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初めての武具屋、そして戦闘。やる気だけでは勝てませんでした。

鉄の鎧の雷耐性ダウン値を修正しました。

「ディグの武具屋」と、書かれた看板で、武具屋がどこにあるか分かった。

しかしその間にも、俺はその女の人から目が離せない。

ステータス配分を、申し訳ないがのぞき見させてもらった。


ツバキ レベル35

得意武器:装具 得意属性:風


HP:210

SP:165+100


腕力:60+20 知力:15 器用さ:35 素早さ:100+30 体力:20+30 精神:60


武器:赤狼の装具

【幻のブラッドウルフを討伐した証。SPが50、腕力が10アップする。超覚醒可能】

防具:黒疾風

【幻のカラステングの羽を使ったコート。素早さが15上がる。超覚醒可能】

腕:(装備不可)

アクセサリ1:明鏡のリボン

【白く輝くリボン。防御力は上がらないが、装備で上がるステータスを倍にする】

アクセサリ2:銀狼牙のピアス

【銀狼の牙を使ったピアス。凍てつく銀狼の唸りで体力が15上がる】


「……」

装具使いとして理想的なステータスと言える。

攻撃速度が速い装具なら一撃離脱が可能なので、ノーダメージで立ち回ることも可能だ。

だから体力、器用さはそこまで必要ない。

その分、素早さをあげ、命中率や回避率でカバーしているんだろう。

知力は15。風の魔法は補助として使うんだろうか?

まぁ俺は槍しか使ったことないんだが……

「うふふ、私のマネなら、してもかまいませんよ?」

「え!?」

のぞき見がバレていた。

いや、まぁこんなにきょろきょろ目が動いていれば……それはそうか。

「す、すいません……でも、やっぱり強いな、と思って」

「ありがとうございます。ですけど、イベントでは9位という中途半端な順位なんですけどね」

これほどバランスの良い装備でも9位……上位陣はどんな装備なんだ?

「ところでやっぱり強いなって、もしかして昔からのシリーズプレイヤーなんですか?」

「あぁ、一応ワールドオーダーは1からやってます。俺も本当は槍にしたかったんですが……」

と、話そうとした瞬間に……

「あ、着きましたよ」

ツバキの声が聞こえた。

「ありがとうございます。ツバキさん」

「呼び捨てでいいですよ。今は同じプレイヤーです」


ガチャ

「お~!いらっしゃいツバキちゃん!」

そこには好々爺という言葉が似合いそうな、ひげを蓄えた筋骨隆々の老人がいた。

「新しい装具、出来とるぞ~!どれを装備しようが似合……」

「ありがとうございます!」

そう言った瞬間、その老人は……

「!!!?」

「?」

製鉄用ハンマーを、床に落とした。

「つ、つ、つ、つ、つ、つ、つ、つ、つ、つ、つ、つ、ツバキちゃんに彼氏が!?

 あんなに男性に興味がないというツバキちゃんに、彼氏がじゃとぉ!?」

彼氏!?確かに魅力的な見た目はしているが、俺は恋愛に興味がない。

「ち」「違います」

俺が言う前に、ツバキに否定された。

「このお方はタイガさん。新しく始めたばかりだそうなので、装備について説明を……

 と、思ったんですが、シリーズのプレイヤーということで、とりあえず挨拶だけでもと、

 私が連れてきた次第なだけです。勘違いしないでくれませんか?」

ここまで否定されると、恋愛に興味はないが傷付く。

「そ、そうじゃな……これは失礼した……ムッホン!」

武具屋は、ハンマーを拾いなおして名乗った。

「ワシの名はディグ。この武具屋を切り盛りする者じゃ。

 お前さんがこのゲームをプレイする以上、ワシとは長い付き合いになるじゃろう」

「あぁ、よろしく頼みます」

「早速じゃが、このゲームに対する武具の説明は……」

「一応今までのシリーズと同じでしょう?いりませんよ」

と、俺は言った。


~サファイア先生の ワールドオーダーオンライン講座~


……と、言う感じで進んだら他の皆さんが分からないんで、わたしから説明を!

このワールドオーダーオンラインでは、基本的に武器や防具、アクセサリなどは……

敵を倒した時に現れる【素材】を使って製作します。

また、素材のほかに、ある程度のお金が必要です。

あ、ここでのお金はもちろんゲーム内でのお金【マナ】を必要とします。

武具の中には、今ツバキさんが装備している武具のように……

特定のモンスターを倒す事で入手できるものや、

特定のモンスターの素材と組み合わせ【超覚醒】するものもあります。

いろいろ作ってみて見てはいかがでしょう?

ちなみにこの武具屋では、回復アイテムや攻撃アイテムも購入や制作可能です。


―――――――――――――――――――――――――――


いろいろ見回してみる。

とりあえず初期装備のままではまずいだろう。皮の鎧、皮の盾。

防具は揃えておかないと、この先前途多難になりそうだ。

アイアンソードを装備すれば攻撃が12上がるのに対し、

皮の鎧と盾を装備すれば、防御が20上がる。

旅人の服より大幅にましだろう。

「これ、3点揃えるにはどれくらい素材と金が?」

「そうじゃな……大体これくらいじゃ」


アイアンソード 製作費:180マナ

【扱いやすい長剣。入門用にピッタリ】

黒鉄:0/8 ゴブリンの骨:0/4

皮の鎧 製作費:200マナ

【モンスターの皮で作った鎧。火属性得意でない場合、火属性ダメージ10%増】

ウェアウルフの皮:0/4 トビウサギの皮:0/6 クモの巣:0/2

皮の盾 製作費:100マナ

【モンスターの皮で作った盾。軽くて持ちやすい分、防御力には期待できない】

トビウサギの皮:0/6


とにかくトビウサギを倒していけば、皮の盾は作れるだろう。

皮の鎧は火属性に弱くなるが、まぁダメージが増えるだけならなんとでもなるはず。

持ち合わせの金は、150マナ。

黒鉄は洞窟の中などのコマンド、採掘で手に入る。

クモの巣はクモの敵を倒せば手に入るはずだ。

だが問題が一つ。

「黒鉄が取れる洞窟って、どの辺にあります?」

「黒鉄が取れるのは一応北の洞窟があるが……あまり深入りせんようにな。

 あそこの洞窟は初心者お断りと呼べるほどの、難易度の高い洞窟じゃ。

 1階層降りただけで敵が化け物じみた強さになるぞい」

……俺の頭の中は、黒鉄がどこで取れるかより、北の洞窟の1階層降りた部分が気になった。

それほど強い敵がいるのなら、きっと武器や防具など、何かしら見返りがあるはず。

「ありがとうございます」

店内をさらに見回す。

どうせならかっこいい装備を作ってほしいが……どれも値が張る。

特に……


ドラゴンメイル 製作費:12800マナ

【ドラゴンの素材をふんだんに使った鎧。腕力と精神が10、HPが50上がる】

最高質の黒鉄:0/12 ドラゴンの鱗:0/15

ドラゴンの牙:0/12 ドラゴンの輝く鱗:0/1


「おお、それか、今の段階ではワシはお前さんにそれしか作ってやれん。して。金はあるのか?」

「あるわけないじゃないですか。そもそも素材も足りませんよ。

 ただ、実用性が高そうな装備はこれだなと思いまして」

俺はさらに続けた。

「どの装備もある程度のリスクを背負った上での運用が基本となっている様子ですよね。

 例えばこの鉄の鎧。防御は確かに高いし体力も上がりますが……」


鉄の鎧 製作費:2800マナ

【少し重いが、耐久力が高い鉄の鎧。体力が10上がる。

 ただし雷属性得意でない限り雷属性ダメージ20%増】

上質な黒鉄:0/10 グリズリーの爪:0/5 バトルゴブリンの骨:0/3


「この雷ダメージ20%増はまずい。

 少し防御力が上がるだけでそれに見合わないリスクが生まれる。

 だとしたら、その装備が手に入るまで新しい装備を買うのを我慢して、

 金を溜めていたほうが、俺はいろいろな意味でも得、と思いましてね」

「ほ、ほう……なるほど」

するとディグの目の色が変わって……

「つまりワシにそういった装備作らんかいボケ】とでも言いたいんじゃね?」

「言ってませんって!思いましたけど!」

「思ったんですね……」




「あ、そうだ」

ディグの武具屋を出たところで、ツバキが声を出す。

「タイガさん、フレンド登録しておきませんか?」

「フレンド?別にいいけど、なんで?」

「ここで出会ったのも何かの縁ですし。私はこれから素材集めに出かけるんで、

 また何かあったら連絡したいんで」

フレンド……まぁ、このゲームの中だけでの交流なら、別に構いはしないだろう。

俺のフレンドに、ツバキの名前が加わった。

「では、またお会いしましょう」

「あぁ。また何かあったら頼む」

手を振り、別れを告げる俺。


「……タイガさん……まさか北の洞窟の地下に降りないですよね……?」




町の外に飛び出す。

一面が草原だ。

「よし。まずは素材を集めないとな。北の洞窟に行くにはその後でいいだろ」

……我ながら、命知らずである。

戦闘になったら何とかして戦闘を回避し、洞窟の地下で武器や防具を手に入れたいところだ。

そのためにも各種防具は、万が一逃げられなかった時に重宝するはずだ。

と、そこへ……

「ピーッ!」

「!?」

小さな黄色いウサギ……トビウサギだ。

1匹だけでなく、3匹もいる。

「……」

戦闘を始めよう。俺は背中に背負ったブロードソードを抜刀し……

「あ、あれ」

……またか?

「ピ?」

トビウサギが何故か心配そうに俺の方を見る。

……うん、まただ。


剣が重くて片手で抜けない。


ジャキン!と、ようやく抜けたころには……

「ぜぇ……ぜぇ……」

すでに息も絶え絶えだ。

「お、俺……昔から体育赤点だったからな……」

「ピーッ!」

トビウサギが突っ込んでくる。

「……!」

俺は剣を構え、それを待ち構える。

そして……

「オラァ~!」

そして渾身の力をもって、振り下ろされた剣は…


ザクッ!


……むなしく空を切り、地面に突き刺さった。

「な!?今のちゃんと振り落とせたはずなのに……!」

「ピーッ!」

「ぐっ……抜けろ!剣!」

体力のない俺には、抜くのにも一苦労だ…

トビウサギから突進を受ける。

1匹1匹からのダメージは少ないが、3匹もいるためバカに出来ない。

「だぁ……このっ!」

ようやく剣を抜き、

「くらえっ!」

と、振りぬく。

RPG風に言って「トビウサギは ヒラリと 身をかわした!」

嘘だろ……?

トビウサギはワールドオーダーにおける、スライムやク●ボーの分類だ。

普段のゲームでは槍で適当に攻撃すれば、あっさりと倒せるはず。

だが、それすらかなわない。つまり……


ブウン!ブウン!ブン!ブン!ブン!


ドガッドガッ


まるで当たらない。まるで効かない……

その様子を、遠くで誰かに見られている事にも気付かない。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ん?」


「オラオラァ!当たれ!当たれって!」

「ピーッ!ピーッ!」

タイガの様子を見守る、銀髪のくせ毛のある弓使いの少年。

「な、何やってんの……あれ……?」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


すでに55あったHPは12まで落ちている。

「ぐっ……!」

鈍い痛みではあるが、積み重なってきてさすがに厳しい。

ここでポーションを使うべきか。いや、使うべきだ。

最初の戦闘でゲームオーバーなんて、ナツキに知られたら笑われるし、


何より兄として、ナツキの事を言えなくなる。


ポンっと、ポーションの蓋を開けた俺は、それを一気に飲み干す。

…………体力は一応回復した。しかし……

「まずっ!」

RPGのキャラってこんな思いをして回復してるのか!?

新しい経験を積んだ俺だった……


―――――――――――――――――――――――――――


【WOO】なんか変な長剣使いがいたんだけど【初心者さん?】


1 名も無きアーチャー


町から出たとこの草原で、トビウサギ3匹相手にやたら苦戦してた

長剣の攻撃めちゃくちゃ空振りをしてたし、攻撃魔法も使ってないし


2 名無しの冒険者


マジで言ってんの?


3 名も無きアーチャー


マジマジ

長剣でトビウサギに苦戦する人初めて見た


4 名無しの冒険者


槍とかの長柄武器使うならまだしも、長剣で苦戦すんのありえねぇだろ

てかアーチャー氏はウサギ系苦戦するわけ?


5 名も無きアーチャー


魔法使えば何とでもなるね

ボク光属性だからフラッシュで気絶させればいいし

闇属性とかの序盤縛りプレイとかじゃなければ苦戦しないんじゃない?

闇属性でもシャドウガン当てりゃ片付くのに、気付いてないならもったいない


6 名無しの冒険者


とにかくそいつ失踪案件だろそれ

最初からそんな苦戦してるようじゃ、この先どうしようもないぞ


7 名も無きアーチャー


まぁもしこの先出会ったら何かしら教えてあげようとは思う

このままザコ中のザコにやられて失踪。なんていくら何でもかわいそうだしね

ツバキ、名も無きアーチャーさんはこの後も絡んでくる予定。

にしてもポーションってどんな味なんでしょうか?

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