1章1話 Making 思い出のショートケーキと永遠に溶けないアイスケーキ
レイクドタウンの魔王 ナイト・エクレア
彼はいつも人と喧嘩をするが、唯一仲良く接している人間が2人いた。
それは・・・
「ねぇねぇ、パパってどうして魔王やってるの?」
「それはね、生まれた時から魔王だったからだよ。」
5歳の娘 ナイト・はなまるだった。
「じゃあ、どうしてパパは人間のママと結婚したの?」
「それはね・・・。」
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彼は普段の日常がとてもつまらなかった。
人間界から勇者は来るが手応えのあるやつはそうそういない。
子分のゴブリンの声がした。
「エクレア様!裏門から敵が攻めてきています!」
「俺は行かないぞ。」
「え?」
「俺は行かない!今の日常があまりにもつまらんのだ!」
「しかし・・・。」
「敵はマクロに頼めばいいだろう!」
ナイト・マクロ エクレアの弟だ。
「でも・・・。」
「俺は気晴らしに自ら人間界へ行く。」
「え!?1人でですか!?」
「そうだ。着いてくるなよ。」
「わかりました・・・」
「"Transform"!」
エクレアは人間の姿になった。
「では、ワープウィンドウを開きます。」
「行ってくるぞ。」
「・・・いってらっしゃいませ。」
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1995年のxxx つつみ中学校前
「ふっ。つまらん。」
人間界に来ても賑やかな声が聞こえ 穏やかな風が吹いているだけだ。
だが、その時後ろから何かを当てられた。
「この俺様に向かって攻撃とは。いい度胸をしているじゃないか。」
後ろを振り返ると5歳くらいの黒いフードをかぶった"なにか"がいた。
「貴様・・・人間ではないな?」
「・・・どいてもらってもいいですか?僕にはやることがあるから」
「ほぅ?俺様に向かってタメ口か。面白い、しばらく遊び相手になってやろう。」
「たかが異世界の魔王が神に勝てるとでも?」
「神・・・?あぁ、そうか。おまえ"狐神"だな!」
「僕だって暇で彷徨いているわけではないんだ。」
「"クライト"がいないのに、か?」
「僕は、あの人たちとは違う。」
「ふっ。まぁ良い。"魔王VS狐神"楽しくなりそうと思わないか?」
「そこまで僕と戦いたいなら・・・」
狐神の目が光った。
「フラッシュ 重力」
その時、俺様の体は宙に浮いた。
「あとで戦ってあげるから、しばらくそこにいてて。」
「おっと?舐めてもらったら困るね」
「は?」
「Mine」
「重力操作を自分も利用できるようにした!?」
「こんなので驚かれてもらっては困る。」
「Call」
自分の体力の子分を呼び出した。
狐神は大量の子分に殴られて苦しそうにしている
「まだだ、マジート 入れ替わり」
この時、俺様と狐神の位置が入れ替わった。
大量の子分が俺を殴っている
「Quiet」
子分の動きを静めた。
「どうだ?俺様もなかなかやるだろう?」
「仕方ない。今回は退散しよう。」
「ほぅ?逃げるのかい?」
「違う。計画が崩れそうだから別の時間に行くだけ。」
「そうか、なかなか楽しかったぞ?」
「僕はもう、2度と会いたくないけどね。」
そう言って狐神は"タイムホール"に消えていった。
「さて、俺様もそろそろ帰るとするか。」
その時、1人の女性が声をかけてきた。
「ねぇ?そんなところでなにしてるの?」
「ただの暇つぶしだ。」
「そっか。ねぇ、もしよかったら私のケーキ食べてかない?」
「誰が食べるか。人間が作った食い物など。」
「そう言わないでよっ!ね?」
「仕方がない。まだ時間はある。ではその"ケーキ"とやらをいただこう」
1時間後
「着いたよ!ここが私の働いているケーキ屋"レイクドケーキ"って言うんだ。最近はお客さん来ないからめっちゃケーキ余ってるんだけどね。」
「そうか、」
「今持ってくるから!」
あの女は何を考えているのだろうか?
初対面の人に食い物を渡す?
なぜだろう・・・
「はーい!お待たせしました! ショートケーキです!」
「いただこう。」
その瞬間、脳にビビっと来た。
甘いクリーム、ふわふわなスポンジ、甘酸っぱいいちご。全身が震えるくらいに・・・
「うまい。」
「でしょっ!?やっぱ私才能あるよね〜!」
「貴様、毒でも盛ったのか?」
「は〜?毒?そんなん盛るわけないじゃん。」
毒じゃないならこれは・・・。
「貴様、レイクドタウンで菓子を作れ。」
「へ?」
―――――――――――――――――――――
「ふーん。それでなんやかんやあってママと結婚したんだ・・・」
「そうだ。レイカは優しく接してくれるショートケーキのようだった。」
「ま、さすがに異世界で働けって言われた時はちょっとびびったけど、」
母のレイカが登場した。
「でも、異世界で暮らして、人間界で店を開くってことになったから安心したよ。家と店を繋ぐワープホールもつけてくれたし!」
「なるほど・・・、そっか!ちょっと待ってて!」
はなまるがどこかへ行った。
「パパ、ママ!あの時の、出会った時の思い出を思い出しながら感情瓶に触れて!」
はなまるは父が作った"感情瓶"を持ってきた。
感情瓶とは瓶を触れた者の感情、想い出を"アノコロスイ'という液体に変換する装置だ。
「ありがとう!」
瓶は桃色のアノコロスイでいっぱいになった。
「あとは、これで・・・」
はなまるがキッチンへ行った。
5分後・・・
「お待たせ!」
「なにを作ったんだい?」
「アイスケーキだよ!」
「あら、いいわね!じゃあお皿用意するからみんなで食べましょ!」
「ママ、違うよ。これは観賞用」
「え?でもアイスケーキだから日の当たるところに置いたら溶けちゃうわよ?」
「大丈夫!これはママとパパのように、消えることのない愛を表したケーキだから!」
そう、はなまるは見た目も中身の人間だが、父の能力、"Memory"の弱体化した"あの頃を思い出して"を唯一受け継いだのだ。
「ここに飾ればいつでもあの頃が蘇ってくるでしょ?」
"あの頃を思い出して"はアノコロスイを使うことができる能力だ。
「そうだな!このケーキを見ると微笑ましくなってくるな。」
「本当ね・・・。」
「パパ!」
「なんだ?」
「ママ!」
「なに?」
「私を産んでくれて、ありがとう!」
「うん!私も超嬉しい!」
「パパもだ!」
なんとも微笑ましい家族だ。
この家族に魔王がいるなんて誰も思わないだろう。
「すみませーん!郵便でーす!」
「あら?誰からかしら?はーい!」
「あ、ナイト・はなまる様ですか?」
「あ、私は山田・・・ナイト・レイカです!」
「あ、お母様でしたか!人間界からの"願い便"です!」
「あら、いつもどうもありがとうございます!」
「いえいえ、では私はこれで。」
「あ、待って!」
「あ、君がはなまるちゃんかな?かわいいね」
「鬼いさんにいいものあげる!」
「なんだい?」
「これ!この前のお客さんのくれた"仕事で大出世"?した思い出を隠し味に入れたカップケーキ!良かったら休憩中に食べて?」
鬼の配達員は笑顔で言った。
「ありがとう!遠慮なくいただくね!それでは私はこれで・・・」
配達員が帰っていった。
「あの人、喜んでくれるかな?」
「きっと喜んでくれるよ!」
「そういえば、郵便、なんだったの?」
「そうそう、はなまる宛だったわよ。」
「新しいお客さんかな?」
手紙を開いた
あぁ、辛い。この感情どこかにぶつけられないかな? 一月十日
「一月十日・・・って明日だ!明日来るんだ!」
「じゃあ、明日のためのお店の準備しなきゃね!」
「うん!」
はなまるは届ける。
今あなたが欲しているものを、
はなまるは求める
今あなたがいらないと思っている感情を・・・
(1章第1話 終わり)




