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再会はいつも、感動的になるとは限らない。これが例。

――――――――――――――――――――――――――


【WOO】アプデまとめスレ 2【マップ、スキルなどなど】


402 名も無きアーチャー


海岸地帯はレベル8~20くらいの敵が多く出るね

シーホエールがいきなり出た時はビビったけど

フレンドと杖使いの人と斧使いの人のおかげで何とかなった

あとまほうエビとかサンダーイールとか、魔法使う敵多く出るから

精神低い人は注意したほうがよさそうだね


ところで改めて聞くけど、上質な黒鉄って海岸地帯には出ないんだよね?


403 名無しの冒険者


シーホエール出んのかよ

あいつ無駄に体力高いからめんどいんだよな

俺炎属性だし


404 名無しの冒険者


上質な黒鉄は海岸地帯では出ないよ

結構海岸地帯で戦闘したから間違いないはず

もしかして拾えた?


・・・


409 名も無きアーチャー


なんかフレンドたちと一緒に戦ってたらいつの間にか落ちてたから気になった


410 名無しの冒険者


こっわ、真夏の怪談じゃねぇか


411 大剣大好きっ娘


バグ?


412 名無しの冒険者


むしろバグであって欲しいな、これ


・・・


420 名も無きアーチャー


普通に使えたからバグではないと思う

でも怖いから運営本部に通達送ってみた

イベント後にまたメンテ入るかもしれない


421 名無しの冒険者


本当頻繁にバグ起きるなぁこのゲーム


―――――――――――――――――――――――――――


【WOO】ダークリゾルブ被害者の会専用スレ 2【鬼畜ギルド】


78 名無しの冒険者


そういや知ってる?ツバキ、リエータにボコボコにされたって噂


79 名無しの冒険者


マジか

事実だったらざまぁってレベルじゃない


80 名無しの冒険者


昨日海岸地帯に行ったんだけど、確かに森の一部焼けてたな

リエータの正義の鉄槌って感じ、さすがやで


81 名無しの冒険者


このまま引退でもしてくんねぇかなあいつ


82 名無しの冒険者


ツバキざまあああああああ

さすがリエータやでぇ


83 リエータ教信者


リエータたんは強いよぉ

リエータたんはかわいいよぉ

リエータたんはやさしいよぉ


84 名無しの冒険者


これを気にダークリゾルブの勢い減ってくんねぇかな

後割と真面目にツバキは氏ね


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「……」

その掲示板を見る、現実世界のリエータ。

かりんとうを食べる音が、部屋の中に響く。

「まったくみんな……」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「{オーバードライブ}!」

オーバードライブを使い、加速したツバキの目の前に、

「え!?」

リエータが現れた。

「{レッドドラグーン}!」

リエータが左手を突き出すと、

「グオオオォォォ!」

ドラゴンの頭がツバキに迫り……




……プレイヤーキルでツバキが消滅。

「ふう……まだうまく使えないな、レッドドラグーン」

上級職の魔法に、左手のひらを焼かれている。リエータはふっと、炎を消した。

「……?」

と、同時に、ツバキのいた場所に何か落ちていたのを目撃。

……紙切れを拾い上げる。

「これ……」

それは、ビリビリに破られたのを、テープで必死に貼り付けている……

笑顔の家族写真だった。

破られているのは、ツバキの部分のようだ。

そして裏返すと……

「……!」


だれか わたしを たすけて


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「わかってないなぁ」

溜息をついた後、リエータは再びかりんとうに手を伸ばした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日……

「……」

「……」

ログインした後初めて酒場に入ったが、何だかドタバタしている。

「みんなイベント前だから、大騒ぎだね」

「まったく、だな」

俺は天命を待つ派だ。

今更慌てたところで、結果は大して変わらないことが多い。

「あと2日だな……どうする?ポラリス」

「そうだね……まぁ、まだ探索してない場所を探索するって感じかな。

 昨日はあの兄妹の手伝いをしたから、まだ探索できてないところが多いしね。

 タイガはどうしたい?」

「俺は別に何でもいいぞ。証武具持ってるしな」

「強者の余裕だね……」

気を悪くしたなら謝ろう。

と、考えていた時だった。

「よぉ、この席、空いてるかい?」

「拙者もご一緒していいだろうか?」

目の前に、立派な体つきの斧を背負った、ウルフヘアの男と、

赤い忍び装束を身にまとい、装具を身に着けた、髪の毛が逆立った男が立っていた。

「あ、どうぞ」

二人とも座る。

「お前か、噂のタイガって長剣使い」

「噂……?」

「あぁ、噂だぜ?オレもたまに書き込んでる掲示板で……」

まさか……

俺の正体が、そんな早く噂になっているのか!?


「トビウサギにめちゃくちゃ苦戦するも、リエータと共にエキドナを撃破した、

 強いかどうかよくわからない長剣使いってな!」


ポカポカポカポカ

「痛い!痛い!痛い!痛い!」

『噂を流した人』(ポラリス)には制裁。

その様子を見た男二人は、笑っていた。

「なかなか面白いお二人じゃねぇか。オレたち{鋼の心(スチールハート)}に強力なライバル出現、だな」

「鋼の心?」

「前のビギニングイベントで3位だったプレイヤー、{アキラ}をリーダーとしたギルドだよ。

 すでに結構な規模になってるみたい」

ギルド……ダークリゾルブ以外にもあるのか。

「おっと……紹介がまだだったな。

 オレはヴァルガ。そこの言うとおり、鋼の心のメンバーだ」

「拙者はホムラ。同じく鋼の心のメンバー。よろしくお頼み申す」

「タイガです。よろしく」

「ポラリスです。お会いできて光栄です」

頭を下げ合う。こういう交流も大事だ。

「それで、無礼を承知で申すと、先ほどから話を聞かせていただいた。

 証の武器防具が欲しい、と?」

「あぁ~、まぁ気にしないでくれ。大した話じゃないし」

「なんでタイガが話を進めるの!?」

「ちょうどポラリス殿、貴殿に似合う証装備を守護せしモンスターなら知っている」

ホムラの言葉に、ポラリスの目が光った。

「{結晶鳥(けっしょうどり)の巣}ですよね」

「左様」

「掲示板で話題になってたのか?」

俺の問いに、ポラリスは首を横に振る。

「昨日砂漠で試し撃ちをしてたんだけど、そこで大きなアリジゴクの底に見える洞窟が見えたんだ。

 多分そこが結晶鳥の巣」

「理解が早くて助かるぜ。そこにいるオーバーソウルが、何かの証を持ってると思うんだが……」

「だが?」

「ま、まぁ、とにかく、そこにいるオーバーソウルが証武具を持ってるはずだ。

 もし自信があるならチャレンジしてみる価値はあると思うぜ」

……その言葉が事実か、正直怪しくもあった。

もしかして、俺たちをハメようとしてないか?と。

急に歯切れが悪くなったのがその証拠だ。

「……」

「どうしたの?タイガ」

「何も?情報ありがとうございます。早速行ってみます」

俺はヴァルガとホムラに頭を下げると、酒場を出ていった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


それと入れ替わりに……

「……なんだ、来ていたのか。ヴァルガも、ホムラも」

オレンジ色のショートヘアの女……アキラが入ってきた。

「遅いなアキラ。……で?ツバキは結局見つからなかったのか」

「あぁ。おそらく北の洞窟の中だろうが……ダークリゾルブに寄ってたかって襲われては元も子もない」

「しかし何故、ツバキ殿を捕捉しようと」

腕を組むアキラ。

「あいつは害しか為さない女だ。通報する以外に道はないだろう?」

「あぁ~……まぁな。あいつを通報すりゃ、レックスも黙ってないだろうし。

 そこでダークリゾルブを一網打尽。って感じか」

うなずく。

「ところで、お前たちは結晶鳥の巣へ行ったんじゃなかったのか?」

ギクッと肩を怒らせるヴァルガ。

「行ったのでござるが……ヴァルガ殿が」

「{下が見えないほどめちゃくちゃ高いじゃねぇか。やっぱりやめようぜホムラ}

 とでも言ったんだろうな」

固まる。……図星のようだ……

「まったく……ゲームの中まで高所恐怖症でどうするんだ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


砂漠地帯にやってきた。

さすがにゲーム内だからか、暑さはない。

「しかし……砂嵐がすごいな」

「うん。この砂嵐に交じって、敵が襲ってくることもあるから気を付けて」

「わかった」

早速敵が現れる。

「デザートウルフ、レベル15……地味にレベルが高いな」

しかも二匹いる。

「ワオォン!」

「{シャドウレーザー}!」

「{スパローキラー}!」

トドメをさすのはポラリス。

「{マグナムブレード}!」

「{ミルキーウェイ}!」

トドメをさすのはポラリス。

……えっと、俺の火力が2ぐらいなら。ポラリスの火力は……

……100くらい。


あれ?やっぱ俺、不要?


ま、まぁ、シャドウレーザーの火力はポラリスより若干低い程度はあるし……

って若干低い時点でダメじゃねぇか!

「何やってるの?タイガ」

「あ、いや、何も……」

「とりあえず素材は、タイガが持っておいて」


Get!【デザートウルフの牙】×2


「なんで俺が持つんだよ。耐久力が高いお前が持ってたほうが」

「そのほうがいいかなと思っただけだよ。それに……

 キミのことを信じてるから」

「……」


みんな!女神だ!女神がここにいるぞ!


「だからボクは男だって」




そうこうしているうちに、結晶鳥の巣があるという巨大なアリジゴクまで来た。

「……これ、相当深いんじゃねぇか?」

「うん。おそらくね」

アリジゴクの中は真っ暗で何も見えず、そもそも中に入れるかどうかもわからない。

「なぁ、ポラリス」

「?」

俺は懸念をポラリスに告げてみた。

ヴァルガ、ホムラが俺たちをだましていないか。

ハメようとしていないか、と。

するとポラリスは『ないない』と、手を動かす。

「仮にはめようとしているなら、もっとうまくやるはずだよ。

 それに狙うならボクたちなんかより、リエータやツバキを狙わないかな?」

「それも……そうだな。悪い」

気にしないでいいよ。と、ポラリスは手を小さく挙げる。

「とりあえず……入ってみようか」

「どうやって?」

「こうやって」

と、ポラリスが俺の肩を持つ。

え?まさか、あの、ポラリスさん?

そう思っているうちに、ポラリスは一歩踏み出す。

やっぱりか!そのままポラリスはアリジゴクの中へと体を預けた。

そして中央の渦に飛び込み……

「タイガ!」

……なるほど、そういうことか。

「{グラビティダウン}!」

重力を操作し、ゆっくりと落下する。

中に入ると、外からは想像もできないほどまばゆい空間だった。

外壁は遺跡のような石壁と、石の床になっている。

「ここが……いかにもって感じの場所だな」

「うん。行こうか」


しかししばらく進んだところで、俺たちは衝撃的な光景を目撃することになった。

「!?」

「え!?」

そこにいたのは、敵と戦闘しているツバキだった。

「ぐっ……!」

懸命に装具で攻撃を食い止めるが……

「グオォ!」

「きゃあ!」

巨大なワニ……さばくワニの尻尾を受け、壁に激突する。

「ツバキ!」

俺は反射的に駆け出した。

「なっ……ツバキには構わないほうが」

と、言うポラリスの声が聞こえた気がしたが……

「……た、タイガ……さん……?」

「グワアァ!」

大きな口を開け、俺ごと丸呑みしようとするさばくワニ。

「もう、仕方ないなぁ……{ミルキーウェイ}!」

ポラリスの射撃。ギロリとした視線を、さばくワニはポラリスに向ける。

「ガゴ!?」

「レベル19くらいならまだ何とかなるはずだな……{シャドウレーザー}!」

直後に黒き光線が、さばくワニを貫き、

もともと消耗していたのか、さばくワニは消滅した。

「……大丈夫か?」

と、俺が声をかけ、手を差し出す。

「……」


(……ダメ……これ以上、巻き込めません……特に、タイガさんは……)


バチン!


「!?」

ツバキは俺の手をはたくと、ダンジョンの奥へ、ふらふらとした歩みで歩き始めた。

「……」

俺は鈍い痛みが走る手を、しばらく見つめた。

「……だから言ったのに」


―――――――――――――――――――――――――――


ドラゴンライダー

【槍と炎属性得意。サブ武器として、斧が装備できる上級職。

 強力な炎属性の象徴であるドラゴンを使役できる】


レッドドラグーン 炎 消費SP:70

【ドラゴンライダー専用スキル。炎のドラゴンを具現化し、戦闘に参加させる。

 レベルアップで具現化する力を高め、背中に乗ることも可能になる。クールタイム:5分】


スパローキラー 弓 消費SP:25

【弓の上級スキル。相手を翻弄する軌道を描く弓を放つ。

 飛んでいる魔物に必中。クールタイム:50秒】

ギルド、スチールハート登場。

そしてタイガたちは証武具を入手できるのか?

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