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「すごい眠そうですねー、センパイ?」


 大学のカフェスペースでうだうだしていると、あゆみちゃんが心配そうに顔を覗きこんできた。

 仕草がいちいち可愛い、種付けしたい。


「嫌な夢を見た。全く寝た気がしねえ」

「嫌な夢ですかー、センパイ悪夢率高いですよねー」


 最近はそうでもなかったんだけどなー。


「そういえばLINKで願いが叶うっていう噂を知ってますか?」

「知ってる知ってる、宝くじの1等と前後賞が当たる噂だろ?」

「違いますよー、そんな欲にまみれた願いは拒否されるみたいですよ?」


 どうやら社長と山田さんの願いは門前払いらしい。


「なんか自力では解決出来ない真摯な願いだけ叶えてくれるみたいです」

「つーか俺LINKで願いを送ると叶えてくれるって事しか知らないな、ちょっと詳細教えてほしい」


 あゆみちゃんに噂の詳細を聞くと――


 1.インターネットで流れている色違いのQRコードをLINKで読み込むと、アトラク=ナクアという名前のアカウントが表示される。


 2.友達登録をした後に願いを送る。

 ただし、自力では解決出来ない真摯な願いしか届かない。


 3.メッセージが届いた場合、-誰?-と返ってくる。


 4.自分の本名を正確に書いて送る。


 5.あなたの守護霊が現れ、願いを叶える為に導いてくれる。


 と、教えてくれた。


「んー、これ怪談じゃね?」

「そうですかー?怪談ってもっとこう、〜しないと死ぬーとか、そんな感じじゃないですか?」


 まぁ、確かに。

 そこまで怪談に詳しくないからよくわからんけど。


「そういえばセンパイ、この噂を誰から聞いたか覚えてますか?」

「覚えてるもなにも、昨日バイト先の社員から聞いたばっかだ」


 ほんの一部だけだけどな。


「私、誰から聞いたか覚えてないんですよねー」

「忘れてるだけじゃねーの?」

「私以外にもそーゆー人が結構いるみたいなんですよねー、いつのまにか知ってた、みたいな」


 もう年の瀬だしみんな疲れているのだろう。


「まぁいいです、ところでセンパイ?今からセンパイとアトラク=ナクアさんをやってみよっかなーって思いましてー」

「こっくりさんかよ」


 俺のぼやきを無視してあゆみちゃんはQRコードを送りつけてきた。


「なにこの真っ赤なQRコード」

「願いを叶えてくれる幸せのQRコードです♪」


 呪いのQRコードの間違いだろ。


「とりあえず友達登録して願いを送ってみませんか?」

「あんまり気乗りしねーなー」


 と、言いつつLINKにQRコードを読み込ませると――


 アトラク=ナクア

 自分自身を追加することはできません。


 と、表示された。


「俺やんけ」

「アトラク=ナクアはセンパイだったんですかー、じゃあLINK越しじゃなくて今すぐ私の願いを叶えてください♪」


 いやいや待て待て。

 気付かないふりをしていた嫌な予感が急速に膨れ上がっていく。


「あゆみちゃんの悪戯?」

「そんな事しませんよー、私のスマホでQRコード出してやってみます?」


 結果は同じ、嫌な予感がストップ高。


「センパイのLINK壊れてるんじゃないですか?」

「そんなことってあるかー?」

「私は追加できましたよ?」


 見せてもらうと確かに追加されていた。

 名前以外の様々な部分が初期設定のままで捨てアカ感が酷い。


「とりあえず、なにか願いを送ってみますか?」

「いや、やめとこ?それよりなんか食べに行かない?奢るから」

「そうですかー、まぁ私には真摯な願いとかないんで良いですけど♪」


 わーいセンパイの奢りだー、とニコニコしてるあゆみちゃん。

 このまま持ち帰りできる可能性はどのくらいあるんかな、と現実逃避をしていると――


『なんか京介の後輩だって言う女子高生が、お前んち聞いてきたから教えといた。感謝しろよ?』


 友人からありがた迷惑なメッセージが届いた。

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