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灰墨の碑  作者: ゴミ
15/32

決着!、それはただ兵力をぶつけあうだけの泥沼の戦いの果て

レイレイもティトウスも東端と西端の陣幕の中にいる

そして、外をのぞいてもいけない、これが”お決まり(ルール)”なのである

当然、司令官は陣幕の中で命令を下しゴーレムを走らせて伝達させる事になる

実に馬鹿げている、これでは戦況を見回して命令を下せない


いったい何故、このような奇妙すとれいんじなルールが出来上がってしまったのだろう?

”生徒たちがミニチュアーの争いを見て興奮するから”、であろう

ぴょっぷぱぴーと跳ね回り

キャッチョッイケーーヤアーアーと奇声を発して応援し

演習にならないからだろう


まア、先生方の苦労もわからないでもない

人類はいまだ猿の群れを統御する方法を会得してはいない

だが、教育すべきは”人間”それも”真の強者”である

端的に言って猿に教育は無駄である


高地に点々と散らばったレイレイの砦はいずれも完成にはほど遠い

物資を乗せた牛車が本陣との間を行き交い

兵たちは物資を積み上げて土を盛って壁を作り、その向こう

東の遠くに騎馬の影がある、赤い布を着けている、赤い旗を上げた、振った

その遠く後ろでも赤い旗が上がる、同じ動きで規則的に振られている

長く伸びたティトウス軍の縦列じゅうれつの先頭から後尾へと順々に

旗が上がっていく、同じ動きで振られている


十数秒のうちに東端の陣幕の前に達すると

わずかの間を開けて入口にて再び赤い旗が、今度は別の動きで振られ

縦列じゅうれつの後尾から先頭へと伝っていく


「オウタイチュウシ」「オウタイチュウシ」


音集め貝から甲高い声が聞こえてくる

一抱えほどの大きさのの魔道具は離れた音を拾うことができる


「オウタイチュウシ」「トツゲキ」「トツゲキ」「ソノママツッコメー」


赤い布を巻き付けたゴーレムの群れは隊列も組まずに真っ直ぐ突進する


「ユミ」「ユミ」「ハナテ」


砦からまばらに放たれた矢が群れに降り注ぎ

硬い音と共に数体の腕に肩に矢が当たり、ひび割れが走り

腕が落ち転がり跳ね散らばり踏みつけられる


たちまちのうちに人馬の流れはいくつもの砦を飲み込んでいく

矢は多くなり絶えることが無く北にも西にも南にも飛んでいく

赤い布は壁を迂回して乗り越えて浸透する


そこらじゅうでげきは振り回されやいばの光はあり

陶器が割れ砕け黒く飛び散り降りかかる


砂煙が高地の西端より北端を経る半円を描いて南に進み

坂の上へと流れ込む縦列じゅうれつの側面に速度を上げて突っ込んだ

馬と車輪の群れが小さな人影を蹴散らしていく

ゴーレムは跳ね飛ばされ牛車は横転し酒の筒が割れ中身がぶちまけられる

逃げ散るゴーレムが車輪の下に砕け散り背に矢を受けて割れ

に頭部を打ち砕かれる


車列が通り過ぎた時、そこに縦列じゅうれつは存在しなかった

ただ砂と土と陶器の破片ばかりがあった


そこへ砂煙が向かってきた東方からのぼってきた

レイレイの戦車は細々と矢を放ちながら馬に酒を飲ませ兵もまた酒を飲むと

空の筒も中身のある筒も投げ捨て高地を下っていく


次第に速度が増し車体ははずみ巻き上がる砂塵さじんは強くなる

車体の横にが倒された、先頭がすれ違った、ゴーレムの頭部が飛んだ

車列は交錯した、何両かが動きを止めた

生き残りは後背に突き抜けると、大きな弧を描いて旋回し

再び相手に向かっていく、わだちは縦横に走り間を矢が飛び交った


やがて動くものは無くなった、車は死に、馬がまばらに立っていた


「エンジンボウギョ」「エンジンボウギョ」「ギッシャヲカベニセヨ」


西端の陣幕から来た騎馬が叫び、走り回っている

赤い布を巻き付けた群れが高地を席巻しことごとくの砦はついえている

北辺に残るいくらかの勢が牛車を並べ円陣を作っている

そこに赤い群れが殺到していく、先頭が矢に打ち倒され

後続の途切れるは無く陣を飲み込んでいく

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