後輩
村上京介、20歳の大学生。
ちょっと前まで夢を追ってたけど、なんやかんやで挫折。
以来、大学に通いながらバイトと女遊びを繰り返す毎日。
これぞ青春、ビバ自堕落。
「さて、どうすっかなー」
あの後、ずぶ濡れになった俺は着替える為に一度帰宅して、愚痴られ好きの後輩を別のファミレスに呼び出した。
「また浮気バレちゃったんですかー、センパイ?」
くりくりした大きな瞳を輝かせながら笑う後輩。
名前は佐倉あゆみ、年は俺の一つ下の19歳。
見た目はギャルで小さくて細いのに胸はある。
正直ヤリたい、噛み潰されたストローの代わりに今すぐ俺のを吸ってほしい。
「浮気じゃねーよ。ちょっと遊んでただけで、ちょっと先っぽがずっぷり入っちゃっただけだから」
「あはー、それは仕方ありませんねー」
流石ギャル、話が分かる。
「だろ?いつも話を聞いてくれるあゆみちゃんならわかってくれると思ってた」
「いえ、性病センパイのヤンチャな下半身の話ではなくて、彼女さんが怒るのも仕方ありませんって事です。あ、もう元カノさんですねー」
全然わかってくれてなかった。
「つーか性病じゃねーから、性病なった事ねーから」
「ほんとですかー?」
嘘だ、何回かある。
清純そうな顔をして、股間にウィルスを仕込んでる女なんてごまんといる。
俺はそんな生物兵器達の被害者だ。
「それでなにがどうすっかなー、なんですか?もしかして元カノさんと寄りを戻したいっていう話ですか?」
「それはない」
「相変わらずサイテーですねー♪」
「俺これでもフラれた側なんだけど?」
「10回目の浮気も許してくれようとしてた元カノさんの神経を逆撫でした人がなに言ってるんですかー」
ごもっとも。
「それでなにがどうすっかなー、なんですか?」
「いや、このままこんな事を繰り返していて良いのかってふと思っただけ」
「気付くの遅すぎじゃないですかー?でもえらいえらい、よちよちしてあげまちゅねー」
小さな手をこちらに伸ばしてくるあゆみちゃん。
「だからあゆみちゃんで最後にしたいなって」
「いえ、私好きな人いるんで」
そのままデコピンされた、痛きもちい。
「ずっとそう言って断られてるけど、いつになったら好きな人に告るの?」
「こう見えても私は慎重派なんですよー♪」
ド派手なあゆみちゃんだけど、その行動は案外地味だ。
意外と家事も得意らしい、種付けしたい。
「そういえばセンパイ、もう例の幽霊は見えなくなったんですか?」
「あー、あれやっぱ気のせいだったわ。心配かけてごめんな?」
そういえばそんな話をしていた事もあった。
あれはまずかった、あゆみちゃんからしてみれば、頭のおかしな人にしか見えなかっただろう。
「気のせいですかー、とてもそうは思えなかったんですけどねー」
「頭の病気みたいなもんだったんだろうね」
ある日を境に、俺は1人の幽霊が見えるようになった。
「きっと頭の打ち所が悪かったんですねー。もう病院には通ってないんでしたっけ?」
「通ってないよ。つーか最後の日にあゆみちゃんついてきてたよ?」
「あはー、そうでしたっけ♪」
「そーなんですっと、もうこんな時間かー」
「じゃあそろそろ帰りますかー。送ってってください、センパイ♪」
「あれ?フラれた俺に胸貸してくれるんじゃ?」
「がっつく男は気持ち悪いですよ、センパイ♪」
そしてそれは今も続いている。