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いつも通り帰ってきて、いつも通りゲームをやるとしようか。

初投稿です。

文章等いろいろと拙い部分はあるかも知れませんが、よろしくお願いいたします。

ワイワイ……

掲示板の前に、生徒たちが集まっていた。

「おい!見てみろよ!」

「ま~た雨宮が1位!?すげえなあいつ!」

その喧騒を流し聞きしながら、ゆっくりと歩く俺。


俺の名前は雨宮大河(あまみやたいが)

割とくしゃくしゃな黒髪、で、黒縁メガネ。身長は高い方だと思う。

ま~、頭がいいくらいしか取り柄がない高校生だ。


「おい雨宮~」

「あ?」

……この、テストが始まる時期、終わった時期が一番憂鬱だ。

「オレに勉強教えてくれよ~。このままじゃオレ補習続きで部活出来ねえんだよ~!」

普段は俺を「ガリ勉」だの「根暗」だのつべこべ言うくせに、

勉強がらみになるとどいつもこいつも俺を頼ってくる。

……あぁ、めんどくせぇ。

「知るか。先生の補習だ。ありがたくお受けしやがれ」

「そんなこと言わずに~!」


「僕にも!」


「俺にも」


「アタシにも!」


「ウチにも」


あぁめんどくさい。

「あと、俺今日早く帰らねぇと行けねえんだわ。じゃ」

俺はワイヤレスのヘッドホンを頭から装着し、そのまま学校から出ることにした。


そもそもなんで、こういう時だけ俺を頼ろうとする?

なんで自分で何とかしようとしない?

その「自分自身で何もしようとしない」という考えが、俺は一番嫌いだった。

……勉強では、の話だが。


「はぁ、早く夏休みにならねぇかな」

夏休みになれば、ゲームでもしながらのんびりと過ごせる。

しばらくの間、学校の事を考えずとも済む。

まぁ、学校の宿題くらいは当然やるが。

そうこう考えているうちに、やがて下校している生徒の影はまばらになってきて。

そして、俺の家の前に。

「ただいま~」

と、ドアを開けると……

ド ド ド ド ド ド ド ド ド

と言わんばかりにものすごい勢いで走ってきた、

「はっはっはっはっ」

ガシッむぎゅ~~~!

「お兄ちゃん、おかえり~!」

と、赤髪のショートヘアの少女が飛びつく。

「ぐお!?」

ドサッ

そして俺は背中をしたたかに打ちつける。

「ちょっやめろよ!ナツキ!」

妹の雨宮夏希(あまみやなつき)だ。

今年で俺と同じ高校に入ったというのに、17歳の俺に対して、ナツキは精神年齢7歳くらいしかない。

家に帰ってきたら、毎度毎度ものすごい勢いで飛びついてくる。

それでも、世に言うスクールカーストは俺より高い。

勉強は全くできないが……

運動神経抜群。人当たりがいい。家事全般が得意。そして……

「ねね、お兄ちゃん!」

なにより、かわいい。

兄補正も入っていると思うが、相当にかわいいと思う。

「む~、お兄ちゃんってば!」

「わかった……わかったから離れてくれ!」

ようやく馬乗り状態から解放される。

「んだよ……どうしたんだよナツキ」

「あのね、お兄ちゃん!これ見て!」

ナツキは、今日返ってきた期末テストを見せる。

「……国語58、数学49、理科42、社会50、英語41」

「すごいでしょ!ひとつも赤点がなかったんだよ!ほめて!」

「ほめれるか!英語に至っては赤点ギリギリじゃねぇか!」

それでも満面の笑みを浮かべるナツキ。

「……」

これは、純粋な笑顔ではない。


……褒められることを期待している笑顔だ。


「あのなぁ……」

「ありがとう!お兄ちゃん!」

「……はぁ?」

「だって、今、あたしの事目で褒めてくれたから!」

ポジティブな考えも、ここまでくれば芸術だ。

「目でって……」

「じゃあお兄ちゃんは何点だったの?」

黙って見せる。


国語98 数学100 理科98 社会96 英語94


「すっご!」

「あ?適当に勉強しつつ先生のありがたいお話聞いとけば間違いねぇだろ」

……昔からそうだ。

俺は物覚えだけはよくて、学校のテストじゃこう言った点しか取ったことがない。

「100点なんて都市伝説だと思ってたよ!お兄ちゃん、すごいね!」

「都市伝説って……あのな。テストでこれくらいの点を取るのは本来簡単なんだ。

 何よりお前は人の話を聞かなさすぎなんだよ。さっきの……」

「そういえばさ、お兄ちゃん」

また話の話題を変えようとする。

「だからお前……人の話を……」

「何か小包みが届いてたよ!」

その言葉を聞くと、俺はすぐさま体を起こし、

「どこに!?どこに!?」

と、大声をあげた。

「え、そんなに大事なものなの?」

「あぁ、大事なものさ」

「もしかして……ムフフでウフフなやつ?」

「断じて違う」

女の体に興味はない。……はずだ。

ナツキにどこにあるか聞くと、「とりあえず台所」と聞いたので、俺はそこへ向かうこととした。


「おぉ~、ばっちり届いてるな」

その箱には、こう書いてあった。


《World・Order・Online》


「わ、わーる……」

「ワールドオーダーオンライン、略してWOOだ。

 ゲーマーとして、シリーズファンとして抑えとかないと、と思ってな」

「へー、面白そう!あたしもやってみたい!」

目を輝かせるナツキ。

……俺にはわかる。

こいつは一過性の興味だけで行動して、あとはなおざりになるということが。

「あ?お前に出来るのかよ。

 (ピー)の伝説で最初のダンジョンすら入り方わかんないって泣きついてきたお前が?」

「ぶ~。あれはもう5年前の話だよ!」

「5年前でもだよ。そのころからお前精神的にも成長してねぇだろ」

それにしても、ついに届いたんだ。

このゲームは昔から好きだった。

すでに10作品出ており、このワールドオーダーオンラインはシリーズ初のオンライン対応であり、

シリーズ初のVRMMOだ。

発売日は1か月前だったが、人気が高くしばらく慢性的な品薄が続いており……

3日前、ようやく1つだけ入荷され、それをすぐに注文した。

……ようやくだ。ようやく俺も参戦できる。

「そういや、父さんと母さんは?」

「父さんも母さんも、今日お仕事で遅くなるって。だから晩御飯はあたしが作るね」

「おう、頼むわ。俺は初期設定してくる」

「……初期設定……て、何?」

……そこからなのか……


だが正直、学校ではゲ―ムを共にする友人もいなかったので、ナツキを誘いたくもあった。

でもあいつはゲームに関してはズブの素人だ。

部屋の中でゲーム機をセットしながら、スマホで電子説明書を流し読み。

……まぁ、どうせ大した違いはないだろう。

発売日からこのゲームの情報は完全にシャットアウトし……

最初に起動した時のワクワク感を、思う存分楽しもうと考えていた。


……のちにこの慢心が、とある悲劇を生むことは、この時の俺は知る由もない。


俺の部屋の中は、今までゲームの大会で獲得したトロフィーが棚の中に並べられている。

これまでいろいろなゲームをプレイしては、大会で賞を総ナメにしてきた。

ゲームは、勉強をする上での潤滑油だった。

「……今までと大して変わらねぇな。だがVR……か」

VRMMOは正直初めての体験なので、いやが上にも緊張はする。

VRゲームは初めての経験だ。ゲームショウか何かの体験で軽く触ったのみ。

MMORPGも初めてだ。

オンラインはとある育成ゲームのフレンド対戦。とあるゲームのマルチプレイ。

それくらいしかしたことがない。

念のため掲示板でも情報収集してみる。

「ん?」


―――――――――――――――――――――――――――


78 名無しの冒険者


で、結局槍使いって人口どうなん?


79 名無しの冒険者


さぁ…でもリエータってやべー槍使いがいるからな


80 リエータ教信者


リエータたんなぁ。あの子槍使いなのに強いよな

それにあの見た目……ハァハァ


81 名無しの冒険者


ハァハァすんなwww


まぁこれから槍使い始めようって思う人は相当頑張らないとまずいよな

リエータのせいで逆に槍使いどんどん減ってる気がするわ


82 名無しの冒険者


確かビギニングイベント優勝してたんだよな

あれしかもゲームやったことない初心者らしいぞ


83 名無しの冒険者


kwsk


―――――――――――――――――――――――――――


「……」

……ワールドオーダーでは槍ばかり使っていた身としては、このリエータというプレイヤーには興味がある。

80番の書き込みを見るに、女性なのだろう。

……上等だ。

これでもゲーマーの端くれ。それくらいに強い槍使いがいるとするなら……

俺も、後れは取っていられない。

俺は頭からVR機器をかぶり、意識を集中させた。


………………………………………………………………

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