合体したらめちゃくちゃ強い。でも合体してなくても強い。
終盤のくだりを大幅に加筆修正しました。
「合体した……!?」
唖然とするツバキと、
「かっこいい……!」
恍惚とするリエータ。
「……お前、惚れてる場合かよ」
「だよね、ごめんごめん」
ヘカトンケイルは動かない。
まるでこちらに『攻めてみろ』とでも言っているかのようだ。
「なら、私が!」
駆け出すツバキ。
そして跳びあがって……
「{旋風……!?」
旋風拳を放とうとした時、赤い腕が飛ぶ。
「ぐっ……!」
「あぶないっ!」
声を上げ、跳びあがるリエータ。
「んっ!」
飛んでくる腕を蹴り飛ばし、隙を作る。しかしその背後から青い腕が迫る。
「!?」
「{スティンガー}!」
リエータが槍を突き出し、青い腕を弾き飛ばす。しかし……
『無駄だ!』
「!?うわっ!」
黄色い腕に吹き飛ばされた。
「リエータさん!」
すかさずツバキが、オーバードライブを使って地面に回り込み、
「ぐっ……!」
なんとかリエータを受け止める。
「{シャドウレーザー}!」
視線を俺の方へ向けさせるために、シャドウレーザーを撃つ。
しかし、腕に防がれる。
『……ほう?我に腕を使わせ、腕に攻撃が効かぬことを彼奴らに教えるか』
「いや?たまたまだ」
嘘だ。
本当はツバキやリエータが攻撃をしてもダメージを食らっていない。
この時点で、そうだとわかっていた。
『面白い。その知力で、我を楽しませてみよ』
今度は青い腕が2本飛ぶ。
「{ソニックブレード}!」
勢い良く薙ぎ払うと、腕は動きを止めた。
とりあえず近付かないことには始まらない。
ヘカトンケイルに向かって走りながら、俺は魔法を唱える。
「{ダークネスビット}!」
現れたビットが前方へトゲを放つ。
「腕じゃなくて本体だ!本体を狙うんだ!」
「わかりました!」
ツバキが抜群のスピードを見せつけ、一気に接近する。
『ほう、我がそのような隙を見せると思っているのか?』
「えっ?」
ヘカトンケイルが跳びあがって足踏みすると、地面が激しく揺れる。
「くっ……!」
足がふらつき、まともに立っていられない。そこへ……
「!?」
赤い腕で軽くあしらわれる。
「ぐう……!」
「ツバキ!」
寸前のところで背面に跳んでいたようで、ダメージはそれほど大きくはない。
「大丈夫です……!」
再び駆け出す。
『無駄だ、貴様では我に触れられぬ』
再び地面を踏み鳴らす。が、ツバキはそれを見越してジャンプ。
「{烈風脚}!」
鋭い回し蹴りでヘカトンケイルに蹴り込む。
青い軌跡が浮かび、ヘカトンケイルに正確に当たる。
ところが……
『なるほど、確かに速い。だが……』
ブリアレオスの口が開くと、巨大な雷の球を発射した。
「……!」
当然避けられるはずもなく、まともに受けふっ飛ばされるツバキ。
『我を倒すに至る力はない』
「ツバキちゃん!」
雷属性なため、風得意なツバキには耐性があるが、あれほど至近距離で受けたわけだ。
相当なダメージになり、さらに……
「しっかりしろ!ツバキ!」
「……」
どうやら気絶しているようだ。
「くそっ……{ソニックブレード}!」
剣を振るが、二本の腕に防がれる。
そのまま別の二本の腕が迫る。
「タイガ君!」
リエータが俺に駆け寄り、槍を振り回す。
「んぐ……!」
しかし勢いよく飛んできた腕に、弾き飛ばされる。
「リエータ!」
「いいから、ツバキちゃんの気絶を回復させて!」
「わかった」
エイドウォーターを使う。
効果はあるようだが、レベルが低いためかかるまでに時間がかかる。
そうしているうちに、リエータはヘカトンケイルに駆け出す。
「ふっ!はっ!やぁっ!」
腕を次々と、はじき返すリエータ。しかし、
「たぁっ!」
はじき返してもはじき返しても、次から次へと腕が飛んでくる。
「ぐっ……!」
徐々に押されだすリエータ。
「{パワースラッシュ}!」
何とかして俺も腕を弾き飛ばす。
「リエータ、どうすればいい!」
「そうだね……あたしが竜神降臨を使ってあいつを攻撃する。
だからタイガ君、ツバキちゃんをお願い!」
「わかった」
そして槍を構えたリエータは……
「{竜神降臨}!」
巨大な竜へと姿を変えた。
『分の悪い賭けだけど……こうしないとそもそも堅い守りを突破できない……!』
翼を羽ばたかせるリエータドラゴン。
『面白いマネをするな、小娘。よかろう。受け止めてやる』
『おおおおおお!』
高熱の炎を吐き、ヘカトンケイルを攻撃する。
しかしヘカトンケイルにはダメージは入るものの、あまりHPが減らない……
「ん……」
目を覚ますツバキ。
「ツバキ。大丈夫か?」
「タイガ……さん……って、リエータさん!?」
炎を吐き終えた後、黄色い腕と取っ組み合うリエータ。
『ぐぐぐぐぐ……!』
『我が力に勝るとも劣らぬ力も持つか……だが、甘い』
ギュゲスの頭が、巨大な水の弾を吐き出す。
『がっ……!?』
炎属性のリエータに、効果てきめんだ……!
大きくのけぞってしまったリエータに、赤い腕が迫る。
「やらせないっ!」
「お、おい!待て!」
俺は慌ててツバキを止めようとするが、遅かった。
ツバキは青い腕を止めようと、オーバーヘッドキックを繰り出して……
「!?」
『愚かな』
「逃げ場がない……!」
空中に跳んだことにより、腕に囲まれた。
こうなってしまうと、動くことが出来ない以上、何も対処が出来ない。
そして青い腕が飛んできて、ツバキを殴り飛ばす。
「うあぁっ……!」
ギリギリHP一桁で踏みとどまるが、すでに虫の息だ……
『ツバキちゃん!』
『他者を心配する時間など、貴様にあるか?』
『!?』
ブリアレオスの口が開き、電撃がほとばしった。
『うあああああああ!』
「リエータ!」
巨大なリエータドラゴンの体が、黄色い雷に包まれる。
『このまま……やられて……たまるか~!』
リエータドラゴンがヘカトンケイルの肩に噛みつく。
さらに黄色い腕をぐぐっと、自らの手で握る。
ビキビキと、黄色い腕にヒビが入ってくる。
……『このままやられてたまるか』
つまり、リエータ自身も、敵わないということがわかっているのだろう。
そしてついに、リエータドラゴンの腕が、黄色い腕2本を握り砕いた。
『なんという力……!?だが……』
しかしそれと同時に、ギュゲスの頭が再び水弾を吐き出し……
『ここまでだ』
リエータドラゴンに激しく命中。
そのままリエータは、変身を解除されてしまった。
「リエータ!」
激しく地面に叩きつけられるリエータ。
ツバキもリエータも、すでに動けないほどに消耗している。
HPを回復させれば何とかなる?いや、無理だ。
ツバキは装具使いである以上、近付いて攻撃しないといけない。
そのため、接近が困難なヘカトンケイル相手には何もできない。
リエータは先ほど竜神降臨を使い、クールタイム中は何も使えない。
わざわざ回復をさせてまで、負担をかけるわけにはいかない……
つまり、この状況。俺が何とかするしか、ないんだろうか……
キラン……
『さぁ、どうする小僧。このまま勝算無き戦を続けるつもりか?』
「……」
俺は黙って剣を構える。
『諦めの悪い者だ』
「諦めねぇよ。てめぇに勝てる可能性がないにしても……」
そのままゆっくりと歩き出す。
「俺はこいつらは見捨てねぇ。ゲームオーバーになって、また再会できるにしてもだ。
傷付いた仲間をおいて、逃げ帰る……そんな薄情な奴にはなりたくねぇ!」
「タイガ……さん……」
「タイガ……君……!」
『その志は立派なものだ。だがこの状況ではただの虚勢にすぎぬ』
そして大きな腕が、俺の頭上に設置される。
「ダメ、逃げて……!」
リエータが言うが、俺には聞こえていない。
……聞こえていないふりをしている。が、正しいだろうか。
『力無き心は、打ち砕かれるが定めなのだ』
大きな腕は、寸分違わず俺の方へ飛んできた。
4本の腕だ。とても俺ではさばききれるわけがない。
と、その時だ。
バシュウン!
「!?」
突然黒い光が、俺の懐から噴き出し、ヘカトンケイルの腕を弾き飛ばした。
『何!?』
「なっ……何が!?」
「あ、あたしの……時と同じ……まさか……!?」
俺は黒い光の拠り所に手を伸ばす。
……ツバキが見つけた黒い塊だ……
「なんだ……これ……!?」
しかもその塊に呼応するように、鎧のテュポーンも光り出す…!
「タイガ君!」
リエータが大声を上げる。
「それを、キミの鎧に差し込んで!」
「よ、よくわかんねぇが……わかった!」
言われるがまま、その黒い塊を鎧にあてがい、押し込んだ。
「ぐあっ……!」
……激痛が走った。
……だが、これぐらいがなんだ。俺はそのまま、黒い塊を……
鎧の奥深くへと、沈み込ませていった。
「ううう……ぐうう……!」
テュポーンの黒鱗
【巨大竜テュポーンの黒い鱗。本来あるべき場所へ戻るため、力を求めている】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『させぬ!』
再びヘカトンケイルが腕を飛ばしてくると……
「邪魔は……!」
「させませんっ!」
リエータとツバキが、それを弾き飛ばす。
そしてその時、
「!?」
背後にいたタイガの、黒い輝きが消えた。
そして……
「ううううう……」
「うおおおおおぉぉぉ!!」
再び黒い光があふれだし、ものすごい衝撃が走った。
そして……
「?!」
「た、タイガ……君……なの?」
そこにいたのは、巨大な6枚の黒い翼。
メガネはそのままだが、赤い髪。口からは蒸気を吹いている。
体中からうねうねと動く無数の蛇。
竜の頭を模した腕。そして、竜の尻尾。
魔王のような姿と化した……
『オオオオオオオ!』
……タイガ…のような『何か』の姿だった。
魔鎧テュポーン(超覚醒済)
【世界そのもの、と言えるほど強大な蛇の力を封じ込めた鎧。
体力と精神が20上がる。
超覚醒により、SPが50上がり、覚醒スキル{世界竜の逆鱗}を発動可能】
世界竜の逆鱗 消費SP:100(テュポーン装備中以外はさらに+50)
【自らにテュポーンの力を宿す、魔鎧テュポーンの超覚醒スキル。
SPが無限となり、腕力、知力、素早さも50上昇する。
また、飛行やそれによる攻撃も行える。1ログインで2回使えるが、
効果発動後HPがそのログイン中永久的に半分になる。クールタイム:10分】
タイガの超覚醒により、反撃開始です。
しかし今回で終わらせるつもりが長くなってしまいました(滝汗




