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大事なことは、すべて説明書の中に載ってある…はず。

……草原に散乱するポーションの空き容器。

地面に突き刺さったブロードソード。

「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……」

結果、ポーションを使い切った上で何とか3匹とも撃破した……

「あ、RPGって……難しいんだな……」

そしてレベルが2に上がる。

ステータス割り振りは……ひとまず保留しておくか。

まだこのVRMMOでの戦闘が、どういったものか感覚をつかむ必要があるだろう。

大の字に寝転がったまま周りを見渡すと、

「!?」

宝箱が。

「よ、よし、1個だけだがこれはこれで幸先がいいと言えるな……」

俺はその宝箱に手を伸ばすと、

「!?」

宝箱がひとりでに開いた。そして……


Get!【トビウサギの耳】


……耳?皮じゃなくて?




試しにそれを、ディグの武具屋に持っていくと……

「ほう、レア素材じゃな!」

「……」


RPGあるある。余計なところで運を使う。


「これがあれば、新しいアクセサリーを作れそうじゃわい」

「アクセサリー!?どんな奴ですか!?」

このゲームにおける、アクセサリーは重要だ。

「いや、それが……お前さんには無理じゃ。女の子限定の装備での」

「そうなんすか……ちなみにどんな装備で?」

「ん?まぁ、頑張れば男でも装備できるか」

すると、ディグは装備品の性能を提示した。


バニーイヤー 製作費:1000マナ

【男のロマン。女の子に着けてもらうと喜ばれるかもしれない。

 素早さが10上がるが、女性の魔物以外に挑発の効果が発生する】

トビウサギの耳:1/1 トビウサギの皮:0/8


「……ノーサンキューでーす」

こんなのをツバキに渡してみろ。きっとボコボコだ。

「で、お前さん。素材は集まったのか?」

「……」

「……なるほど。見つからんかったんじゃな……

 しかしトビウサギなど、魔法を使えば簡単に倒せるじゃろうに」

魔法……

「あっ」

そう言えば、魔法を使っていなかった。

「お前さん、何かの【しばりぷれい】でもしておるのか?」

「何でそんな言葉知ってんすか。……まぁ、もう少し頑張ってみます」

とりあえずトビウサギの耳は使いどころがないので売却。

売ったマナでポーションを大量に買った。

「えっと、今の時間は……」

こちらの世界はもうすぐ夜。現実の時間は……18時48分。

「やっべ!?早くログアウトしねぇと!ナツ……家族に怒られちまう!」

「!?」

「ま、また来ます!」

俺は大急ぎでログアウトした。

その時店の奥にツバキがいたのだが……


「……」

「……相変わらず、うまくいってないようじゃな。ツバキちゃん」

「……」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「はぁ」

装置を外すと……

「……」

「おわぁ!?」

目の前に、ナツキがいた。

そのままナツキはまた、俺に馬乗りになってくる。

「お兄ちゃん、お~そ~い~!晩御飯もうできたんだよ!早く降りてきて!」

「いでで、わかったからどいてくれよ!」

しかし、時間を忘れてプレイするのは俺の悪い癖だ。

明日は偶然にも休み。朝からログインするとしよう。




翌日……


キラ~~~ン……


「はぁ……よし」

俺はログインと同時に、いろいろと自身のステータスを確認する。

武器スキルは……


スラッシュ 長剣 レベル1 消費SP:5

【長剣の基本スキル。レベル3で{パワースラッシュ}に強化。、

 レベル5(MAX)で{スラッシュダウン}を編み出し可能。クールタイム:10秒】

チャージ 武器全般 レベル1 消費SP:10

【一定時間攻撃力をあげる。レベルアップで時間が延長。クールタイム:30秒】


次に魔法スキル。


シャドウガン 闇 レベル1 消費SP:10

【闇魔法の基本スキル。レベル3で{シャドウレーザー}に強化。

 レベル5(MAX)で{ダークネスピット}を編み出し可能。クールタイム:10秒】

ダークフォッグ 闇 レベル1 消費SP:8

【黒い霧を生み出し、戦闘から確実に逃げ出す。

 強制戦闘、闇特性得意な相手には効かない。クールタイム:1分】


魔法は今までと特に変わりないようだ。

属性に弱い闇属性には、確実に逃走できるダークフォッグの存在は大きい。

昨日の戦闘と同じように、忘れるわけにはいかない。

「ん?」

と、俺は、ある自動発動スキルが目に留まった。


節約の心得 自動スキル レベル1

【戦闘で消費回復アイテムを、まれに消費せずに使える。

 強制戦闘以外の1度の戦闘で10個消費回復アイテムを使った上で勝利すると取得。

 20個ポーションを使った上で勝利でレベル2、

 30個使った上で勝利でレベル3(MAX)を覚える】


便利ではあるが、なくても困らない……といった感じだ。

……と言うか、俺は昨日のあの戦闘、ポーションを10個以上も使ってたのか!?

そしてもう一つ……


フレンドワープ その他

【フレンドの元へ、すぐに移動ができる。

 自身、もしくはフレンドがダンジョンの中にいる場合は発動できない。

 クールタイムはないが、1ログインで5回しか使えない】


VRMMOならではのスキルだ。早速俺はツバキに……

いや、ダメだ。

仮にツバキが俺がかないっこない場所で戦闘していたら、俺は世に言う地雷だ。

「しょうがない、軽く戦闘してみるか」


~サファイア先生の ワールドオーダーオンライン講座~


このように、技にもレベルが設定されており、

攻撃系、回復系、補助系はレベル5まで。

自動スキルはレベル3まで。

そして採取、採掘、身体能力スキルはレベル10まで設定されております。

もちろんレベルMAXに近いほうが、性能はいいですし……

レベルが高いと、強力な技を【編み出す】こともできます!

軽いネタバレになりますが、タイガさんの場合……

長剣のスラッシュダウン。闇属性のシャドウレーザーを共に覚えることで、

パラライズソードを編み出すことができます!


パラライズソード 長剣(闇) 消費SP:25

【振りぬくと同時に敵の影を裁断する剣技。

 一定の確率で相手の素早さと器用さを著しく下げる{麻痺}状態にする。

 レベルアップで麻痺にする確率増加。クールタイム50秒】


ちなみに、スキルのレベルは基本的にはそのスキルを重点的に使うことで上がります。

しかし、アイテムを使うことで一気にレベルを1あげたり……

レベルアップでも微量ながら、スキル経験値は上がります。


―――――――――――――――――――――――――――




昨日とは違い、戦闘は快適そのものだ。

「{スラッシュ}!」

しかし トビウサギには 当たらなかった!


……昨日とは違い、戦闘は快適そのものだ。

「{シャドウガン}!」

・・・・・・シーン……

「ピーッ!」

トビウサギ、突進。


……昨日とは……違い……

「{シャドウガン}(すました声で、ポーズを決めながら)」

・・・・・・シーン……

「{シャドウガアアアァァァン}!!(全力でシャウト)」

・・・・・・シーン……

「な、なんで唱えられないんだよ!?」

知力が高いので、魔法を使わないとやっていけない。

しかし、それでも……

「ピーッ!」

「グルアアァ!」

トビウサギ、そしてゴブリン相手に、何もできなかった。

「ぐっ……」

徐々に後ずさる。

「……(考えろ……どうやって戦えばいい?)」

その時だ。

ピコン!

「!?」

何かを覚えたようだ。


ダーククラック 闇 消費SP:10

【闇の力を地面に奔流させ、相手の動きを止める{スタン}状態にする。

 レベルアップで確率が増加。レベル5で{イーブルカッター}を編み出すことが可能】


「な、なんで今覚えるんだ!?」

これまでのシリーズで、戦闘中に魔法を覚えたことはなかった。

俺は大きく面食らいながら、この技をどうするか考える。

「でも、唱えられねぇんじゃ……」

技の説明欄を見てみる。


――闇の力を地面に奔流させ、相手の動きを止める


「地面に……」

それだ。

右手は剣を握っているので、自由になっている左手を、地面に開いて添える。

「ピィ?」

「グガ?」

それを見つめるトビウサギとゴブリン。……あれ?もしかして情けをかけられてる?

……上等だ。後悔するなよ。

「{ダーククラック}!」

・・・・・・・・

「{ダーククラック}!」

・・・・・・・・

「だ……{ダーククラック}!」

「ピィー!」

待ちくたびれたのか……

「ぐはっ!」

トビウサギ。突貫。

いや「なんでやねん!」みたいな感じで突っ込んでくるんじゃない!

なんでかは俺が聞きたいからだ!

「くそ……」

結局俺は、何も魔法を使えないんだろうか?

そう、諦めに近い顔を浮かべた時だ。

「{オーバードライブ}!」

突然声が聞こえたかというと、

「!?」

俺の隣を、突風が通り過ぎていった。

「ふっ!」

『それ』はトビウサギに回し蹴りを放つと……

「はっ!せいっ!」

裏拳からの左ストレート。トビウサギもゴブリンも、あっという間に伸びてしまった。

この間、わずか3秒。

「ふう……」

「ツバキ!?」

そう、ツバキが俺を助けに来てくれたようだ。

「何でこんなとこに……」

「素材を集めて町に戻った後、たまたまタイガさんが見えたんで……

 後を追ってみたら、どうやら苦戦されてるようでしたので」

「ありがとう……悪いな。俺のために」

「困った時はお互い様ですから。ところで、先ほどは何をしていたんですか?」

……魔法を唱えられない。

なんて今までのシリーズをプレイしていた身としては口が裂けても言えない。

「……あれ?」

が、ツバキは俺のステータスを見て……

「どうしてスキルを{装備}しないんですか?」

「……え?」

装備?

「あぁ、今回から仕様が変わって、スキルは装備しないと使えなくなったんです」

そんな仕様があったのか……

「私も最初……使おうとして……使えなかったんで……」

空気を読んでくれたんだろうが、絶対嘘だ。わかりやすく目が泳いでいる。

それに、俺の方をまっすぐ見ようとしない……

……おかしい、説明書には載ってなかったはず……だ……


――スマホで電子説明書を流し読み。


いや、ちゃんと読んでなかった!

どうせ今までと同じだろうとタカをくくっていた、俺の失態だ……

それに発売してから何も情報を仕入れてないし、掲示板にも行っていない。

このあたりの仕様は、戦闘前に確認しておくべきだった……

「とにかく、結構消耗してしまっていますね。{ヒールブリーズ}!」

ツバキが魔法を唱えると、やられた時の傷が驚くほど簡単に癒えた。

「これで大丈夫ですね。あ、宝箱はあなたが開けていいですよ?」

「何から何まで悪いな……本当に」

そして宝箱を開けた。


Get!【トビウサギの耳】


…………………………

「何で皮が出ねぇんだよおおお!」

俺は咆哮した。


――――――――――――――――――――――――――――――――


オーバードライブ 風 消費SP:40

【一定時間、自身の移動速度と攻撃速度を飛躍的に上昇させる。

 ただし、受けるダメージが少し増える。

 レベルアップで効果時間延長かつデメリット減少。クールタイム:1分】


ヒールブリーズ 風 消費SP:5

【味方単体の傷を回復させる。回復量は使用者の精神に依存。

 レベル5で{ファインウインド}を編み出すことが可能。クールタイム:30秒】

個人的に電子説明書になってから、説明書はあまり読まなくなりましたね……

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