表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/79

今私の願い事が、叶うならば、特徴をください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「っ……!」

すでに5分ほど、猛攻にさらされているだろうか。

なるべく引きつけながら、3体の巨人の攻撃を避け続けるリエータ。

「ふぅ……っ!」

しかし四方八方から飛んでくる腕に、苦戦を強いられる。

「くぅっ……!」

攻撃が効かないので、竜神降臨を使うわけにもいかない。

「……ふぅ……さすがに……やばいかな」

腕を振り回すブリアレオス。

「くっ……!」

跳びあがってかわすが……

「!?」

すぐ後ろにいるコットスが、角を振り上げてくる。

なら、こうだ。リエータはコットスの腕に飛びつく。

「ぐっ……うわっ!?」

しかしそれを読んでいたコットス。勢いよく腕を振り上げ、背後に投げ捨てる。

激しい動きに手を離してしまい、壁にしたたかにたたきつけられる。

「あぐっ……!」

そこへギュゲスの拳が迫り……

「……!?(もう、仕方ない……!)」

竜神降臨を発動する。


『うぐっ……!結構痛いな……』


寸前でドラゴンに変身するが、拳の一撃をまともに受ける。

もしHPを底上げしていなければ、よくて致命傷。最悪即死だろう。

「グワ!?」

驚くギュゲス。

しかしこれで状況が好転するわけではない。

そもそもダメージを与えることが出来ないのだから。

一応炎のブレスを吐き出すが、やはりまるで効果がない。

それどころか、ブリアレオスの腕と、コットスの腕。


『がっ……!?』


体が巨大なために、避けることもままならず、まともに受ける。

体勢を崩したところへ、連続してパンチ。

キラン……

「ぐっ……はぁっ……はぁっ……」

疲労感だけが蓄積し……

「ガアアアァァァ!」

「!?」

そこへブリアレオスの強烈なアッパー。

「うあああぁぁぁ!」

まともに食らってしまい、空中に投げだされる。

再び壁に叩きつけられ、力なく床に落下。

すでにHPは30ほどしか残っていない。

「ぐ……ぐうう……!」

「グオオオォォォ!」

「!?」

そしてコットスの腕が迫り……


グシャッ……!




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


……2階に上がってからは普通の敵が襲い掛かってくる。


【地獄武者 レベル40】


2体いる。しかもレベルが高い……

「ツバキ、いけるか」

「大丈夫です」

刀を持ちながらこちらに突進してくる。

「使ってみるか……{グラビティドーム}!」

重力波の結界を展開し、重力をかける。

その結界の中で地獄武者は刀を掲げられなくなり、地面に突き刺す。

「……」


……しまった。これだと装具使いのツバキが攻撃できない。


我ながらひどい失策だ。

「悪い、ツバ……」

しかしそこにツバキはいなかった。

「{ストンピング}!」

上から足をそろえて落下するツバキ。

重力にも乗せられたその攻撃は、速度を上げ正確に地獄武者を穿つ。

「す、すごい火力……さすがタイガさんです!」

「……」


やめて!今その言葉かけられたら申し訳なさで胃に穴が開く!!


「そ、そうだな!{シャドウレーザー}!」

だが、せっかくの純粋な思いを裏切るのも考えものだ。

俺は(本当は泣きそうな心を押し殺して)シャドウレーザーを別の地獄武者に撃つ。

「{旋風拳}!」

さらにツバキがストンピングが命中した地獄武者に旋風拳。

……ものすごい火力だ……!

別の地獄武者に向かってふっ飛ばし、そこへ俺がブーメランを投げる。

まさに一網打尽だ。

「やりましたね!」

ツバキの破壊力は相当なものに仕上がっている。

立ち向かう心に、ハイテンションも発動したのだろう。

有無を言わさずねじ伏せる。そんな感じか。

と、その時城全体が振動する。

「リエータさん……」

「急ぐぞ、さすがにあいつでも、オーバーソウル3体相手は厳しそうだ」

「はい」


しかし急ごうとすればするほど、敵が多くあらわれる。


【レッドエレメント レベル38】

【ドラゴン レベル42】

【フレイムバード レベル40】


特に炎属性得意のモンスターが多い。ツバキには若干厳しい……

「{スラッシュキック}!」「{アッパーブレイク}!」「{烈風脚}!」

……SPの燃費の悪さに目をつぶれば、普通に何とでもなりそうだ。

……あれ?


俺、置物になりつつある?


ポラリス=基本冷静だから参謀役が適任 弓による遠距離攻撃が可能 男の娘

ディアナ=火力高い パワーシールドによる防御力 ギャル

エル=ワンパンできるほどの火力 アクアソリッドによる補助 かわいい

アレン=素早いため引きつけ役などが出来る 斧で範囲が広い 全身鎧

リエータ=言わずもがな最強 どんな状況でも対応できる ビキニアーマー

ツバキ=火力が高いし素早さも高い 肉薄により圧倒的火力 頬にキス


……俺の存在意義は!?


「タイガさん?」

「……い、いや、何も」

ちなみに俺のレベルもツバキのレベルも上がった。

特にツバキは結構上がっているが、今は確認よりも先に進むことが大事だ。


さらに奥へ進むと、扉が見えた。

「ひ、広すぎねぇか……この城……」

また肩で息をする俺。

「タイガさん……大丈夫ですか……?」

「あぁ、大丈夫だ……」

赤い扉と青い扉があり、何かの言葉も書いてある。


【立ち止まるな 進め 臆したものに 命はなし】


ピロリン!


巨人の眠る城 ルール

【この扉を3つ抜ければ、その先に3体の巨人を封じ込める鍵がある。

 しかし1問でも違う扉を開けた場合、閉じ込められゲームオーバーになる】


なるほど。つまり間違えるわけにはいかない。

リエータの、そしてツバキの働きを無駄にしてはいけないだろう。

「立ち止まるな、進め……?」

顎に手を添え、考えるツバキ。

「……」

その顔をじっと見る。

というか、唇に目が行ってしまう。

俺、キスされたんだよな……ツバキに……

もちろん本人に深い意味はないだろうけど……

「タイガさん……やっぱり、休みましょうか?」

「あ?」

ツバキの声で我に返る。い、いかんいかん。

今はそんなことを考えている暇はない。

「な、なんでもねぇ」

「では……わかりますか?これ」

閃いていない様子のツバキに、俺は……

「あぁ、これはわかるさ。答えは青だ」

と、青の扉を開けると、その先にも同じように扉があった。

ご丁寧に『ピンポーン!』という効果音まで鳴る。

「えっどうして……?」

「簡単な問題だ。赤と青のどちらかの{進む}道。信号の青は{進め}だろ?」

ツバキは納得した様子で、こくこくとうなずいた。

次の部屋に入ると、入ってきた扉が閉まる。

その部屋の中には、太陽と月の絵が描かれた扉。


【進みたき道があるならば 闇を作り出せ なおこの扉は引くことで開く】


「闇を作り出せ……?」

再び悩むツバキ。

「……えっと、俺分かったから、もう開けていいか?」

「え?でも、慎重に考えたほうが……」

俺は何の迷いもなく、太陽の方の扉を開く。

「ちょっタイガさ……」


ピンポーン!


「やっぱりな」

「ど、どうして……?」

「ほら、夜の{闇}を作り出したろ?」

扉を引いてこちら側に開くことで、太陽の絵が隠れる。

そして部屋の中には、月の絵だけが残った。

「太陽が昇っていなくて、月が昇ってたら、それは夜になるだろ?

 だから太陽の絵を隠したんだよ」

「すごい……私なんて、きっと考えてもわかりません……」

こう言ったクイズはよく、昔はナツキと見ていた。

マッチ棒を動かす問題や、漢字を組み合わせて別の漢字を作る問題など……

と、あまり脱線しても仕方ないな。

その先に進むと、最後の扉が。

しかし、今回の扉はひとつしかない。

先ほどと同じように背後の扉が閉まった後、その扉には……


【扉を開け】


とだけ書いてあった。

「……扉を……開け……?」

「……」

俺はすぐに閃いた。

「{扉を開けば}いいってことだろ?」

「え?……はい」

「つまり……こうだ」




……ピンポーン!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コットスが腕を上げると、そこには倒れ伏したリエータ。

槍を支えに何とか立ち上がる。

不屈の闘志の効果でHPが1だけ残っている。

「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」

すでに満身創痍で、さらに竜神降臨を使った疲労感で、一歩も動けない。

「はぁっ……はぁっ……」

ブリアレオスが、腕を振り上げる。


リエータは、自分の自信過剰ぶりを、深く反省していた。

自分の力さえあればなんとかなる。そう思っていた。

最初の大会で1位になってから、ずっと……

だから、こんな無理難題であることすら、平気で出来るようになっていた。

「……(あ~あ、{あの時みたいに}お兄ちゃんの足を引っ張っちゃうんだ……)」

覚悟を決めたリエータは、目を閉じた。


(……ごめんね……お兄ちゃん)


……意識を失う前、リエータの頭の中に、ある人物の声が響いた。




――心配するな!


――お前がもし悲しんだって、俺が何回でも助けてやる!


――だから、大丈夫だ!




――いつでも俺が、助けてやるからな!




――ナツキ!!




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「リエータ!しっかりしろ!リエータ!リエータ!」

「んっ……んんっ……」

ようやく目を開けるリエータ。

多分1分近く名前を呼んでいたと思う。

「ツバキちゃん……タイガ……君?」

「よかった……もう大丈夫ですね」

「……あいつらは!?痛っ……!」

右肩を押さえる。

「あまり無理するな!とりあえず今、回復してやるから!」

俺は大急ぎで、ハイポーションを取り出した。

「……」


(本当に、どうしようもないほどにおひとよしで……

どうしようもないくらい……かっこいいんだから……)


リエータは穏やかに目を閉じていた。

「……眠っちゃったみたいですね」

「こんだけのバケモン3体に大立ち回りをしたんだ。疲労も溜まるだろうさ」

3体の巨人は、動きを止めていた。

そして最初来た時にはなかった、下り階段が出来ている。

「仕方ねぇ。多少重いけど、俺が運んでやるか」

俺はリエータを背負うと、下り階段をゆっくりと歩き始めた。

リエータの正体が明らかに。

と言っても、皆さんはすでに知っていますが……(滝汗

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ