楽しい世界で遊ぼう!
すごく楽しい不思議な世界。
少女は花の甘い香りで目が覚めた。
美しい花々や白い木製のアーチがあるお城。
空には綺麗な虹がかかり、クマやウサギの可愛らしいフワフワのぬいぐるみが沢山置いてある。
夢の中みたいな光景に少女は目を輝かせた。
「素敵だなぁ…!」
感嘆の声を漏らす少女の隣から声がした。
「そうでしょ?綺麗だよね」
そこにいたのは、少女の腰ほどの高さのテディベアだった。
可愛らしいのに、目はガラス玉に見えないくらいリアルだ。
ぬいぐるみが話してる時点で現実じゃないことは分かる。
(お父さんとお母さんはどこだろう…)
そんな不安を和らげるようにテディベアの手が少女の腕を優しく掴む。
ちょっとだけ持った不安の種がサラッと消えていくのを感じた。
「ねぇ、こっちにおいでよ。楽しいよ!」
可愛いテディベアにつられて少女は歩き出す。
噴水の側にあるのは浮遊するランタンの雫。
カフェの軒先には、羊の店主が空にかかる虹の欠片を綿あめやチョコレートに変えていた。
一通り街を見た後、テディベアはお城の中に案内してくれた。
石造りの床は歩くとカツンッカツンッと音がする。
大きな椅子には、巨大なウサギのぬいぐるみが王冠をかぶって座っていた。
「よく来たね。思う存分この世界を楽しんでくれ。」
お城の中は広くて素敵だった。
巨大な銅像や輝くシャンデリア。
壁一面にある絵画は舞踏会の大広間を立派に飾っていた。
「すごい…!ホントに素敵!」
夢中になって歩きすぎたのか、一緒にいたはずのテディベアがいない。
(きっと、お城のどこかにいるよね。)
少女はまだ行っていない奥の部屋へと続く扉へ手を伸ばした。
ギギッと音を立てて木製の扉が開く。
甘ったるい匂いと鉄臭い匂いが混じる。
暗すぎて中が見えないその部屋の奥へと進むと、そこにはテディベアがいた。
「来れたね。」
テディベアが片手を挙げる。
フワフワの毛は、赤茶色の何かが固まってカピカピになっていた。
「それ、なぁに?」
少女が聞くとテディベアはカパッと口を空けた。
グチグチッと音がして顔ほどに口が広げられる。
ボトボトと口から落ちたのは明らかに人間の体や足の…
「な、なに、それなんなの!」
逃げようと扉を叩いても開かない。
「出して!出してよ!」
後ろからテディベアの楽しそうな声がする。
「楽しい世界を満喫してくれてありがとう!ボクも満腹になれるよ!」
ギチギチッ
今度はさっきよりも近くで音がする。
少女の首筋に、テディベアの甘い吐息がかかった。
最後まで読んでくださりありがとうございます!
童話のよう世界をホラーにしてみましたφ(..)
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