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3話

それから転送魔法でも取って魔王城に戻ろうか真剣に考えだした頃に、

物々しい一団が出てきた。


誰かが護衛に囲まれているけど・・・。

ステータス鑑定したらやっぱり囲まれているのが勇者だった・・・。

重武装だろういくらなんでも。

・・・まぁ行くしかないな、

様子を伺って勇者一人になった所で話しかけるしかないな。

そう思うと見つからない様に勇者一団の後を追った。


暫く様子を伺っていたが、勇者なんもしてなくない?

護衛に囲まれて突っ立てるだけだぞ・・・?

よくゲームであるパーティーでも組んでのレベリングしてるのか・・・?

ちょっとステータス見てみるか。


名前:トーリ・チーキン

年齢:14

身長:140

体重:70

種族:人間

職業:神託の勇者

レベル:15

HP:190

MP:70

STR:60

VIT:60

DEX:60

AGI:4

INT:35


スキル

剣術マスタリティーLv9

回復魔法Lv5

聖剣装備


称号

無し

次>>


名前が完全チキン野郎じゃんよ・・・。

体型はまあ鳥じゃなくてアレだけどなぁ・・・。

ステータスも特徴無いな、

ただ素早さなんであんなに低いんだ?

やっぱり体型も関係してるのか・・・?

スキルもLvがあるものと無いものがあるけど、

レベル表記が無いのは固有スキルみたいだな。


あれ位で勇者なのか・・・。

正直魔王城のメイドさんの方が強くないか?

人間弱すぎないか!?

大丈夫か・・・?

ま、まぁ話してみるか。


結局日がある内は護衛の人々達に守られ近づく隙が無かったが、

外で野営をする様なので、まだチャンスはある!・・・ハズ。


*****


ふぁぁ~ねむい・・・。

眠い。

テントの明かりが消えて無いからまだ勇者は起きてると思うが・・・?

ソロソロ適当な木を木っ端微塵にして寝ようかなと思った矢先、

勇者だけがテントから出てきた。

このチャンスを逃す手はない!

とりあえず、迷った冒険者を装ってみよう。

まずは勇者がどんな奴か知らないとな。



勇者の背後へ回り込むと驚かせない様に声をかけた。

「あのーすみませんー」

「うわあああああああ!!誰か!誰か!!」

ちょ!!声掛けただけでビビリ過ぎでしょ!?

ワラワラと護衛の方々が集まってくる。


「貴様!手配中の凶悪殺人鬼のミタか!?」

「殺せ!莫大な懸賞金が出るぞ!」

「勇者様を援護しろ!!」

ヤバイ最悪のパターンだ・・・。

「ま、待ってくれ!俺に敵意は無い!」

「惑わされるな!所詮外道の戯言だ!!耳を貸すな!」

そういって護衛の連中が武器を構えにじり寄ってくる。

「やめろ!死にたいのか!?俺は強いぞ!」

駄目もとで精一杯のハッタリをしてみる。

「ハハハ!馬鹿め!こちらには勇者様がいるのだぞ?」

「う、うむ!外道め覚悟するがいい!」

お前は後ろから声をかけただけで尋常じゃないビビリかたしただろうが!!


駄目だこいつ等には話が通じない・・・。

隙を見つけて逃げるしかない!早く!早く逃げないと!

また望まない虐殺が始まってしまう・・・!

「死ね!」

そう言って遠距離から矢を放つ奴が引き金だったみたいだ・・・。


殺戮が始まってからは、

目は瞑っているが、手が勝手に動いてるから耳を塞ぐ事は出来ない。

だから嫌でも断末魔の叫びが聞こえてくる。

更に手に伝わってくるとても嫌な感触もどうにも出来ない。


「ヒッ!!ば、ばけもの・・・」

「何故人間なのに人間の敵になった!この外道・・・」

「嫌・・・嫌・・・誰か助けて・・・」

「し、死にたくな・・・」

「ぎゃあああああ」



少し経つと何も聞こえなくなったから目を開ける。

血の海と死体しかなかった。

「結局、こうなるのかよ・・・はは」



ああ、俺はとっくに人間やめさせられてたんだな・・・。

ちっぽけなプライドさえ打ち砕かれるのか・・・。

もう・・・どうでもいいか。

・・・俺、もう疲れたよ。


血の海に淡い光を放つ神々しい剣が落ちていた。


ああコレが聖剣か、世界最強とかなんだろうな。

コレを喉に突き刺せば俺でも死ぬかな。

おぼつかない足取りで聖剣を拾うと、自分の喉に突きたてた。


パキン


喉に突き刺そうとしたら粉々に粉砕しやがった。

プラスチック定規で強く押された位の感覚しかなった。


はは・・・自殺さえ出来ないってか・・・。


<<称号を獲得しました>>


今までは逃げる事に必死で、こんなアナウンスがあった事すら気にとめて無かったな。

どうせ碌でもない称号に決まってる。

くだらないと思いつつステータスを開く。


称号

転生者

鬼畜

外道

悪逆非道

脱獄者

大量殺人鬼

世界に混沌をもたらす者

人類の敵

人類の希望を絶つ者(NEW)

聖剣ブレイカー(NEW)

イレギュラー(NEW)


新しく3つ追加されていた。

もう・・・俺にどうしろっていうんだよ!!!

もう十分だろ!!



それから転送魔法を取ると、魔王城へ帰った。

他に帰る所ある?

あるはずが無い。


スカウトマンが驚いてたけどどうでもいい。

魔王さんにも絶賛してくれた。

功績を上げたから、今空きがある参謀?とかいう幹部にしてくれるってさ。

それがどうしたって感じだ。

とにかく風呂と飯を要求したら、すぐに準備してくれた。


風呂なんて立ってるだけで美人のお姉さん達が全身くまなく洗ってくれた。

嬉しい筈なのに、何にも感じなかった。

飯もあんなに美味しかった筈なのに、何の味もしなかった。

スカウトマンが気を使ってくれたのか、「お口にあいませんか?」

なんて聞いてくれたけど、適当に返事しといた。



今はとにかく眠りたい。

疲れた。

本当に疲れた。

もう明日、目が覚めなくてもいいよ。

それか、今までが全て悪夢で、

何時もの自分の汚い部屋の狭いベッドで目をさましたいよ・・・

全部無かった事にしてくれよ・・・。


・・・・おやすみ。


*****


目が覚めたけど、夢でもなけりゃ、くたばってもいやしない。

俺は暫くベッドに入ったままだった。

メイドさんやスカウトマンが声を掛けてきたけど、

眠いからって適当にあしらった。


放って置いてくれ。

このまま餓死でもしないかな。



何日位そのままだったんだろう。

結局腹は減るけど死ななかった。

ただ何も食べたくも無かった。

どれ位そうしていただろう、

スカウトマンがすまなそうに仕事を依頼してきた。

早い話が功績を挙げないならクビらしい。


参謀らしい仕事という事で、

魔王軍に協力的ではない種族の勧誘をしてきて欲しいらしい。


しかしよりによってドラゴンねぇ・・・。

普通なら殺されて終わりだよなぁ。

だってドラゴンだよ?

強いに決まってるじゃん?

厄介払いですかね?

別にいいけどさ。

もし殺されるならそれでも・・・。



結局地図を一枚と食料を貰って魔王城を早々に追い出された。

分かり易い地図で良かった。

早く終わらせようと思って、

全力で走って目的地に向かってみたらあっという間に着いた。

音が遅れて聞こえたから音速は超えたのかな?

地面が抉れているけど、知った事か。

早く着いてよかった。



地図に記しがある場所に到着すると、

いかにも入り口を護っている人?がいたので声を掛けてみた。


「あのーすみませんー」

「誰だ貴様は?」

「魔王さんの伝言を届けにきました」

「久しぶりだな、付いて来い」

話は通っているみたいで何処かへ案内してくれる様だ。


「入れ」

暫く行くとひたすら大きいコロシアムの様な所へ案内された。

・・・何故コロシアム?

待合室の様な簡素な部屋に案内されると、ここ暫く待って欲しいとの事だった。



暫くすると準備が出来たとの事で、武具を選んでくださいと言われた。

もの凄く嫌な予感がするんですけど。

何もいらないですって言ったら、

可哀想な人を見る目で「そうですか」と言われた。

色々聞きたかったけど、

間髪入れずに準備が出来た場所に連れて行かれた。

薄暗い通路を抜けた先は大きく開けた場所だった。

コロシアムの中心部だね、うん。


「ではご健闘を」

そう言うと案内してくれた人が足早に去っていった。


まあそうだろうね、巨大なドラゴンいるし。

倒すの?このドラゴン。

迷っているとドラゴンが喋った。


「・・・何を躊躇している?早くかかってこい」

「ちょっと聞いてもいいですか?」

「何だ」

「何で戦うんですか?」

「我々は力こそ全て!魔王軍に組み入れたいなら我を倒してみよ!」

なるほどー、話し合い(物理)だったかー。

本当に厄介払いだったな。


「貴様がこないならこちらから行くぞ!」

「あ、ちょっとまった!」

慌てて言うが間に合う筈も無くドラゴンは鋭い爪を振り下ろしてきた。


「・・・っ」

オートカウンターで迎撃するが、一撃で倒す事は出来なかった。

「やりおる!!」

そう言うとドラゴンは翼をはためかせると空高く舞い上がった。

「凄く頑丈なんだな」

なんだかそれだけで凄く嬉しかった。

自分と普通に接する事がしれない希望が見えた気がして。

そんな事を思っているとドラゴンが大きく息を吸い込み激しい火のブレスを吐き出した。


相手空中+遠距離だけどカウンター出来るのか?

なんて事を悠長な事を考えていたら体が勝手に動き出す。

「はいはい杞憂杞憂」

ドラゴンの位置までジャンプすると、

ブレスを器用に回避し頭へ踵落としをヒットさせた。

物凄い轟音を立てて地面に激突したドラゴンを尻目に着地した。

「あぁ・・・また」

そんな事を思っていると粉塵の向こうから声が聞こえてきた。

「貴様は一体“何だ”?」

「人間・・・の筈ですけど・・・」

「馬鹿な!矮小な人間如きに我が敗れるというのか・・・!」

粉塵が晴れると、頭の鱗が剥げ落ち、おびただしい血が流れ出し、

その血で片目が見えなくなっている様だ。

誰がどう見ても満身創痍なドラゴンがそこにいた。

「あの、回復しましょうか・・・?」

「くっ・・・」

崩れ落ちる様に倒れてしまったので、慌てて回復魔法をかけた。

そういえばドラゴンのステータス見てないな、後で見てみようかな。


『メガヒール』


凄い勢いで剥げ落ちた鱗が逆再生の様に治っていく。

「これで大丈夫だよな・・・?」

気絶しているのか起きる気配はない。

この間にステータスでもみてるか。



名前:グーン

年齢:2900

身長:9999

体重:9999

種族:ドラゴン

職業:村長

レベル:89(MAX)

HP:9999/8900

MP:5340

STR:6230

VIT:8900

DEX:6230

AGI:8900

INT:8900


スキル

格闘マスタリティLv89

ブレス(火炎)

飛行


称号

ドラゴンを統べし者


次>>



おお!!

確かに並みの存在なら手も足も出ないんだろうな。

そんな事を考えていたらグーンさんが目を覚ました。


「ぐっ・・む?」

「大丈夫ですか?とりあえず回復しておきましたけど」

「回復魔法まで?お主は一体何者だ?」

「ただの魔王さんからのメッセンジャーボーイですよ」

「・・・ふむ」

何かを考えこむグーン。

「魔王さんに協力して欲しいだけなんですけど・・・」

「分かった。ただ条件が2つある」

「はぁ」

「“魔王”に協力するのではなく、“お主”に協力しよう」

「えっ」

「当然であろう?死合いに勝ったのはお主であって魔王ではない」

まあいいか。

厄介払いされた様なもんだし、こんな感じでいいんじゃね?

「お主名はなんという?」

「リョウです」

「ふむ、我はグーンよろしく頼むぞ」

「はい、ところでもう1つの条件は何でしょう?」

「うむ、それは宴の後でもよいか?我に勝った客人を持て成したいのでな」

そう言うと一度咆哮する。

足早に先程案内してくれた人が戻ってくる。

「ご案内します。こちらへどうぞ」

案内してくれるようだ。

正直ワクワクしてた俺は黙って後を追った。

体はデカイけど、

やっと気を使わずに接する相手が出来そうなんだよ!?



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