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神様になったら  作者: 山わさび
1/1

第0話 この世界



50年前



「今日で14人の神様が引退することになりました。」

空に浮かんだ巨大なスクリーンには欠伸をして眠そうな男の顔が写し出されていた。

巨大スクリーンは世界各地に現れて人類に驚き、恐怖、疑問、好奇心など様々な感情を生み出した。

世界中の人々の戸惑いなどおかまいなしに男は次の言葉を発した。

「なので空いた14の枠を人間から選ぶことにしました。ちなみに私もかみのひとりです。」

そしてスクリーンに映る男は続けてけだるそうに、

「さぁ人間の皆さん、ポイントを貯めて神様になりましょう。」

棒読みでそう言った。

男は何か言い忘れたのか、

「そうそう。いろいろな説明は14人の神がそっちの世界に行ったらすることにします。」

世界に疑問だけを残して巨大スクリーンは消えていき、雲ひとつない青空がただただ澄み渡っていた。



1



「それではそっそく自己紹介を始めてください。」

高校に入って初めてのLHR。

俺は深瀬 白。人見知りが激しく無口な方だと思う。あと性格が悪いと自分でも思う。

俺が入ったこの天神高校は少し変わっている。

だからここにくる人達は変な人が多いと聞くから少し不安がある。

「では、安土くんから。」

お約束と言っていい自己紹介からLHRが始まった。

「俺は安土健吾、てめーらとは格が違う神に最も近い人間だ。ひれ伏せ、そして敬え。ぐはははっ。」

さっそく変なの出てきた。

「もう俺、完璧すぎるわ。何をやっても超〜一流。もう俺神だわ。机の前に賽銭箱置くから拝んでいいぜ。あっ、でもお前ら金なさそうだから賽銭できないか。しかたないからタダで拝んでいいぜ。」

どうだと言わんばかりに白い歯を覗かせわらっていた。

うわぁー

性格クソだなー。こんな人とは関わらないようにしよっと。

そんなことを心に誓っていると、さっきの安土の発言に腹を立てた奴らが声をあらげながら、

「てめーなにが神だ。あーそうですかそうですか。それじゃータダで拝むのも悪いんで賽銭でもしようかなー。」

「君みたいな貧乏人に賽銭する金あるのなー。」

安土が皮肉たっぷりにいうと、

「俺がやるのは金じゃねー。俺の拳だーーー、」

バコーーーーン


安土が飛んだ。


「ひゃっはー、やれやれ。」

「もっと、もっと血をみせてくれっ。」

「おいおいやめろって。こいつを殺すのは俺の役目だぞ。」

凄い。罵詈雑言を言う奴らも凄いが短期間でここまで嫌われる安土も凄いと思う。

「わっ分かったから止めてくれ。お前たちキリスト教だったんだな。」

そこじゃないだろ。

こいつ馬鹿だな。大馬鹿だな。よく高校に入れたなと思ったけど、そういえばこの学校は出願したら全員入れるんだった。変なの。

この発言によりさらにボコボコにされ顔が2倍になっている。

てか先生はやく止めろよ。

クラスがプチ戦場になっていると、隣の席の奴がトントンと肩を叩いてきた。

「やっぱり凄いねこの学校は。あっ、自己紹介を忘れてたね。僕は矢田 真昼。きみは、」

「えーと、おっ俺は深瀬 白。あーよっよろしく。」

いかんいかん お得意の人見知りスキルが発動してしまった。

中学みたいな暗黒生活を送らないようにちゃんとしないと。

しかしこの学校にもまともそうな奴がいるんだな。

「いやーほんとに凄いね。この乱闘に参加してないの僕らぐらいだよ。」

矢田とすこし話している間に、乱闘はクラス全体に伝染し、

「もう我慢なんねー。1回でいいから殺させろやー、」

「ちょっとあんた達やめなさいよね。あっ痛、誰ですか弥生土器をなげたのは。」

「お前卑怯だぞ、広辞苑だなんて。その角で殴られたら死ぬぞ。」

ガチ戦場になりかけている。

だから先生止めろよ。

なんでこんなに血の気が盛んなんだよ。広辞苑で殴られた奴白目むいて泡吹いてるぞ。

「さすがにこの高校はあれを目指している人たちだからアクティビティーだねー。」

矢田が呑気に言った。

こんな時に呑気だとか矢田も変かもしれない。

俺が矢田を変な人リストに入れようかどうかまよっていると、先生がやっと重い体を動かし、その小さい声で荒れに荒れたクラスをたったの一言で鎮めた。

「皆さん神様ポイントを掛けて戦ったらどうですか。」



2



「ねぇー白くんはどうしてこの学校にきたの?」

矢田が俺の顔を覗き込むようにのんきに言ってきた。

今俺たちはグラウンドに移動している。

相変わらず安土中心に揉めており、争いが続いている。

あの先生の発言の後、クラスは沈黙に襲われたが、先生がジャージに着替えてグラウンドに来いと言ってしばらくしてから俺らは沈黙から解放された。

「おーい、返事くれよー白くん。」

矢田が間抜けに喋っていると、そのうしろから、

「イライライライラあーうるさいうるさい少しは黙れよ、イライライライラ....」

明らかにイラついている女の人の声がした。

フレンドリーなのかただ単にバカなのかそのイラついている女の人に矢田が、

「ヤー初めまして僕は矢田 真昼、君の名前は。」

「はぁーー?何が君の名前は?だよ。爽やか青年のつもり?気持ちわりー顔してるくせに私に話しかけないでくれる。てか整形したら。あっでも今の技術じゃどうにも何ないかーその小5男子の靴下みたいな顔は。」

うわーすごい口が悪いよー、怖いなー怖いなー。

初対面にここまで言われたらのんきな矢田もさすがに嫌な顔するんじゃないんだろうか。

「いやーそうですか、整形は将来の技術に期待しますよ。がははは。」

矢田すげーな。

こういう奴が社会で上手くいきていくのかなー。

女の人は矢田の予想外の反応にますます腹を立て、ギロッと矢田の横にいた俺を見て、

「何あんた。うわ、うわうわーきもっ。映画に出てきたら最初に死にそうな冴えない顔してるわねー。おでんの具材にされれば。」

悪口はいまいちよくわからないけど、結構ダメージくるなー。

「すみませんこんな顔で。」

そんなに冴えないかな俺の顔。

女の人は俺や矢田、安土らがいるところを見渡しため息をついた。

「はーーあれでも「神様」を目指してるの? この「神様育成カリキュラム」がある学校に来ているのにギャーギャーうるさいしブサイクだしブサイクだし、ここの人神様になるきあるの?」」

確かに神様を目指しているのに緊張感がなさすぎたかもしれない。


この学校は50年前に起きた「神の奇跡」により14人の人間が神になることができるようになった事がきっかけでできた。

背中に刻まれている数字を10000にすると神になれる。その数字を神様ポイントと言った。

その神様ポイントを稼ぐ、または神様ポイントを稼ぐ方法を学ぶ為に20年前にできたのがこの天神高校だ。


まーなんと言うか胡散臭い学校だけど (その学校にはいっているんだけど) 女の人が言うようにちょっと、いやかなり真剣に神様を目指してるようにみえない。

「そうかな〜。みんな本当の自分を隠すためにあんなに騒いでいるんじゃないのかな〜。」

矢田がわざとらしいぐらい意味深なことをいって女の人がそれにチクチクいっている間にグラウンドに到着した。

「皆さんジャージに着替えましたね。それでは今からやることについて説明します。」

グラウンドには先生がすでにたっていた。

これからの事について先生が説明しようとしていると、

「あらーヤダヤダ矢田ですって。えーだじゃれなのーつまんねーんだよクソカス。」

「そうですか〜確かにあなたに比べたら何を言ってもつまらないものですよね〜。」

女の人と矢田が言い争っているし、

「俺は神様だ、神ったら神なんですよ。」

「黙れ、安土。おめーどうせポイント0なんだろーが。」

「そうだーそうだー。」

「安土城みたいに燃えちまえ。」

あっちでは安土with愉快な仲間達が争っていた。

こうやってクラスの奴らは全員争っているのかと思っていたがよく見てみるとそうじゃないらしい。

何人かの生徒は一人で周りを観察していおりまた、この争いごとをなんとかしようとあたふたしている者もいる。

「ちょっと聞いてるのこの半熟卵やろー。」

周りを見ていたら女の人が肩を掴んでにらんでいた。

あと半熟卵は悪口なのだろうか?

「私の名前は苗代 琴海。聞いてるの、こーとーみっ。わかる。あんたはなんて言うの。

「えーと、深瀬....」

と言おうとしたら、

「白でしょ、しーろー。あんたらの会話聞こえてたわよ。」

じゃあ聞くなよ、と言いたかったがおんなのーじゃなかった苗代に何を言われるかわからないからお口にチャックをした。

ここでさすがに見かねた先生が、

「皆さんお静かに。あるゲストの方がきています。」

ゲスト?

クラスの奴ら全員が頭の上に?を浮かべている横を、背の高い細身の男が気だるそうに歩いていった。

「あっあの人は!!」

「バッバカお前っ、人じゃないだろ。」

「そうだぞ。あのお方は14人の神様ナンバー3様だぞ。」

そう、今歩いて行ったのは神様ナンバー3。50年前空に浮かんだスクリーンに映っていた男、そしてこの学校の創立者でもある。

クラスの奴らが慌てふためく中、神様は気だるそうに、

「えーと、今から私を捕まえた人にはポイント50点もやります。ちなみにこれは1年生6クラス全員でやります。君達が騒いでいたせいで伝えるのが遅くなりましたが、ほかのクラスにはもう伝えてあります。」

ナンバー3は気だるそうにしながらあっと何かを思い出して

「そうそう、これは4人1チームです。私を捕まえるこのゲームは1時から始めるのでそれまでにメンバーをそろえてください。」

ここで話し手は変わり先生が、

「皆さん、何かあっては危険なのでこれから校舎にはあるのは禁止します。」

では、と言って先生はナンバー3にペコペコしながら、ナンバー3は気だるそうにしながら、その場を後にした。

グラウンドにはいっときの間があってから、

「うおーーーまじか、50点だってよ。」

「1点も稼げない人達がほとんどなのに。」

「この学校に来てよかったーー。」

喜びの叫びが響いた。

「おーい白、聞いたか今の。50点だってさっ。しかもナンバー3様を生でみられたよ、感動だー。」

矢田が感動に震えていると、

「なにがナンバー3よ。まぁでも50点はでかいはね。これで私の野望に近づける。」

苗代は不吉なことをいっていた。

野望ってなんだよこわいわ、絶対ろくでもないことだ。

だが苗代が言うように50点は大きい。

俺は神になってある事をやらなくてはいかないから絶対にこの50点を取らなければならない。

でもここで一つ問題がある。

このままだと矢田と苗代と同じチームになりすんげーめんどくさくなりそうだからだ。



3



神様ポイントは数字を増やしていくと様々な能力を手に入れることが出来る。


空を飛ぶもの

体から火を出すもの

人の心を読むもの


一人につき一つしか能力を持つことはできないがポイントを増やすにつれその能力の質は高まる。


このシステムいつ思い出しても中2くさくてやだ。

だけどこの能力はあったら便利だ。

なぜこの話をしたのかというと、メンバーに入れるなら能力=神化している人と組んだ方がナンバー3を捕まえる確率が高くなる。

ちなみに、神様ポイントを1ポイントでも持っていると、神化し能力を発動させる。

だから神化している人とチームになろうとしたわけだが、

グラウンドの片隅にて、

「白くんあと一人どうする〜。」

とのんきに矢田がいい、

「あんたら足ひっぱらないでよねこのサラダボール。」

相変わらず悪口なのかどうかわからないことを言う苗白。

そうです。同じチームになりました。

ちくしょー

断る勇気がなかった。

はぁーまぁ仕方ないか。もしかしたらこいつら神化してるかもしれないし。

「あのー一ついいですか?お二人は神化していますか。?」

と恐る恐る聞くと、

「はぁーなんであんたに言わないといけないの。神化してないわよどうせ0ポイントよ。わかった。」

結局言ってるし。

しかし、やっぱり神化している奴なんていないか。

すると矢田が、

「僕してるよ〜」

なんだと

この、のほほん印の矢田が神化しているだと。

これにはというかやはり苗白も信じられない様子で、

「はぁーあんたみたいなポンコツが神化?はっ、冗談はあんたの存在だけにしてくれる。」

「え〜本当だよ〜ほら。」

すると矢田はおもむろに服を脱ぎ出し、上半身ハダカになったその背中には、


00001


と刻まれていた。

「まさか本当に。」

「 嘘でしょこのポンコツが。」

俺と苗代は驚愕の事実に震えていると、近くにいた他の奴らも矢田の背中を見て、

「あいつ神化してるぞ。」

「おい君、僕と一緒のチームにならないかい。」

「いやいや、こんなすっとこどっこいより俺みたいなスーパースターとチームを組まないか。」

群がるように矢田に集まってきた。

しかし矢田は少し困ったように、

「お誘いは嬉しいですけど僕は白くんと琴美さんと同じチームですからごめんね〜。」

矢田よ別にあいつらと組んでいいぞ。

と思ったが、よくよく考えると矢田悪い奴じゃないし、チームになるには信用できるかもしれない。

しかしまだ引き下がらない奴らは、

「でもまだ一人空いてるだろ。だって1チーム4人だろ。」

「 あ〜そっか〜。じゃぁー誰か入んないとダメか〜。誰か入ってくれないかな〜。」

と呑気に矢田が入ったが、

「はぁー真昼まさかこの中からメンバーを選ぶつもりじゃないはよね。」

「 えっ、だめだったかな。」

苗代がぶつくさ文句を言って矢田がどうしようか迷ってしまっている。

すると今度は苗代は俺の方を見てキレ気味に、

「白からも黙ってないで行ってやんなさいよ。こんな神化だとわかった瞬間にほいほいと来たなめこ汁やろーなんか信用できないはよ。」

「まー確かにそうですね。」

またしてもよくわからない悪口を言っていたが、苗代の言っていることはわかる。

自分に有利になるとわかった瞬間にきた奴らは何かあったらすぐに裏切るに決まっている。

「大体キモいし、顔がビデオデッキみたい。見てて不愉快。今すぐ私の視界から消えなさい。この産業廃棄物。」

「アァーやんのかてめー。女だからって容赦しねーぞ。」

「おいよせって。こんな奴に関わったってろくなことないぞ。」

「そうそう。もう行こうぜ。あっちにも神化してる人がいるみたいだぞ。」

そう言って集まっていた奴らはいなくなっていった。

「いや〜いっちゃだね〜。ま〜しょうがないか〜。しかし琴美さんもしかして僕たちと組んでくでくれたということは信用してるのかなー」

確かに矢田がいう通り俺らのこと信頼しているのかもしれない。以外とツンデレさんなのかも。

「はっ。何言ってんの。頭お花畑なのかしら。だって真昼は嘘とかつかないし騙される心配もないし、白も何かあっても黙ってほいほい従いそうだし。だからあんたたちと組んだのよ。わかったかしら築60年アパートさんたち。」

うわー当たってる。ツンデレとか思った俺が馬鹿らしい。苗代はただのツンだ。つんつんだ。(西郷どんの犬ではない。)

そんなことより、

「あのーメンバー後一人どうしますか。」

「確かにね〜。どうしようか〜」

メンバーのこと話し合おうとしていたら苗代がじーと俺を睨みつけていた。

「あのーどうしましたか苗白さん」

「いや別に。それよりメンバーはどうするの。どこかにイケメンはいないの。」

はぐらかされた。以外と今までで一番ショックが大きい。なにかやったかな?

「イケメンならあっちにいたよ〜。」

「イケメンなんて信用できないわよ。」

じゃぁなんで聞いたんだよ。苗白の事がわからなすぎる。

そういえば忘れるところだった。大事な事聞くの忘れてた。

「矢田くんの能力はなんなのかな?」

そう。この矢田の能力しだいでナンバー3を捕まえる確率が大きく変わる。

「そういえばそうね。早く言いなさい。」

苗代が急かすと、

「わかったからそんなに急かさないでよ〜。僕の能力は....」

俺と苗代は矢田の次に出てくる言葉に期待していた。期待していたからこそ、

「触ったものを食べ物に変えることができます。」

ショックがでかかった。

「役にたたなっ!」

「はぁーびっくりだわ。白の化けの皮が剥がれるぐらい役に立たない能力ね。」

おっといけないいけない、つい本音が。

でもすごいはすごい能力だがナンバー3を捕まえるにはやくに立たない。

「え〜そんなにがっかりするかな〜。」

「まーいいわ。それより早くメンバーを見つけるわよ。」

苗代のいう通り早くメンバーを見つけないとロクでもない奴と一緒になるかもしれないしもう12時になりそうだ。作戦も決めないといけないし、今はメンバーを見つけることが第一だ。

するとタイミングよく、

「あのーすみませんが私を仲間に入れてくれないでしょうか。」

そこには小さくてオロオロしている女の子がたっていた。

「何このチビ。見てるだけでイライラする、シュレッダーにかけてやろうかしら。」

「やぁ、僕は矢田真昼よろしく。」

「どっどうも、深瀬白です。」

3人が個性豊かに言うと、

女の子はオロオロしながら、

「申し遅れました。私は木村 ハルカです。皆様のご迷惑をおかけしないのでどうか仲間にしてください。」

しかし敵はでかい。

「なんでこんないい子ぶってるめすぶたを仲間にしないといけないの。いけ好かない。肉まんと一緒にむしてやろーか。」

だが木村もすごかった。

「入れてください。仲間に入れて入れて入れて入れて入れていーれーてーーー。もうここしかないんです。他は足手まといになるからとか言って入れてくれませんでした。あなた方様が最後の頼りなんです。お願いだからいーれーてくださーーーーい。」

これにはさすがの苗代も、

「はぁー仕方ないはね。あんたらこのチビ入れるしかなさそうよ。入れないと罪悪感がすごそうだし、他は大体決まってるぽいし。」

「僕は大歓迎だよ。よろしくハルカさん。」

「どうもよろしく。」

「よろしくお願いします、皆様。」

こうして木村がメンバーに加わった。

「さぁ、メンバーも決まったことだしナンバー3さんを捕まえる作戦を考えようか〜」

いよいよナンバー3を捕まえるゲームが始まる時間が刻一刻と近づいてきた。



4



「あそこにいたぞー」

男子生徒の怒号が飛び、それに続いて仲間と思われる生徒が必死になって指示を飛ばした。

「後ろに回り込め。さすがの神も囲んでしまえばこっちのもんだ。」

その指示に仲間と思われる生徒は素早く従い、中庭をだらだら歩くナンバー3を取り囲んだ。

「よし、これで50ポイントは俺らのものだ。」

ナンバー3を取り囲んだチームの一人がそう言うと、近くにいた他のチーム生徒たちは悔しそうに口を噛み締めた。

「くそー先を越された。」

「ここまでか。」

これで決着かとその場にいた誰もがそう思ったが、ナンバー3は動揺する素振りを1ミリも見せない。それどころか余裕さえみえた。

「この程度か。」

ナンバー3はそう言うと今にも飛びかかりそうな生徒たちをあざ笑うかのように、ふわっと空中に飛んだ。

これには生徒たちも、

「そりゃないよー。」

「卑怯だぞー。降りるかタケコプターよこせー。」

「もう無理ゲーだわー。」

悪態をつき諦めムードになっていた。

それを見ていたナンバー3は誰にも聞こえない声で、

「詰まんないなー」

と呟いた。



「あいつら馬鹿じゃないの。あのもやしみたいな奴でもいちよう神なんだから。普通にやってもつかまんないのは当たり前じゃないのよ。」

苗代は無残に失敗した奴らを見て鼻で笑いながら悪態をついていた。

「それに引き換え私は天才だからこのスーパー作戦を実行すれば100%ナンバー3を捕まえられるわよ。」

「さすが苗代様。まさに天才です。人類の宝です。」

「じゃ〜早速作戦を実行しようか〜。」

苗白が作った作戦に木村と矢田は乗り気で正直気が重い。

だって、

「さぁ始めましょう。苗代琴美スーパーお色気作戦を。」

これだからである。

苗代は可愛いは可愛いがそんなくそみたいな作戦にナンバー3が引っかかるとは到底思えない。

大体スーパーお色気作戦ってなんだよ。もうちっとまともな名前をつけろよ。

それにこいつらは大事なことに気づいていない。

「あのーナンバー3が飛んで行って居場所がわからないからその作戦出来ないんじゃないんですか?」

「・・・。そっそんなこと言われなくてもわかってるわよ、このにんにく大王みたいな顔しやがって。ばーーーか。」

いやわかってなかってなかったでしょ。

それににんにく大王ってなんだよ。顔がにんにくなのか?とあるパンが戦うアニメに出てきそうだな。

するとフォローしようと木村が、

「苗白様はわかっていましたよ。あの人類の宝の苗白様がこんな幼稚園児でもわかることがわからないはずありませんよー。」

木村はニコニコと言ったが、苗代はもう悪口を言わないぐらいダメージがきているようだ。なんて哀れな苗代だろうか。

「みんな〜取り敢えずナンバー3さんを見つけることにいまは専念しようか〜。」

矢田がそう言って苗代は、

「そうね。」

と、小さく呟いた。

苗代は以外と繊細なハートをお持ちのようだ。うーん、めんどくさが増したな。

取り敢えずこれから進む方向性が決まったところで矢田が、

「ナンバー3さんを見つけるためにいよいよ僕の能力が役に立ちそうだね〜。」

意味がわからないことを言い出した。

いつの間にか本調子に戻っていた苗白が目を見開きあんたをバカにしてますよオーラを全開にして矢田に向かって、

「はぁー、あんたの能力触ったものを食べものに変えるだけでしょ。それでどうやってナンバー3を見つけるわけ。」

すると矢田は自信満々に、

「まぁ〜見ててよ〜。」

と笑って言った。



「さすがです矢田様。あんな作戦をおもいつくなんて。」

木村が大絶賛している目の前では、矢田が自信満々に言った作戦を実行しようとしていた。

そこにあるのはテーブルと椅子がワンセットとテーブルに置かれた大量のパイナップル。もうえげつないぐらい大量のパイナップル。すごし離れているここでも他の匂いがかき消されるぐらいパイナップル臭がプンプンしている。

矢田が実行しようとしていたのは食べ物の匂いでナンバー3をおびき出そうというものだった。

しかし矢田は神様ポイントが1ポイントしかないためパイナヅプルしか出せないのである。

「本当に役に立たない能力ね。高級寿司とかA5ランクのお肉とかならわかるけどパイナップルって。」

どこかパイナップルをバカにした発言をした苗代だったが確かにさすがにパイナップルではナンバー3もおびき出されないだろう。

しかし矢田は着々と準備を進めて、

「よしこれでOKだ〜」

作戦を実行しようとしていた。

「矢田様頑張ってください。」

木村が声援を送り、俺と苗代は冷ややかな目を送っていた。

いよいよ矢田の作戦は始まり、パイナップルに向かって制服を上下にして風を送っていた。

「そんなんで匂いが届くわけないでしょ。届いたとしてもナンバー3は来ないわよー。馬鹿じゃないのこのパイナップルボーイ。」

苗代にしてはまともな悪口を言っていたが矢田はどこ吹く風で制服をバタバタしていた。

しかし高校生がパイナップルの前で制服をバタバタしている姿は実に滑稽である。見てて面白い。

だがここで俺と苗白の度肝を抜かす出来事が起こった。

なんと10メートル離れた校舎の陰からナンバー3がちよこっと顔を出してじーっとパイナップルのほうを見つめていた。

「まっまさか。」

「はぁー本当にパイナップルに引かれたわけ。」

俺と苗代は驚きを隠しきれなかったが木村は、

「さすが矢田様。作戦通りですね。」

と、目を輝かせて矢田を見つめながら言った。

「やっぱり来ましたね〜。よし、次は琴美さんの番だよ〜」

矢田は呑気に言うと、苗代はプイッとそっぽを向いた。

?何かあったのかな。

何も反応しない苗代に矢田は念を押すように、

「琴美さん、あの作戦だよ。スーパー・・・」

といいかけたところで苗代が矢田の言葉をさえぎって、

「あははは、今日はいい天気だな〜。」

とおぞましいことを言った。

本当に何があったんだ。苗白のキャラが崩壊しているぞ。

苗代は顔を赤くして小さい声で、

「なんでお色気作戦なんて言ったんだろう。はぁ〜ぁ。」

なるほど。勢いで言ったしまったあのお色気作戦がよくよく考えて恥ずかしさに気づいたらしい。あ〜ぁ黒歴史ができちゃった。ほんと地獄だな。

この苗代の独り言は矢田にも聞こえていたらしく、

「あ〜うん。は〜まぁうん。」

いや何か言えよ。

でもこれで苗白の黒歴史が増えることはなくなっただろう。

「苗白様、今ですよ。スーパーお色気作戦をやるのは。」

木村が爆弾を投下した。

しかもそれを聞いたナンバー3が鼻で笑わった。

「・・・ひっく。」

苗代は静かに泣いていた。

おい泣くなよ。

ハート弱すぎだろっ。

もうどうしよう。半径20メートルがお通夜みたいな空気になってしまったじゃないか。

矢田は戸惑っているし、木村も今になって状況がわかったらしくやってしまったと顔を白くしている。

泣くならお色気作戦とか言うなよ。バカは誰だよ。

「ひっく、ナンバー3に鼻で笑われるし、鼻で笑われるし、笑われるし・・・。」

苗代はナンバー3を責めるように泣いていた。

さすがにこれにはナンバー3も罪悪感がすごいらしく苗代にトコトコ近づいて、

「あー鼻で笑わって悪かったな。すまん。」

と肩をポンと叩いた。

しかしここで展開は大きく変わる。

苗代の肩に手をやっていたナンバー3の手をガシッと苗代がつかんで、

「捕まえたわよ。この豆大福。」

とニヤッと笑った。



5



「なんだよーナンバー3捕まったのかよ。せっかく作戦考えたのに。」

「そうそう最初に失敗したところを見せて油断させる作戦だったのに。」

「案外あっけなかったな。」

教室には西日が差し込み、生徒がワイワイと今日のことを話していた。

「ナンバー3捕まえた奴らは今どうしてるんだ。

男子生徒が近くにいた生徒に質問をした。

「なんか神様室に入ってくの見た奴がいたぞ。」

近くにいた生徒はそういった。



ほんとあけっなかった。

すごいバトルがあるわけでもなく、すごい奇策があるわけでもなく1人の少女の演技で幕が閉じだ。

その少女こと苗代はパイナップルでナンバー3が来た時にあの演技を思いついたらしい。

ちなみにナンバー3はパイナップルの匂いに誘われたのではなくパイナップルの前で制服をバタバタしている様子が奇妙で気になったから来たそうだ。

何にしろ神様ポイントは手に入れた。

だが俺は何もしていない。いや、俺は何かしようとしたのか。

これでいいのだろうか。

なんだかんだで一生懸命な矢田と苗代(木村は何もしてないが)。

それに引き換え俺は何もしていない。

役に立たない。



「詰まんないなー。あんなしょうもない捕まり方だとは想像しなかったよ。」

ナンバー3はつまんなそうに言うとはぁーとため息をついた。

今俺たちは神様室と呼ばれるところにいる。

ナンバー3を捕まえたあと、俺たちは気付いたらここにいた。瞬間移動というやつをしたらしい。

「まぁいいや約束どうりポイントをあげますよ。」

それを聞いた瞬間、俺たちは教室に瞬間移動していた。

俺たち4人はあっけにとられてなにもできなかった。



50年前



いきなり現れた神を名乗る14人の者は人類が今までに見たことのない奇想天外なことを次々と起こした。

14人の者を神だと疑う者は居なくなった。

しかし一つの疑問が人類には出てきた。

なぜいま神は人類に姿を見せたのかという疑問が。














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