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灰墨の碑  作者: ゴミ
10/32

戦争とも言えぬ”ピクニック”に血道をあげる生徒たち、その前に立ち塞がる現実とは?

フンババドレミソシケモクカラタケワリ鳥


濁流だくりゅうに押し流される木綿豆腐のように飛び、バッタのように跳ね

ブブゼラのように鳴き、カイワレ大根のように地面から生えてくるの鳥は

意思が弱くあやつるには丁度ちょうど良い


今月は”王都の貧民を集めての遠足ピクニック”の日である

思念を集中し魔力を込める、鳥の目が私の目となり翼が私の翼となる

”神童くん”たちがどのように遠足ピクニック満喫まんきつしているのか

のぞいてみるとしよう


開け放った第27号室の窓から翼をはためかせて飛び出していく

ドゥガチを越えドゥナイを越えマキヤ山の頂上を横手に見やる高みから見下ろせば

山裾の岩と灌木かんぼくの間にひしめく薄汚い人々が目に入る

乱雑な群れを成して進むのは貧民たちであり

その周りを走り回るのはまさしく”神童くん”たちである


高度を下げて耳をそばだてる


「メシはまだかといつてるだるオ!」


「メシー」「メシーぃ」


「あの山を越えればプラートテアタ平原です、そこで昼食ですっ!」


「おーい」


「ヘロディアだ、戻ってきた」


「この先に開豁地かいかつちはありません全て沼沢地と山林です」


「じゃあ地図が間違ってるって事なのかよ」


「メシー」「メシーィ」


「ここ、ストーンヘルムだよな?」


「間違いないよ、向こうにマキヤ山があるし、今通って来たのはモルゴン道だし」


「本当にモルゴンだったのか?、右に流れていたのはテセヌウ川だよな?」


「あっ、何人か離れていくぞッ」


「待って、待ってください!、列に戻って!」


「でもよォ、お嬢さんたちようおらの畑のよぅ、麦サ見ないといけねぇだ」


「手当は出ますから、それにこれは王命ですから」


「だどもぅ、おらん麦はめんこいだあ、そんで王命がなんだってぇ?」


「口答えするな!、これは臣民の義務だ!、命令に従えッ!」


「ナンダアアッ、このチッコイのガァっ、ぶっ殺しちゃるッ!」


バコッ、ベキッ


「やーレ、やーレ」


「喧嘩だぞオー!」


「やっちまえ!」


ドカッ、バコスッ


「クソッ、クソッ」


「メシー」「メシーィ」


ガシャッ、グショッ


「ヒュパティア!、お前は小さいんだからダイゴローと同じやり方じゃだめだ」


「わかったっ、分かってるよぅ」


「報告!、麦の残量は62ギル」


「ちょっとまて、レイレイの今朝の

いや昨日の夜の報告では97ギルあったはずだ」


「朝食?、じゃないですかね」


「待て!、どのくらい物資を消費している?、出発からどのくらい?」


「えーと・・・・」


「記録を持ってこい」


「記録は何処どこにある?」


「・・・・・」


「まさか、誰も物資の量を記録していないのか?」


「メシー」「メシーィ」


「・・・・・・・・」


「っレイレイだ、レイレイを記録係に任命する」


「了解!」


「それと、あの、目分量なので正確な事は言えませんが盗まれています」


「・・・・・・・・・」









「無様だな」


つい、嘲笑してしまう


実に微笑ほほえましい”遠足ピクニック”である、楽しそうで何よりだ


うん?


視界の隅に一両の馬車が映じる、荷台に揺られているのは


”トゥール校長”か


これは興味深い、後をつけてやろう

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