結成!俺のギルド!その名も……
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「お?」
ところ変わって、ここは管理者室。
サファイアとシルバー、そして赤いクマのルビー、白いネコのパールがいる。
「おやおや、また新しいギルドの要請ですねぇ」
間延びした喋り方はルビー。
「いいんじゃねぇか?活気あるじゃねぇか今日」
「どれ、名前はっと…………ん?」
【もつ煮込み】
「第二回イベント5位のタイガを中心としたメンバーじゃねぇか!
どんなギルドになるか、楽しみだぜおい!」
「いや、お待ちをぉ。どうして名前、{もつ煮込み}なんでしょうかぁ?」
「案外タイガさんが好きなものだったり、するのかも知れませんね」
そう、サファイアが言うと……
「……いーねッ!ビールで流し込みたいところだ。タイガとは気が合うなぁ」
「いや、食べ方じゃなくて……とりあえずこれでいいのか?本当に」
「まぁ最悪、後で名前一度だけ変えられるしなッ。{しょーにん}!」
シルバーの声と同時に、赤い『承認しました』と書かれたハンコが押された。
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とりあえずいらなくなった素材や、いらなくなった武器などを売ることにより、
何とか40252マナになり、ギルドホームの購入は可能になった。
一番の問題の名前なのだが……あれでよかったんだろうか。
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「じゃあもう、タイガの昨日の晩御飯でいいんじゃない?覚えやすいしね」
昨日の晩御飯!?
「お、{カツカレー}とか?いいねポラっちゃん!」
いや、カツカレーがいい意味が分からん……
「あ、ちなみに僕たちは昨日、まさにカツカレーだったんです」
「そうだったねお兄ちゃん。お兄ちゃん、トンカツ大好きだから……」
『と、いうわけで』な目線を送るポラリス。
その目線が、今の俺には痛い……
「……いいんだな?昨日の俺の晩飯で」
「もちろん」
他の仲間たちもうなずく。
「本当に、いいんだな?」
「いいよいいよ。{タイガーズ}よりは」
「遠回しに精神へダイレクトアタックはやめてくれ!……じゃあ、入力するぞ……」
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「まさか昨日のタイガ家の夕食が、{もつ煮込み}だったとはね」
「妹が{急に食べたくなったから}って、張り切って作ったんだよ。
まぁ、妹の作るメシはなんでもうまいんだけどな」
「いいなぁタイちゃん。ウチなんてゲロまずな奴しか出来ないよ。
この間もスクランブルエッグ作ろうとしたら目玉焼きになっちゃった」
「それはある意味才能だと思うんだが!?」
そんな俺たち3人、俺、ポラリス、ディアナがどこにいるかと言うと……
雪山地帯にある、水晶の洞窟だ。
このエリアにいるブルーエレメントから素材を集める。
採掘は別の洞窟で、エルとアレンに任せている。
エルの腕力と、アレンの素早さだ。そのほうが手っ取り早い。
後でレベルアップにも付き合ってやらないとな。
そこへ……
「ギギギギギ……!」
雪の結晶のような敵が現れた。
【ブルーエレメント レベル27】
「4体もいるね。タイガ、早速だけど、ボクと」
「ウチのスキル、試していい?」
「あぁ、構わないぞ」
ポラリスは俺の前に出ると、弓を上に向け……
「{アローシャワー}!」
大きな矢を天井に向け放つと、その矢が分裂し、雨のように前方に降り注ぐ。
広範囲の敵をまとめて攻撃できるため、ポラリスの器用さと相まって、
ブルーエレメントはかなりのダメージを負った。
「よし、ウチも……」
ディアナは武器を手にどっしりと構えると、ブルーエレメントの真ん前に立つ。
「カウンターか?」
「ふふん、その通り」
そしてブルーエレメントの突進が来ると、ディアナは瞬時に武器を抜刀し、それを受け止める。
「せいやぁ!」
力強い一閃。
ブルーエレメントは高く飛んだ。
「反撃の構えとは違って、ダメージもあまり受けてないな……さすが大剣」
「ふっふっふ~、{不動の構え}はバリヤバなスキルなんじゃよ!」
しかし倒しきれない。ブルーエレメントは激昂し、大きく膨張し始めた。
「自爆かな……?」
「じゃあ、俺も試すか」
実は水魔法以外に、もう一つスキルを買っていた。
まず外したスキルはダーククラック。結果あまり使わなくなったためだ。
それに、編み出すイーブルカッターは即死技。それを覚えたところで、使う相手は限られる。
なので……
「{ダークアニメート}!」
不動の構えで瀕死のブルーエレメントに、その技を使う。
「よし、効いたな……」
そして俺はこう言った。
「元気なブルーエレメントに近付いていって……」
「ギギギ!?」
残りのブルーエレメントに接近する自爆しかけのブルーエレメント。
そして……
「自爆しろ」
指を鳴らすと同時に、ブルーエレメントはもう一体を巻き込んで派手に自爆した。
「なるほど、洗脳だね」
「そういうことだ、なっ!」
更にブーメランを投げ、残りの2体を攻撃。
「なんかタイちゃん、やってることが魔王っぽい!パないんだけど!」
「確かに、ボクも最近、そう思うよ!」
息の合った弓と大剣の連携。
そしてブルーエレメントは塵と消えた。
Get!【ブルーエレメントの氷柱】×2
「あと2個と、ブリジンバードのトサカ2個、そしてライトクリスタルが8個か」
「心配しなくても……」
バサバサと、羽ばたく音。
「ピュイイイイイイ!」
【ブリジンバード レベル30】
「すぐに会えるみたいだよ」
「よし、さっさと倒しちまうか」
「りょ!ガチめにブチアゲでいくよ!」
俺たちは3人同時に武器を構えた。
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一方こちらは、密林地帯の洞窟で採掘をしているエルとアレン。
「うおぉりゃあああああ!」
渾身の力でピッケルを振り回す。
大量の鉱石が床に落ち、それを拾い上げるアレン。
「ふぅ……こういうのも楽しいもんだな、兄貴」
「むしろ、僕たちには戦闘よりこっちの方が向いているかもね」
「はっ!オレは戦いたくてうずうずしてっけどな!」
と、その時、地面から何か生えてきた。
巨大なカボチャの敵だ。
【パンプキンロード レベル33】
大きいし、レベルも高いが敵は1体だ。
「エル!」
「へっ!わかってるって!」
エルを背負うアレン。
タイガが教えた戦い方を、早くもものにしている。
「しっかり掴まってくれよ!」
そのままパンプキンロードに走りだす。
パンプキンロードは頭から触手を伸ばすが、アレンは軽快によけていく。
そしてパンプキンロードの頭に近付き……
「{スマッシュ}!」
エルの渾身の一撃。
パンプキンロードは、一撃で消滅した。
「やりぃ!」
そして宝箱。中身はと言うと……
カボチャハット
【かわいいカボチャのアクセサリがついた帽子。
身体異常に弱くなるかわりに、スキル枠が1個増える】
「お、アクセサリじゃないか!やったなエル!」
「マジかっ!?オレ、ついてるなぁ今日!」
早速かぶり……
「うっし、兄貴、もっともっと掘りまくってやろうぜ!」
と、気合を入れた。
「もちろんだ!」
その後も掘っては鉱石を集め、立ちふさがれては敵を倒すを繰り返す。
「……ん?」
途中、何かを見つけた。大きな石の扉だった。
巨人の眠る城
【伝説の巨人を封じ込めている、朽ち果てた城。
オーバーソウルを倒せばクリアとなる。3人まで挑むことが可能】
「名前からして恐ろしそうなダンジョンだね……」
「ま、とりあえず鉱石は集めたし戻るか。
さすがにダンジョン攻略はタイガに話通さねぇとやべぇだろ」
「だね」
アレンは踵を返し、洞窟を出た。
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キラン!
「快適だな、移動は」
素材を一通り集め終え、ギルドホームに戻ってきた。
戻る時は『ホームワープ』を使えば一瞬で戻れるので、本当に快適だ。
それにホームに戻れば、HPもMPも全快する。
「それにしても、やっぱりトサカは落ちにくいね」
10頭近くブリジンバードを倒したが、トサカはひとつしか落とさなかった。
「ふぅ~、久しぶりに魔物と戦ってるとやっぱアゲアゲだね」
そこへ……キラン!
「戻りました」
「大量大量です……!」
アレンとエルも戻ってきた。
全員集まったので、とりあえず素材を出し合う。
「「「「「おぉ~!?」」」」」
【ブリジンバードのトサカ】×1【ブリジンバードの羽】×6
【ブルーエレメントのコア】×2【ブルーエレメントの氷柱】×6
【アイスウルフの氷牙】×2【アイスウルフの皮】×7
【ライトクリスタル】×10【上質な黒鉄】×12
【最高質の黒鉄】×1【宝石の残骸】×32
などなど、とにかく大量の素材が一度に手に入る。
「とりあえずこれで、クリスタルの盾はあとはブリジンバードのトサカひとつだな」
「他にもいろいろ作れるか、試してみようよ」
「あぁ、それと……」
エルがもじもじしながら手を上げる。
「み、密林地帯の洞窟の奥に、巨人の眠る城ってダンジョンを見つけたんです……
その中にはオーバーソウルもいるらしくて、わたしたちだけじゃ不安だなって……」
「僕も見ました。そのダンジョン、3人パーティでしか挑戦できないらしいです」
密林地帯にそんな場所が隠されていたとは……知らなかった。
「お?神情報!おっつーエルっちゃん!」
「お、おっつーエル?」
ぽかんとするエル。そりゃそうだ。
とりあえずそのダンジョンは頭の中に入れておくとしよう。
武具屋に行き、素材を提示してみる。
「ほう……とりあえず宝石の残骸は換金アイテムじゃから、これは買い取るわい。
この素材だと……うむ、これができるのう」
エレメントロッド 製作費:6700マナ
【水と風を操るエレメントの力を封じ込めた杖。
知力が10あがり、水属性のあらゆる効果が5%増える】
ブルーエレメントのコア:1/1 アイスウルフの氷牙:2/2
ライトクリスタル:6/6
ビーストコート 製作費:7000マナ
【炎と氷を司る獣の皮を使ったコート。武闘派な魔術師が編み出したらしい。
腕力、体力が10上がるが、知力が10下がる】
ファイアビーストの皮:6/6 アイスウルフの皮:6/6
ファイアビーストの炎牙:2/2 アイスウルフの氷牙:2/2
どちらもエル、アレンにピッタリな装備だ。
ファイアビーストの素材はあらかじめディアナが持っていたもの。
ビーストコートは俺も使えそうだが、闇属性なのに知力が落ちるのは避けたい。
それに俺は能力の底上げを防具で行っているので変えることもない。
ディアナはどうだろうという質問には……
「ウチはこの鎧フェバってるからねぇ」
と。フェバってる……?
「じゃあ、エルが着てくれ」
アレンがエルに言う。
「えっ?どうして……?」
「俺もそれに賛成だな。エルは魔法を使わないだろうし、
体力は少しでも高いほうがいい。
それに、素早さはいくらでもカバーできそうだしな。風属性サブだし。
何よりブリジンバードのトサカを狙って、盾を作るより…
先に出来る奴から作った方がいいしな。」
「よし、早速作ってくるわい!」
ディグは素材を受け取り、店の奥に姿を消した。
「あ、あの……!……そんな、悪いですよ……」
「いいだろ?俺が決めたことだし」
10分後……
「出来たぞ、ほれ」
そこにあったのは、赤黒い色と青黒い色の2色が縦半分で別れたコートだった。
早速袖を通すエル。
「どうじゃ?」
「あ……軽いです!ありがとうございます!」
テンションが上がり、くるりと回転するエル。かわいい。
「じゃあこの余ったフロッグローブはポラリスが装備するとして……」
「キミはボクに死ねと言うんだね?タイガ」
「冗談だ……冗談だからそんな怒ったナ〇ガク〇ガみたいな顔しないでくれ……」
もったいないが、頭に鉄仮面を被っているアレンにこのローブは不釣り合いだ。
仕方ない……これは売るとしよう。
にしても……本当にポラリスはカエルが苦手なんだな……
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【WOO】新しく出来たギルドを生暖かく見守るスレ 1【ギルド】
509 名も無きアーチャー
やあ
510 名無しの冒険者
アーチャー氏、聞いたぞ
タイガのギルドに入ったんだって?
確か名前はもつ煮込み
511 名無しの冒険者
は?もつ煮込み?
どうしてこうなった?
512 名も無きアーチャー
まぁ色々あったんだよ。うん
あまり深く詮索しないで。ボクも慣れてないwww
513 リエータ教信者
そんな名前のギルドにリエータちゃんは入らないだろうなハァハァ
514 名も無きアーチャー
>>513 なんだって?
うん、ボクもそう思うwww
でもリエータはいろんなギルドから引っ張りだこだと思うんだけど
515 名無しの冒険者
逆に誰も声かけてないらしいぞ
516 ナナシドラゴン
まぁ強い人って憧れられても声かけられにくいよね
とりあえずアーチャーさんの今後の活動に期待したいと思う
517 名も無きアーチャー
ナナシドラゴンさんありがとう
割かしこのギルドバケモノが多いからボクも頑張らないとなぁ^^;
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アローシャワー 弓 消費SP:30
【上空に矢を放ち、大量の矢を降り注がせる。威力はやや低いが、範囲が広い。
レベルMAXで{ミリオンアロー}を編み出し可能。クールタイム:50秒】
不動の構え 大剣 消費SP:25
【どっしりと相手の攻撃を受け止める体勢を取る。
構えの間は被ダメージを減らし、すぐに攻撃を出せるようになる。
一定時間経過で解除。また状態異常は防げない。クールタイム:40秒】
ダークアニメート 闇 消費SP:20
【相手に呪文をかけ、一定時間操ることが出来る。
プレイヤーも操れるが、操ったプレイヤー自身に危害を加えることは出来ない。
レベルアップで効果確率上昇。クールタイム:3分】
ホームワープ
【ギルドホームを作り出したギルドのみ使用可能なスキル。
ダンジョン以外のマップのどこからでもギルドホームに戻れる。
1ログイン中何度でも使え、このスキルでスキル欄は使用しない】
少し長めになってしまいました(滝汗
軽いネタバレですが、次回から若干シリアスになります。




