第1話・砂塵舞う大地に巨大怪獣少女
四つ這いで大地を進む怪獣少女の姿は、とてもシュールです
異界第三大陸【リム・ストーン】──砂塵舞う荒野を、四つ這いで進む超巨大な怪獣少女の姿があった。
プロテクターが付いた膝で大岩を砕き、進む怪獣少女……『鵜ノ目 ルリハ』は、いつも自問自答を繰り返しながら前へ進んでいた。
(あたし……いったい、なんなの? どこから来て、どこへ向かおうとしているの?)
ルリハの一番古い記憶は、卵から生まれた時の記憶だった。
生まれてすぐにルリハは、四つ這いで本能のままに歩きはじめた。
それから、しばらく記憶が途切れ……気がついた時には巨大な怪獣体に成長していた。
頭にニワトリのようなトサカを生やしたルリハは、先端にトゲが数本生えた尻尾を振りながら巨大な怪獣人間体で前進する。
(あたし、なんで四つ這いで歩いているの? 背中にいつの間にか乗っていたコレ……ナニ?)
ルリハの背中には要塞に特化した戦艦が、体と固定癒着されるように乗っていた。
主砲が伸びる戦艦の艦橋から、骨伝導でルリハの耳に女性の声が聞こえてきた。
「どうした、ルリハ……また、悩みながら進んでいるのか」
ルリハには、なぜか声の主の姿が見えていた。
艦長の椅子に座って足を組んだ海賊帽子で、片目にアイパッチをした若い女……『キャプテン・竜子』
竜子には、モフモフの羽毛恐竜の尻尾が生えている。
「悩みごとなら、わたしのわかる範囲で相談に乗ってやるぞ」
ルリハは、艦内にいる者と、なぜか普通に会話ができた。
一歩踏み出してルリハが竜子に質問する。
「あたしの背中になんで、要塞みたいな戦艦が乗っているんですか? あなた誰なんですか?」
「また、その質問か……それなら、前にも答えただろう」
頬杖をしたキャプテン・竜子が、面倒くさそうに答える。
「はっきり言って、わたしたちにもわからん……気づいたら、要塞戦艦ごと、ルリハの背中に乗っていた」
「それじゃあ、答えになっていません」
「これ以上は答えようがないな……わたしの名前は〝キャプテン・竜子〟と言う以外は」
竜子がルリハに言った。
「迷わず前進しろ……されば道は開かれる」
「いやいや、四つ這いでマイクロビキニ姿で歩いている方が恥ずかしいんですけれど、だいたい誰がこんな大きなビキニを、あたしに穿かせたんですか?」
「それは、考えるな……」