表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰墨の碑  作者: ゴミ
17/32

叱るだけでは人は伸びない、褒めるだけでは人は失敗に気づけない、生徒たちの実力を知り主人公が下した決断とは?

「すーばーらーしい」パチパチ

ゆっくりと大きな声で、胸を反らせ拍手しながら

”群れ”に割り込んでいく


”神童くん”たちが一瞬、硬直する

鳩が豆鉄砲を食らったような顔

きじが水鉄砲を食らったような顔

さぎが肘鉄砲を食らったような顔


「フフッ」

つい、笑みがこぼれてしまう

私に褒められる事がよほど意外なのだろう

まるで天上より賞賛の声が降ってきたように感じているのだろう

まア、間違いではない

だが・・・・


お子様たちの涙ぐましい努力を無下にしてやるほど私は非情クールではない

はあとの無い自動人形オートマタではない


「私も無垢イノセントな”神童くん”の仲間なのだな」


つい、自嘲してしまう

首を傾けて、自身の甘さにあきれてしまう


目の前でティトウス君が引きつった笑顔で固まっている

手を大きく広げ、薄い笑みを浮かべて賛辞を述べてあげる


「みーごーとでした、流石は王国の柱、”ミスラ魔法学園”

に、通えるほどの人財、いや、逸材、の、面目躍如

こんな演習であるとはいえ、あんな相手であるとはいえ

力を尽くして勝負に臨んだことは堂々たる騎士道精神の発露ではあるでしょう

機知に富み縦横自在に兵を動かす事だけが価値ではない

言われたことに素直に従う真っ直ぐさ、がむしゃらでひたむきな努力

それはコマンダーの資質ではなくとも兵隊ユニットにはふさわしい!」


ティトウスは硬直した笑顔で頭をかきながら

「あ、あはは、それはどうも、うれしいなあ」


ラカヌニントスが言った

「えー、えと、ティトウス君の将軍ぶりは実に見事なものでした

あなたは本当に優秀です、これほど見事に集団を統制できるならば

必ずや将官として大成するでしょう」


ペリペリペリパリパリパリと木の皮をがしている女に向き直る

「なーかーなーかの健闘ぶりでした、たとえ戦術アートが分からなくても

兵站ロジスティクスが分からなくても、あきらめずに戦い抜く姿勢

それはあらゆる仕事、いや、人に使われる仕事に限っては、ですが

真にUsefulな資質だ、誇りを持っても良いのですよ」


レイレイが風呂に入れられる猫のような顔でこちらを見た


ラカヌニントスが言った

「高地をそのまま押さえるのではなく、その広さ、兵力に対しての広さを

計算に入れ要地にのみ砦を配置する判断

押し込まれたときに牛車で円陣を組み即席の陣地を作る判断

いずれも的確でありました

惜しくも敗れてしまいましたが

戦車隊のゴーレムが迅速な反撃を自主的に行ったことは

あなたの戦術教育の優秀さを証明しています

将官としてのあなたの資質は非凡なものです」


ラカヌニントス君は生徒のフォローに必死のようだ

深窓の御令嬢の玉のようなはぁとを傷つけまいとしているのだろう

だが・・・・・


人間は敗北から学ばなければ成長しない


”自らの欠点を直視して改善し続ける”

これを出来ない者が最終的な勝利を得る事は決してない


「私が”反省会”をしてあげよう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ