが届いている。
「しまったな……」
もっと早めに切り上げておけばよかった。
そもそもナツキが、教わるのに時間かけすぎなんだよあいつ。
「ん~っと、え~っと……と、とりあえずわかんないとこ全部教えて!」
その「とりあえずわかんないとこ」はほぼ全部だった。
……まぁ、妹に頼られるんだ。悪い気はしないが……
とりあえずツバキには悪いことをしてしまった。メールを送っておかないとな……
TO:ツバキ(Tsubaki0802)
Subject:Re:ごめんなさい
気にしないでくれ。わがまま言ってるのは俺の方だからさ。
俺こそ遅くなって本当ごめん。
もしよかったら、また一緒させてくれ。
現実世界では妹から喜ばれるほど、頭の良さは頼りになる。
しかし、この世界では結局魔法や武器でごり押すのが最適解のようだ。
「よし、今度は負けんぞ?」
「ピーッ!」
トビウサギ3匹が跳んでくる。
「{シャドウガン}!」
・・・・・・・・・・・・
「……あ、あれ?」
「……ピ?」
……すぐに、気付く。
「装備し忘れた!」
しかも最悪なことに……と、いうか当然のことだが、戦闘中ではスキルの付け替えは出来ない。
「くそっ!やってやらぁ!」
俺は無理矢理にでも剣を使い……
結果、初日と同じ展開になった。
「ぜえぇ……ぜぇ……いい加減ポーションの味慣れてきたけどな」
謎の対抗心を燃やしつつ、宝箱を開ける。
Get!【トビウサギの皮】×3
「お!?全員から落としてるのか!幸先がいいな!」
残りはクモの巣2個、トビウサギの皮9枚、ウェアウルフの皮4枚。
クモの巣……ウェアウルフ……
少なくとも草原には、トビウサギとゴブリンしかいないようだ。
俺は近くにある森の中へ入ってみた。
……森の中は鬱蒼としており、いかにも手ごわそうな敵が現れそうな雰囲気。
「さてと……誰が来る?」
そして……現れた。
「ピーッ!」
トビウサギ(2匹)。
「お前らかよ!」
まぁトビウサギの素材も欲しかったから別に構いはしない。
俺は早速、魔法を唱えようとした。
「{シャドウガン}!」
・・・・・・・・
「え!?」
バカな。今度はちゃんと装備したはずだ。
「{シャドウガン}!{シャドウガン}!{シャドウガン}!」
一度唱えてダメなら、何度唱えたって唱えられるわけがない。
「ど、どど、どうなってんだ!?」
「ピーッ!」
突進してくるトビウサギ。
「くそっ!」
剣を構える俺。
……しかし、それよりも早く……
「{アローストライク}!」
「ウピィ~!」
「!?」
背後から、何か飛んできた。
よく見ると、白い巨大な矢がトビウサギに突き刺さり……
「あ、離れたほうがいいよ」
さらに背後から声が聞こえる。
「聞こえないかな……?離れたほうがいいよ~~~!」
「お、おう!」
その声に従い、矢が刺さったトビウサギから離れると……
「{スターゲイザー}!」
まばゆいばかりの光がトビウサギに集まったかと思うと、
「!?」
矢が爆発し、無数の星が上空に立ち上った。
次の瞬間、トビウサギはその場におらず、宝箱が二個。
「あ~、やっぱスターゲイザーで倒せる敵は楽だなぁ」
背後からゆっくりと近付いてくる。
「おっと、構えないで。ボクはトビウサギの素材が欲しかっただけだよ」
その人物が明るみに出る。
「?」
銀色のくせっ毛、緑色のマフラー。白色のローブを身にまとい、
手には黒い色の弓を持っていた。
……そして何より、かわいらしい顔。
「女……?」
「よくこのぺったんこな部分見てそう言えるよね」
我ながら、ものすごい失言だと思う。
その人物は、俺の方にゆっくりと歩いてきて……
「……」
ゆっくりと……歩いて……きて……
「足遅いな!?」
「いや~、弓使いだから素早さは必要ないと思ったんだけどねぇ。近付かれなきゃいいし」
頭を掻きながら言う少年。
「まぁ、近いうちにある程度素早さに振ろうとは思うけど」
「……」
一応ステータスを見てみる。
ポラリス レベル25
得意武器:弓 得意属性:光
HP:195
SP:130
腕力:60 知力:10 器用さ:35 素早さ:1 体力:66 精神:1+20
武器:レイヴンキラー
【カラス殺しの名を持つ弓。飛んでいる敵に対する命中率が上昇】
防具:ふわふわローブ
【ふわふわした感触が癖になるローブ。水属性の被ダメージを20%落とす代わりに、
炎属性の被ダメージが20%増加する】
腕:(装備不可)
アクセサリ1:毒蛇のマフラー
【巨大な毒蛇をあしらったマフラー。精神が20増加し、瘴気毒以外の毒効果を無効化する】
アクセサリ2:赤サンゴの腕輪
【赤サンゴを使った腕輪。挑発効果が発動する代わりに、被ダメージを5%低下】
……なんだこの固定砲台。
「まぁ確かにそう思うのも無理はないよ。正直腕力と体力に振りすぎたしね」
基本は弓で攻撃するんだろうが、それにしてもダメージを受けること前提過ぎるだろう。
「フラッシュやスターライド、ホーリーシールドで案外なんとでもなるよ?」
しかし今回、弓も器用さ依存でなくなったのは弓使いとしては痛いだろう。
「本当それ。今までは器用さをあげていたらなんとかなったんだけどね」
「いちいち俺の思ってることを読むんじゃない!」
「あはは、ごめんごめん。人の考えを読むのが好きなんだ、ボク」
ポラリスは、宝箱を見つめる。
「それより……開けたほうがいいんじゃない?せっかくの宝だし」
「お、おう……そうだな」
言われるまま、宝箱を開ける。
Get!【トビウサギの皮】×2
「よし、盾まであと1枚だな……って、すまん。お前が倒したのにな、受け取ってくれ」
「あ~いいよボクは。ボクはトビウサギの耳が欲しいからさ」
「耳……?」
そう言えば、ツバキと一緒に手に入れたトビウサギの耳があまっていた。
「……いるか?」
と、トビウサギの耳のアイコンを提示してみる。
「いいの?」
「あぁ。俺は皮だけ欲しいしな」
「……」
するとポラリスは、目を輝かせていた。
あれ?かわいい……?
いや、違う。ポラリスは男だ。また怒られる。
「ありがとう……!これで新しい装備が作れそうだよ」
「……うさ耳か?」
「違う違う。レベルが上がると作れるようになるものがあるんだ。
……って、あ、キミ。レベル上がってない?」
「あ、本当だ。悪いな」
レベルが上がったことに気付いていなかった。
「もうレベル3か……これで盾の素材が揃ったら北の洞窟に行ってみるか?」
ダークフォッグさえ使えれば逃げられるだろう。
それに万一ゲームオーバーになっても、経験値と素材が奪われるだけだ。
~サファイア先生の ワールドオーダーオンライン講座~
このゲームはVRMMOなので、当然ゲームオーバー=死にはなりません。
ただし、スキルを含めた得た経験値は0になりますし、素材はすべて奪われます。
町に戻る。もしくは、ダンジョン内ではセーフティーエリアに入れば、
それまでの得た経験値や素材はセーブされ、
それ以降ゲームオーバーになってもそのままになります。
無理をしすぎない程度にがんばる。というのが大事ですよ!
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「……」
その様子を見つめるポラリス。どうやら俺のステータスを見ているようだが……
(タイガ……え?嘘……だよね。あんな天才ゲーマーだよ……?
こんな初心者顔負けなプレイをするわけがないし……
そもそも魔法使えないなんてありえないしね)
「どうした?」
「え?いや、何も……それより、北の洞窟に行くつもりなら、やめたほうがいいよ?」
「なんで」
次の言葉に、俺は耳を奪われた。
「あの洞窟、{ダークリゾルブ}っていうギルドの巣窟になってるからさ」
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アローストライク 弓(光) 消費SP:12
【弓と光の複合スキル。相手に命中した矢を場に残す。
光の矢は一部の光魔法に呼応し、爆発を起こす。クールタイム:30秒】
スターゲイザー 光 消費SP:20
【爆発を起こし、星を大量に吹き上がらせる。
範囲が広く、広範囲の敵を巻き込めるが威力は低い。クールタイム:1分】
フラッシュ 光 消費SP:12
【まばゆいばかりの光で、敵を気絶させる。
レベルアップで発動確率上昇。クールタイム:40秒】
スターライド 光 消費SP:18
【足元に流れ星を呼び、それに乗って高速で移動する。戦闘中しか使用できない。
レベルアップで移動速度が上がる。クールタイム:1分】
ホーリーシールド 光 消費SP:30
【光の盾を目の前に作り出し、敵のあらゆる攻撃を一度だけ跳ね返す。
闇属性には効果がなく、盾も破壊される。クールタイム:2分】
ポラリスは男です(大事なことなので何回でも言います