特別短話 ナイトカード作成記録
20xx年 ワールドNo.5=レイクドタウンにて〜
「ふぅ。ようやく完成した!あとはこれをエクレア様に持っていくだけだ!」
そう言って、1人のゴブリンが100枚のカードを持ってうれしそうに城の最上階に行こうとしていたが…
その時可愛らしいというか、どちらかというとベッタリした感じの声がした。
「み〜つっけた!」
「え?」
ゴブリンは戸惑う。なぜならゴブリンは感じたからだ。この少女は明らかにこの世界の者ではないと。
「も〜!私1人で時間軸=ワールドNo.5〜No.50000の中から時間軸=ワールドNo.5のこの時間に辿り着くまでめちゃくちゃ大変だったんだよ!?」
時間軸=ワールドNo.5とはなんだろう?
彼女は一体、どうしてここに来たのだろうか?
「しっかし、レイクドタウンって不思議な世界ね〜。感情がこの世界のエネルギーになってるらしいし!」
「そんなに、すごいことですか?」
「えぇ☆もちろん!私の前世で暮らしてた時間軸=ワールドNo.64578はこんな魔法みたいな世界ではなかったもの!」
「その…世界というのは?」
「あぁ、気にしないで!私も…思い出したらまた心が破裂しそうだし。あぁむかつく!あのシロってやつ!」
「?色々、大変そうですね…」
「そうそう。私もこんな仕事、さっさと終わらせたいの☆だから…」
その瞬間、空気が凍りついた。息が…苦しい?
「そのカードをさっさと寄越せぇぇ!!!」
「うわっ!?」
彼女はいきなり突進してきたかと思うと100枚のカードが全て回収されてしまっていた。
「よし!回収完了〜!」
まずい、試作品のカードだから、まだどういう反応が起こるかわからないのに…
「あ、もしもし?カード全部回収したよ!…うん、うん。今戻るから。じゃあそういうことで!また会いましょう。可愛いゴブリンさん☆」
そう言って彼女は闇の中へ消えていった。
とりあえず、この事をエクレア様に報告しなければならない…!
――――――――――――――
1年前
宮殿にてレイクドタウンの魔王 ナイト・エクレアがゴブリン達に向かって話をしていた。
「皆の者!この世界は悪魔である"クライト"によって多くの感情が悪意に染められている!この現状をどう思うだろう!?」
「「許せない!!!」」
ゴブリン達は大きな声で口を揃えてそう言った。
「そうだろう。そこで技術部、お前たちに頼みたいことがある。」
「えっ、?僕たちにですか!?」
技術チームが驚くのも無理はないだろう。
レイクドタウンで最強の、全ての魔力を持つナイト・エクレアが部下に頼るということは今までで一度もなかったからだ。
「そうだ。お前たちには感情を封印し、保管することができるアイテムを開発してもらいたい。」
「感情を封印?それならエクレア様の魔力でもできるじゃないですか。」
「あぁ、確かにその通りだが俺の力は弱体化し始めている。」
「えっ!?なぜですか!?」
「理由は簡単だ。皆は忘れているかもしれないが、我々は感情をエネルギー原として生活している。もちろん、俺も対象だ。だが、レイクドタウン全体がどんどん悪意に染まり始めている。するとどうなる?感情が傾き始めて我々はエネルギーを失ったいくのだ!」
「た、たしかに!」
「そうだ。そこで俺は考えた。クライトに対抗する方法をな。」
「それは…一体!?」
「…7つの大罪だ。」
「っ!?」
その言葉を聞いた瞬間、その場にいた全員が驚いた。
7つの大罪 それは遥か昔、ナイト・エクレアが自分の魔力を使ってワールドNo.99999999999=無限の監獄に行って奪取した幻の感情だ。
傲慢 嫉妬 憤怒 怠惰 強欲 暴食 色欲
ナイト・エクレアの力は過去や未来なら何も問題がなくスイスイと移動できるのだが、別の時間軸へ行くとなると話は別だ。なにせ時間軸は無限にあり、そこから決まった時間軸に行くことすら難しく、それができるのは時間を司る神"狐神"だけだからだ。
「エクレア様!いくらこの世界の魔王であっても、7つの大罪を使うのには無理があります!」
エクレアが小さな箱をポケットから取り出す。
「エクレア様…それは?」
「この箱の中には俺の力で封印している7つの大罪が入っている。しかし俺の力もそろそろ限界を迎えそうだ。もってあと2年ほどだろう。」
「そ、そんな!?」
「だから、そのためにも感情を封印するアイテムを開発してほしいのだ。」
技術チームは一度考えたが、答えはすぐに一致した。
「わかりました!やってみます!」
――――――――――――――
そうして、技術チームは1年かけて、ようやくどんな感情も封印することができるアイテム…その名も"ナイトカード"名前の由来はもちろんナイト・エクレアからだ。
技術チームのリーダーであるゴブリンがナイト・エクレアにブランク状態のナイトカードを渡そうとしていたところに運悪くミナミが現れナイトカードを全て奪われてしまったのだ。
だが、この時ゴブリンは特に100枚のカードを奪われたことに対しての焦りは全く感じていなかった。
なぜなら彼らには設計図があるからだ。
失ったならもう一度作ればいい。ただそれだけ。
そうして彼らは、ナイト・エクレアに報告をし、またナイトカードの作成に取り掛かったのであった。




