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SEVEN TRIGGER  作者: 匿名BB
月下の鬼人(ワールドエネミー)下
203/361

maintenance(クロッシング・アンビション)6

皆様、お久しぶりです。

この度は投稿が滞ってしまい大変申し訳ございません。

五章後編、開演いたします。

「手裏剣……!?」


 シャドーが使っていた五方手裏剣。

 指先に輝く黒星に、俺は目を見張る。

 一朝一夕とは思えない、恐ろしく慣れた手つきで放たれた手裏剣二つは、見事ロナを拘束していたテロリストの腕に突き刺さった。


「うあぁぁッ!!」


 血の吹き出した男の手から、ナイフがスルリと床に落ちた。

 その隙にロナが逃れようと、腕を振りほどいた瞬間────


「このガキャァッ!!」


「……きゃっ……!」


「……ッ!」


 テロリストが叫喚しながらロナを蹴り飛ばした。

 そのまま、正面に居たアキラと縺れるようにして倒れこむ。

 ────ゴロンッ……


「……!?」


 仰向けに倒れていたアキラが目を見張る。

 二人のすぐ横、テロリストがずっとロナの背に隠し持っていた、手榴弾が転がっていた。

 安全レバーは勿論ない。


「二人とも消し飛びやがれッ!!」


 テロリストはそう吐き捨てながら背を向けた。

 手榴弾は安全レバーが外れてから約五秒で爆発する。

 二人はもう、逃げることはできない。


「……ッ」


 アキラはそれでも、ロナと身体を入れ替え覆いかぶさる。

 最後まで仲間を見捨てず、身を挺して守ろうと……




 一部始終を見ていた俺は、無意識に右眼の力、悪魔の紅い瞳(レッドデーモンアイ)を解放していた。

 身体が焼けるように熱くなり、全身に力が漲ってくる。

 魔眼に対してあれほど忌み嫌っていたはずなのに……今はそんなこと、毛ほども気にならなかった。

 コンマ何秒よりも早く二人の場所へ────!

 それは、決して自分のためではない。

 あの二人のために……俺は……!

 銃口を背に向けられていたことなんて、もう忘れていた。

 一歩お踏み出すごとに、三倍、五倍、十倍、二十倍と力は増していき、コンクリートの床に乱雑な凹みを作っていく。


「フォルテ!?」


「その眼は!?」


 部下の前に仁王立ちした姿に、二人は眼を丸くする。

 鮮紅色を灯した瞳。

 手にはいつも鞘にしまっていた太刀、村正を抜いていた。

 その刀身は鞘と比べて半分程しかなく、先端に至ってはボロボロだ。

 でも、そんなこと関係ない。

 腕一本で二人を救うにはこれしかない────!


 月影一刀流、七ノ型。


文月(ふみづき)!!」


 右腕一本、変則居合から放った切っ先が、屋内に風撃を生み出す。

 同時に起爆した手榴弾の爆炎を螺旋の渦に乗せ────逃げた敵へと追撃する。


「……!?ギャアァァァァァァ!!!!」


 爆炎に飲み込まれたテロリストの断末魔。

 身体に纏わりつく炎を払おうとしたが、熱さに耐え切れず、その場に(くずお)れた。

 ……何とか間に合ったな。

 紅い瞳のまま振り返る俺。


────良かった、二人とも無事────


「……グッ!?」


 締め付けるような激痛が神経を駆け巡り、堪らずその場に膝を着いてしまう。


「「フォルテッ!!」」


 駆け寄る二人の姿。

 俺はそれに応えるどころか、呼吸すら覚束ない。

 魔眼の副作用。

 数年ぶりに乱用したせいで力の加減を誤ったらしい。

 無意識に二十……いや、三十は超えていたかもしれない……

 激痛と息苦しさで霞む視界の中。

 ブラックアウト寸前で見たものは二人の無事な姿と、その顔に映る酷く取り乱した表情だけだった。


いつも読んでくださり有難う御座います。

こうして私が執筆できるのも、読んでくださる読者様があってこそです。

今後とも呼んでいただけると幸いです。

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