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悪戯
「今日も一日お疲れさんっと」
夜から朝まで休憩無しのブラックバイト。
何度か辞めようと思ったけど、会社のゾンビと化している山田さんの顔を思い出すと、それも躊躇われる。
「まぁ、山田さんが過労死しようがなにしようが、俺には関係ないんだけどね」
あーだこーだと考えてるうちに家に着き一服。
シャワーを浴びて歯を磨き、窓から見えるサラリーマンに向かっておやすみなさいと念じた途端
『私の姉さんを返してください』
それはきた。
LINKの連絡先に追加されていないアカウントからのメッセージ。
『どちら様ですか?』と、期待せずに確認のメッセージを送ると、すぐに『川端恵です』と返ってきた。
「悪戯かよ」
幽霊はなんの反応もしない。
考えるだけ無駄だ、俺のQRコードはネットの至る所に晒されている。
どうせ単なる悪戯だろう。
「寝るか」
その日、俺は久しぶりに悪夢を見た。