表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/79

ポラリスさん、精神的に終了のお知らせ。

「……なんだか、ものすごく嫌な予感がするんだけど」

と、入る前に怖気づいてしまうのはポラリス。

「あ?嫌な予感ってなんだよ。行くぞボクっ娘」

4人で同時に部屋に入ると、背後の扉が閉まる。

そして目の前には、スライムのような液体のような、

ドロッとした青色の液体が。

「なんだあれ……?」

俺が近付いてみると……突然青色の液体は跳びあがった。

「!?」

あ、これ(ポラリスが)やべぇ奴だ。反射的に俺は想像し……

「グゲゴオオオォォォ!」

想像通りになった。

青色の液体はシャボン玉から足が生えたような見た目となり……

巨大なカエルに形作った。


【コロンゾン レベル40】


慌てて振り返ると、武器を構える2人の姿。

そして一人……と言うか、ポラリスはやっぱり……

「……」

白目をむいている……

「あ~、完璧にノックアウトだなこれ。俺たちで何とかするしかねぇか……」

「と言っても……僕たちで勝てるでしょうか」

「あ?何言ってんだ兄貴。オレたちだから勝てんだろ?」

まるで根拠のないことを言うエル。しかし、その通りかもしれない。

「よし、行くぞ!」

俺はいの一番に飛び出し、

「{シャドウレーザー}!」

シャドウレーザーを撃ち込む。

コロンゾンに命中したようだが……

「!?」

何故かコロンゾンが、2体に増えている。

「分裂した!?」

そして2体とも、アクアキャノンを構える。

「よけろっ!」

と声を上げる。

一応二人とも水得意だが、オーバーソウルの攻撃なら致命的になりかねない。

余裕をもってよけるアレンと……

「ぐわっ!」

余裕をもって受けてしまうほど足が遅いエル。

「ぐっ……なめんな!」

エルが攻撃。すると……

「ゲロッ」「ゲロッ」

今度は分裂した片方が小さいサイズ2体に分裂。

「おい!?どんどん増えやがるぞこいつ!」

「{アックスターン}!」

薙ぎ払うアレン。すると……

「ケロケロケロケロ」「ゲロッ」「ゲロッ」

合計で6体に分裂。しかもHPはまるで減っていない。

「ど、どうなってるんだこれ……!?」

更に一体一体が完全に独立して動くため、

「ぐっ……!」

火力こそ低いが、ダメージを受け続けてしまう。

「やめろっ……じゃ、邪魔だっての!」

エルに張り付くコロンゾンを、エルが懸命に振りほどくが……

「クルルルルル」「クルルルルル」

振りほどいて地面に落ちたコロンゾンすら分裂するため、まるで意味がない。

むしろ、逆効果に思える。

しかも小さくなればなるほど身軽になるため、攻撃が当たらなくなる。

「エル!」

「来るな兄貴!兄貴も巻き込まれるぞ!」

「くっ……エルから離れろカエルが!」

ブンブンと斧を振るが、やはり当たらない。


……エルから離れろ、カ『エル』が。

いや、俺は何を考えているんだ。


とりあえず攻撃を繰り返すべきか、攻撃せずに様子を見るべきか……

ポラリスが戦えないのが本当に痛い。

「クルルルルル!」「ゲロッゲロッ」

いや、様子を見ても埒が明かない。リスク覚悟で殴るしかない……はずだ。

「この野郎!」

ブーメランを投げる。

大きい方には命中したが、それも分裂。

「とにかく攻撃してくれ!増えた奴は後で俺が何とかする!」

「わかりました!」

斧を振り回すアレン。

「ちっ、めんどくせぇ!」

エルも杖をブンブンと振る。

しかし攻撃してもしても、体力は減らず、それどころか……

「ゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロ」

数が増え、気が付くと数え切れないほどの小さなカエルが部屋の中を支配。

「で……どうすんだよ……タイガ……」

「で……どうしようか……これ……」

「まさか、何も思い浮かんでなかったんですか!?」

「ど、どうすんだよこれ!?ボクっ娘起きたら発狂どころじゃねぇぞ!?」

それを知ってか知らずか、元気に跳ね回るカエル。

「?」

照準を合わせると、こう書いていた。


【コロンゾンベビー レベル25】


そして別の個体に照準を合わせる。


【コロンゾンベビー レベル25】

【コロンゾンベビー レベル25】

【コロンゾンベビー レベル25】


【コロンゾン レベル40】


「!?あれだ!」

一匹だけ、背中に三角のマークがついていた。

それに照準を合わせると、コロンゾンと言う名前が出てきた。

おそらく、あれが本体。あれを倒さない限り、こいつらも倒せないはずだ。

「クルル?」「クルルルル!」

それに気付いたのか、コロンゾンベビーは集まりだす。

「させるかよ!{シャドウレーザー}!」

渾身のシャドウレーザーを撃つが、

「!?」

大量のコロンゾンベビーが集まり、それを受けて分裂する。

そして肝心の本体はものすごい勢いで逃げ回る。

「僕に任せてください!」

……あの速度、アレンならついていけるだろうか。

「わかった、あいつだけを狙ってくれ!」

それを聞くと、アレンはうなずき、コロンゾンに近付く。

「{天蓋砕き}!」

斧を振り上げるが、再びかわされる。

「{アックスターン}!」

薙ぎ払い。今度は命中。

……ものすごいダメージだ!

「やったじゃねぇか兄貴!」

「よし、このまま……」

と、その時だ。

「グゲゴオオオォォォ!」

コロンゾンが大きく鳴くと……

「クルル!」「カロロ!」

大量のコロンゾンベビーが、コロンゾンに集まりだし……

「!?」

一斉にライフドロップをかけ、HPを全快させてしまった。

「そ、そんな」

そしてコロンゾンはコロンゾンベビーにかかるよう青い粘液を吐き出し……

「グルゴオオオォォォ!」

再び巨大なカエルに姿を変えた。

「な、なんだよこいつ……!?」

「グガアアアァァァ!」

そして大声を上げると、部屋の中で渦が発生した。

「!?」

水属性のメイルシュトロムだ。

「ぐっ……!」

狙いはエルだ。エルは徐々に体が沈みだす。

「エル!」

「や、やめろ!来るな!兄貴!」

エルの制止を振り切り、アレンが近付いてエルを引きずり出そうとする。

「!?」

俺はあることを閃いた。

「グルガアアアア!」

が、それより先にコロンゾンの舌が迫る。

「!?」

さすがに2方向からの攻撃は対応できない。そう思った時だった。


「{ホーリー……シールド}!」


光の盾が、舌を跳ね返す。

そのダメージで、コロンゾンは再び分裂した。

「ポラリス!?」

俺がポラリスの方を向くと……

「だ、大丈夫……だった……!?」

ポラリスはきつく目を瞑りながら、魔法を唱えていた。

「お、お前……まさか……」

「うんうん……一瞬……目を開けた」

まだ足はぷるぷると震えている。

「……大丈夫か……?」

「だだだだ、大丈夫……!」

同じタイミングで、エルとアレンも無事に渦から脱出する。

エルはHPが1ケタの状態だ……

「く、来るなって言ったのに……んだよ……兄貴……!」

アレンもかなりダメージを負っている。

「来るなと言われて、渦に飲み込まれる妹を黙って見てられないよ」

「……世話焼き」

二人ともライフドロップで回復し合う。

「さて、いい加減こいつを……倒さねぇとな」

俺は目を閉じ、詠唱する。

「{ダークネスビット}!」

パパパと、3つの黒い球体が現れる。

「な、なんだこれ!?」

「さっき戦ってる最中に編み出したんだよ。実は」

そしてビットは飛び回り、コロンゾンに対して攻撃。

コロンゾンは細かな攻撃で、どんどん分裂していく。

そしてコロンゾン本体も飛び出す。

「すげぇ!いつの間にそんな技編み出したんだよ!?」

と、エルが聞く。

(さっき焼かれながら、編み出しに成功してたとか、恥ずかしすぎて言えねぇ)

本体が逃げ回る中、ベビーがぴょこぴょことコロンゾンを守る様に動く。

「エル、ちょっと聞きたいんだが」

「あ?なんだ?」

「お前、相手を打ち上げる攻撃は持ってるか?」

少しだけ考えた後……

「そういうニッチな攻撃手段は持ってねぇな……

 一応弾き飛ばすことならスマッシュで出来っけど……」

それなら上出来だ。

「ポラリス!もう一度我慢の時間だ!」

「ええぇぇぇぇ!?」

金切り声。……ポラリスには悪いが、ここは我慢してもらうしかない。

「……わ、わかった……よ……!」

弓を再び手に持つポラリス。

「てか、どうすんだよ。兄貴が追いつくのがやっとな相手だぜ?

 オレがどうにかできる相手じゃねぇだろ!」

「……1+1は、なんだと思う?」

「はぁ?」

それを聞いたエルは……

「……2だろ、バカにしてんのか?」

「違うな」

「まさか{田んぼの田}でした~とか言わねぇだろうな」

にらみつけるエル。

「アレン、お前ならできるよな」

「……なるほど。行くぞ、エル!」

「えっ?あ、あぁ……」

そしてアレンはエルを背負い、そのまま走り出す。

「おわっ……!?兄貴!?」

「近付いたら、スマッシュを頼む!」

「……おうよ!」

何をするのか、エルも気付いたようだ。

それを阻止しようとするコロンゾンベビー。

「やらせるかよ!」

ダークネスビットと、ブーメランによる攻撃で分裂の方に力を使わせる。

「ゲロッゲロッ!」

逃げ回るコロンゾン。

「兄貴!」

「あぁ!」

追いつくために、足に力を込め、更に加速するアレン。

「おおおおおおおお!」

そしてエルは、杖を両手で持ち……

「ここだ!」

「{スマッシュ}!」

思い切り殴りつけ、吹っ飛ばす。

……アレンの攻撃力なら足りないが、エルの攻撃力なら高いため大ダメージになる。

が、エルだと足が遅く、追いつくことが出来ない。

つまりアレンの足の速さと、エルの攻撃力が合わされば……

それが俺の作戦だ。

本体を回復しようと、ベビーが地上から向かうが……

「ポラリス!」

「……!」

目を開くポラリス。

「(だ、大丈夫……!青いいくらだと思えば……!){スパローキラー}!」

「{シャドウレーザー}!」

俺のシャドウレーザーと、スパローキラーがコロンゾンに命中し……

キラ~ン……

コロンゾンは、消滅した。

それと同時に、シャボン玉が破裂するようにベビーも消滅した。

「しゃ~っ!」

背負われながら、両腕を高々と掲げるエル。

「さすがだよ、エル!」

「へっ、何言ってんだ。兄貴と……あの二人がいるおかげだよ」

喜び合う兄妹と、

「……」

へなへなと、その場に座り込むポラリス。

「……悪い、ポラリス。無茶させちまったな」

「こんな相手……2年はごめんこうむりたいよ……」


宝箱が現れ、それを開けようとする……

「と、一番の活躍はエルとアレンだな、お前たちが開けてくれ」

「そ、そんな……タイガさんがいなかったら、わたし……」

杖を納刀したので、元通り戻ったエル。

「まぁ、ボクは今回口出しする権利は一切ないし」

「俺がいいって言ったんだ。だから開けてくれ」

「……」

なおも戸惑うエル。

「あのお二人の意見を汲むのも、僕たちの役割だよ」

「……うん」

そして宝箱を開けると……

「おぉ……!?」

巻物がふたつ、そしてメダルが10枚。

ひとつの弓が入っていた。

巻物のスキルは、こう言う者だった。


デストロイヤー 自動スキル

【体力が最大の相手に対して、攻撃の威力が上がる。レベルアップで効果が増加。

 敵を一撃で倒した回数が一定以上でレベルアップ】


神速の反撃 自動スキル

【攻撃を寸前で回避すると、短時間攻撃の威力が上がる。レベルアップで効果が増加。

 敵の攻撃を回避したうえで勝利した回数が一定以上でレベルアップ】


神弓アマツミカボシ

【星の神が顕したとされる霊験あらたかな大弓。

 器用さが20、知力が15増加。超覚醒可能】


「まさにお前らのためにあるようなスキルだな……」

まずデストロイヤー。エルの超火力に磨きがかかると言える。

そして神速の反撃。これは回避盾のアレンにピッタリだ。

そしてアマツミカボシは……

「うぅ~ん、わたしは水得意で杖装備に、弓の上級職なかった気がします……

 そ、そもそも、腕力振りなわたしには、弓は似合いませんし……」

「僕はバイキングと言う、斧得意の長剣サブ武器に進職してしまいましたしね……」

……と、なると……




「今日ほどボクの自分への弱さに憎悪した日はない」

と、言いつつ背中に弓を帯刀しているポラリス。

「ま、まぁ……使われないよりはマシ……だと思います……」

「さて、残りはメダルだが……」

「これはタイガさんたちがもらってください」

遠慮するアレン。

「それで{あぁ、そうする}ってくらい、俺たちは面の皮厚くないぞ」

「では……」

俺はポラリスに目配せすると、ポラリスは静かにうなずいた。

そして4枚だけ受け取り、残りをアレンの手のひらに乗せた。

「こ、これは……」

「お前たちを連れだしたのは俺だからよ。だから駄賃としてもらってくれ」

「……いいんですか!?」

「もちろんだ。今更{やっぱやめ}なんて言わねぇよ」

アレンは静かに、メダルを握りしめた。

「このご恩は、いずれ」

「ありがとう、ございます!」

そして兄妹二人とも、深々と頭を下げた。

「ふふ……」

その様子を、ポラリスもニンマリとした顔で見つめていた。




「ねぇ、タイガ」

エルとアレンと別れ、適当に歩いていると、ポラリスが話しかけてきた。

「……ボクと組むなんて……嫌でしょ?」

「ん?」

「だって、あの生き物が相手だと、ボクはただのお荷物だもん。

 タイガにとって、何の利にもならないよ」

「そうだな。だが害にもならない」

そう聞くと、ポラリスは目を丸くした。

「苦手なものがあるのは誰だって一緒だ。それでもし、自分が足を引っ張ってる。

 そう思ったなら、克服すりゃいい。俺も、手伝うしな。

 それに……多少弱点があるほうが、人間らしいだろ?」

「……!?」


――多少弱点があるほうが、人間らしいと思わないか?


「……お兄ちゃん」

「え?」

「……!」

ポラリスは自分が失言したと思ったのか、はっと口を押さえ、

「な、なんでもない。……ありがとう、タイガ」

「あ、あぁ」

ポラリスの言葉も気になるが、今はそっとしておこう。

俺たちはあまり目立たないよう、森の中へ戻ることにした。


―――――――――――――――――――――――――――


アックスターン 斧 消費SP:15

【斧を振り回して攻撃し、相手を弾き飛ばす。

 威力は低いが、比較的出が早く扱いやすい。クールタイム:30秒】


メイルシュトロム 水 消費SP:50

【巨大な渦を作り出し、相手を閉じ込める。

 閉じ込めている間は徐々にダメージを与え、

 飲み込む瞬間に特大ダメージを与える。クールタイム:3分】


ダークネスビット 闇 消費SP:50

【一定時間、敵を自動的に攻撃するビットを召喚。

 ダメージ自体は少ないが、ダメージを与え続けることが出来る。

 レベルMAXでビットが5個に増加。クールタイム:3分】

ちなみに著者も、カエルは少し苦手です。

キャラクターなら行けますが……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ