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4話

歓迎の宴は楽しかった。

ドラゴン族の人達は人間の姿にもなれるらしく、

人間の姿で宴をしてくれた。

戦う時以外にドラゴンサイズになる事って基本的にないんだって。

食料とか領土の防衛の関係とか言ってたけど。

色々と都合があるんだろうな。


料理は肉一色で正直見ているだけで胸焼けしそうな感じだったけど、

食べてみてびっくり。

肉なのにアッサリして後味に香草の爽やかさが広がるような料理があったり、

味や食感は肉なのに、風味は完全に野菜な奇抜な料理があったりして、

飽きなかった。

グーンさん曰く、

「肉食な我々だからこそ肉を世界で一番旨く調理してみせよう」

だって。

ずっと焼肉だけだと飽きるもんな、分かるわー。


グーンのおっちゃんは凄く気さくで親しみ易かった。

人間の姿がいかにもおっちゃんだったからついおっちゃんっていっちゃったけど、

笑って流してくれた。

酒の力ってこわっ!

飲み物が酒しかないって問題だよなー。

ただ久しぶりに自分が笑っていることに驚いた。



ただそれ以降、正直よく覚えていない。

今は頭がガンガン痛い・・・あと気持ち悪い・・・。

完全に飲みすぎた・・・。

とりあえずベッドで寝てるから、泊めてもらったんだろうとは思うけど・・・。


何で全裸なんだ俺は?

全く覚えていない。

なんかやらかした・・・?

そんな事を考えていると、隣でモゾモゾ何かが動きだした。

・・・マジ?

慌てて自分の布団を捲り全身を確認すると、確かに夜にあったであろう行為が分かる体液が乾いてシーツがガビガビになっていた。


「なんてこった・・・」


意識が無いうちにDTを卒業してしまった絶望感と、

自分がしてしまったであろう行為の結末を考えると頭が更に痛くなってくる。

そんな事を考えていたら、視線を感じた。


「・・・責任」


声の主は布団を頭から被り、目だけを出しながらそう呟いた。


「えぇっと・・・」


「・・・責任とって」


「・・・はい」


「・・・ん」


そう言うと、嬉しそうに布団に潜ったまま俺と対面になる様に抱きついてきた。

何も身についていないのだろう、

柔らかいモノが形を変えて押し付けられているのが良く分かる。


そ、それにしても、器用な動きするなこの子。

名前も知らないんだけど・・・。

ちょっとステータス鑑定してみようかな。


名前:ファル

年齢:150

身長:9999

体重:9999

スリーサイズ:9999

種族:ドラゴン

職業:村長の娘

レベル:54

HP:5400

MP:3240

STR:3780

VIT:5400

DEX:3780

AGI:5400

INT:5400


スキル

飛行

ブレス(火炎)

HP常時回復Lv10

MP常時回復Lv10



称号

ドラゴンを統べる者


次>>


村長の娘!?

ち、ちょっと待て!!

手を出してはいけない相手に手をだしてしまったんじゃないのか!?

・・・ただ今更気付いても何もかも手遅れだけどさ!!

ああ、頭痛が痛い・・・。


・・・あーそういば、

身長やら体重やらがカンストしているのは、体型が変わるからなのかなー?ハハッ!

これなら抱きしめても大丈夫かなー?ハハッ!

色々ヤッちゃってるから大丈夫か!ハハッ!

もうヤケクソだよチクショウ!はぁ・・・




「・・・なんで布団取らないの?」


「・・・恥ずかしい」


結局色々密着してるから変わんないと思うんだけどな・・・。

それにしてもなんでこんなに好意をよせられるんだろうな?

という事は、同意の上だよな・・・?

そうだよな!?

最低でもそうであって欲しい・・・。


その後ファルのスキンシップが激しくなり、頬ずりをし始めると、

布団がずれて顔が見えた。


息を呑む美人って彼女の事を言うんだろうな・・・。

色白で整った顔付き、燃える様な赤い髪のロングで、

パッチリ二重で睫毛が長く瞳の色も赤だった。

・・・色素薄いっすね、かなり薄いピンクか。


ホントに俺でいいの・・・?

真っ先に思い浮かんだのがその言葉だった。


まぁどんな事を考えても身体は素直だね。

ある場所の変化に気付いたファルが上目遣いで顔を赤くしながら、

「・・・したいの?」とかいうから何かがプツーンと切れた。


*****


ファルは隣で幸せそうな顔で寝ている。


「・・・はぁ」

コレが賢者モードか・・・。

最高に気持ちよかったけどさ!

もう酒の勢いとかいい訳も出来なくなったぞ・・・。

やっぱりグーンのおっちゃんにぶん殴られるのかなぁ・・・。



その後、目を覚ましたファルとちゃんと自己紹介をした後、

グーンのおっちゃんの所に連れて行かれることになった。

ですよねー!行きたくねー!!二日酔い?そんなの気にしてる場合じゃないっての!


俺の腕に抱きついてグーンのおっちゃんの部屋の前まで連れてこられる。

気持ちいいし、やわらかいのはいいんだけど、

この後に起こる事を考えると、何も言えないっての!


コンコンコン

「誰だ」


「私」


「入れ」


ガシッと抱きつかれているので逃げる事など出来るわけがない。

いや全力で振りほどけば出来なくはないけど・・・。

そこまでクズでありたくない。

覚悟を決めるか・・・。


部屋に入って何を話そうか迷っていると、

ファルが離し始めた。


「父さん、この人を夫にする」


「うむ、そうか」


あ、俺の選択肢ってないんだ。

てか、夫!?

いやいやいや!その前に軽すぎないか!?

肝心な時に口の中がカラカラで言葉が出てこない・・・!


「ハッハッハ!これでドラゴン族も安泰だな!

・・・くれぐれも娘を裏切る事の無いようにな」


後半だけ明らかに殺気を込めた目で俺を見てたよな。

ソンナコトシマセンヨ・・・。


「・・・迷惑な雌なんて私が殺すから問題ない」


あ、はい。

嫁の愛が重い・・・。

大丈夫か?俺・・・。

Nice boatみたいな展開にならないよな!?


*****


そんな訳で無事?ドラゴン族の協力を得る事が出来たので、

帰ろうと思ったけど、俺って結局厄介払いされただけなんだよな。

だったら別に帰らなくてもよくね?

なんて思ったけど、また誰かが送り込まれてくるのもダルイので、

とりあえず建前だけでも報告してくるかなー。


とりあえず一旦報告しに戻ることをグーンに伝えて了承を貰っておいた。

・・・だが同じのりでファルにその事を話したら、大変な修羅場になった。


「一旦魔王城に帰るよ、また戻ってくるからさ」


「・・・捨てるの?」


「へっ!?」


「もう、飽きたの?」


「い、いやそういう訳じゃないんだけど・・・」


「・・・じゃあ私とえっちなことしよう?」


「ちょ!?いやいや!ちょっと落ち着こうか!?」


「・・・私は凄く落ち着いてる」


「そ、そうか・・・」


「・・・・・」


「・・・・・」


「一緒にくるか?」


「うん」


そういうと嬉しそうに抱きついた。


「(選択肢間違えると本気で死亡フラグが立ちそうだな・・・)」

そう思いながらファルが満足するまで頭を撫で続けた。


結局もう一度グーンにファルも連れて行くと伝え、出発する事になった。




さて、どうするかな。

来る時は遠慮なしの全力ダッシュだったけど、今はファルもいるしな。

あれから片時も俺の腕に抱きついたまま放さないし・・・。

アレしかないか・・・。

ヒョイッとファルをお姫様抱っこする。

唐突な事に一瞬ポカンとしてたファルだが、顔が一気に赤くなる。


「・・・っ」


「ちょっとスピード出すから辛くなったら言ってくれよ?」


「・・・(コクコク)」


同意を得られたので、ファルに負担がかからない様に加減してスピードをだしていった。

魔王城につくまで、ファルから恍惚とした視線をずっと向けられたまま。


魔王城に到着すると、スカウトマンが出迎えてくれた。

「まさか本当に・・・」とか呟いていたけど、まあ分かってたっての。

それから魔王さんにも謁見して、協力を得られた事を話し、

そのままドラゴンの村にいる旨を話した。

話を聞いた魔王さんは少し考えると、

ドラゴン外交員に任命してくれた。

用事がある時は誰かを寄越すので、協力しろとの事。

どうも人類サイドが一大攻勢にでる動きがあるらしい。


当初は助手として魔族の女も付けるという話だったが、

ファルが俺にしか聞こえない位の声で、

ボソボソと「事故で死んじゃったらしょうがないよね・・ふふふ」なんていうもんだから、

固辞しておいた。

「・・・断らなくてもいいのに」なんて言われても、な。


・・・暗殺はやめようぜ・・・。


それからとんぼ返りのようにドラゴンの村への帰路へついた。

勿論ファルはお姫様抱っこである。

本人もかなり気に入っている様なので、まあいいんじゃないかな。


ドラゴンの村に帰ってくると、俺とファルの家が用意されていた。

準備良すぎじゃね・・・?

ベッドは当然の様にキングサイズのダブルなのは分かる。

だが、何故かベビーベッドまであるのはなんでだぜ・・・?

そこでポッと頬を赤くしないで、何とかいってくださいよファルさん!!





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