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第7話・ロボット怪獣少女はスィーツがお好き

 四つ這いで前進するルリハの遥か前方──ミルフィーユのような、幾層にも重なった地層が美しい模様になっている小山群が広がる【ミルフィーユ小山群】


 その中にある平らなミルフィーユ岩に座った。

 メガネっ子娘の、巨大なロボット怪獣少女『シルバー』が、ロボット用のスィーツを食べながら言った。

「それが、クサレ・クソ王が……あたしと手を組むメリットか……納得」


 シルバーの横には、不思議そうな表情で見上げている、クサレ・クソの姿があった。

 ロボット怪獣少女のシルバーが、二個目のスィーツを腹部で食べながら横目でクソに言った。

「ロボット怪獣が、スィーツを食べているだけですけれど……ナニか?」

「いや、別に……本当にロボット怪獣なんだよな」

「見ればわかるでしょう、この宇宙合金のナイスボディ」

 シルバーは、くびれた自分の腰を擦る。


 シルバーの前には、片目を金属の装置で隠された、四つ這いの怪獣女たちがいた。

 その目には自我は無く、虚ろな目をした怪獣女たちは口から唾液を垂らしている。

 シルバーがクソに言った。

「それにしても、怪獣少女は大嫌いなのに……ロボット怪獣少女は大好きって……どういう性格? 理解できない」

「怪獣は滅んでしまえと思うが、ロボット怪獣は保護したい……それが、わたしの考えだ」


「ふ~ん、まぁあたしは、コントロール装置の性能を確認できればそれでいいけれど……もうすぐ、このミルフィーユ山群に来る、鵜ノ目 ルリハをボッコボッコにすればいいのね……あたしが操る怪獣女たちを使って」

 シルバーは、腹部のシャッターを開けて、鉄分が含まれた鉱石を口直しに放り込んだ。


「ルリハは、同じ四つ這い怪獣少女に攻撃はできないだろう……わたしに恥をかかせた、報いを受けさせる……はははっ」

 シルバーは、食後の飲み物を飲みながら。

 こいつ、器ちっさ……と思った。


  ◆◆◆◆◆◆


 四つ這いで前進する、ルリハの前方に美しいミルフィーユ模様の、小山群が近付いてきた。

 艦橋で竜子が呟く。

「あれが、一度見たかったバームクーヘン地層の山……雨や風で地層が削れて、あんな絶景が誕生した」

 波のように湾曲した堆積火山地層模様の、山々は本当に美しかった。


 双眼鏡を覗いている竜子が言った。

「ほぅ、なるほど……あっ、あそこから少し水蒸気が噴き出している……火山活動が続いている証拠だ」


 双眼鏡を覗いている竜子の目に、小山の陰からシルバーが顔を覗かせた。

「山の後ろからロボット怪獣少女が、ひょっこり顔出した」

 竜子は電声管を通して指示を出す。


「前方にロボット怪獣少女『シルバー』出現! あのロボット怪獣少女は、生身の怪獣少女や怪獣女を操って襲ってくるぞ」

 戦艦の砲台が前方に向く。


 小山の後ろからシルバーが出てきて、続いて連なるように片目をコントロール装置で覆われた四つ這いの、怪獣女たちが出てきて。

 シルバーの前に横一列に並ぶ。

 シルバーが号令をかける。

「怪獣女たち、口から怪獣光線を吐いて、鵜ノ目 ルリハを攻撃しろ!」


 婚期を逃して少し焦り気味の怪獣女たちの口から、発射された、光線がルリハに向って放たれる。

 光線が直撃する前に、光学兵器を相殺する光波シールドがルリハの前に現れてルリハを守る。

 竜子が、自慢口調で言った。

「こんなこともあろうかと……光波シールド発生装置を作っておい……守れるのは光線攻撃だけだ、物理攻撃で岩を投げてきたら素通りして命中する」


 ルリハが泣きそうな困惑声で言った。

「いったい、なんなんですか! あたしは、操られている同じ四つ這い系怪獣は攻撃できません!」


 ルリハの言葉を聞いて、キャプテン・竜子が頭を掻く。

「どうする……この危機的状況を打開する、いい方法は無いか?」

 地図を見ていた竜子が、あるコトに気づく。

「この場所を砲撃すればあるいは?」


 竜子が迎撃エリア席が、俯瞰(ふかん)図のミルフィーユ小山群地図を広げて、一点を指で示して指示する。

「この場所を狙って撃て!」

「だからぁ、いったい誰に指示を出しているんですかぁ!」


 竜子が指示した場所に直弾が集中する、水蒸気が噴き出す。

 それを見て、高笑いをする、シルバーとクソ王。

「あははっ、どこを狙って撃っている」


 水蒸気爆発が起こり、小山群一体が水蒸気に包まれた。

 次の瞬間、怪獣女たちをコントロールしていた、片目の装置が外れて地面に落ちる。

「……?」

 水蒸気が風で晴れると、メガネを白く曇らせたシルバーが手探り状態でうろついていた。

「ナニも見えない……メガネ、メガネ」

 コントロールが解けた婚期を少し逃して焦っている怪獣女たちが、一斉にシルバーの方を向く。

「よくも、操ってくれたわね……喰らえ! 行き遅れ女の怒りの怪獣光線!」


 怪獣女たちの、口から発射された光線が、シルバーを空中に吹っ飛ばす。

「メガネ、メガネ、あっ見えた」

 宇宙合金のロボット怪獣少女は、上半身と下半身に分離して飛んでいった。


  ◇◇◇◇◇◇


 シルバーが飛んで消えて、コソコソと逃げようとしていたクサレ・クソを発見した、怪獣女たちが容赦ない前足ストンピングを、クサレ・クソに浴びせる。

「この、この、この、クソ、クソ、クソがぁぁ」

 潰されて悲鳴を発するクソ王。

「ぎゃあぁぁぁ!」


 クソ王の体が地面に、めり込むほど押し潰して満足した怪獣女たちがルリハに向って言った。

「お噂は聞いています……ルリハさんはあたしたち、四つ這い怪獣の憧れです──ミルフィーユ小山群を抜ける迷路道を案内しますから、ついてきてください」


 ルリハは怪獣女たちの案内で迷路のようになっていた、小山群を無事に抜け出すコトができた。


  ◆◆◆◆◆◆


 ルリハが去って数時間後──ミルフィーユ小山群の星空の下。

 怪獣女たちに押し潰された、クサレ・クソの体が風船が膨らむように、プクゥゥゥと元の状態に戻った。

 立ち上がったクソが、夜空に向って叫ぶ。

「ちくしょうぅぅぅ! 鵜ノ目 ルリハ! この恨み忘れんぞ!」

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