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ちびっ子冒険者教室なのだ

 やってきた冒険者ギルドの広場で、ピアディとユキノはあっという間に子どもたちに囲まれた。


「あっ、ピアディさまだ!」

「すげー、ほんとにサラマンダーだ!」

「えっ、カエルじゃなくて?」


「ぷぅ!(サラマンダーの幼体! ウーパールーパーなのだ! おぼえておくのだ、テストにでるかも!)」


「「「はーい!」」」


 夏休み子ども冒険者教室は、冒険者ギルドが主催するアウトドア感覚の講習である。

 親子での参加も可能で、比較的安全な国内の地方ダンジョンへのツアーがセットになっている。


 全三回すべて参加すると、ギルド所属のつよつよ冒険者の皆さんの安全な引率で初ダンジョン体験できるというもの。

 今日はその一回目にあたる。


 ダンジョンは魔物や魔獣といったモンスターの出る迷宮タイプが多い。

 それらを倒したり、ダンジョン内の宝箱を開けたりすると魔石が出ることがある。

 ピアディのお目当てもその魔石だった。




 それからギルド職員のお兄さんによる『冒険者の心得』講習を小一時間ほど。

 子どもたちの集中力が途切れる頃に終了し、次はステータスの確認だ。


 ステータスは、人間の持つ様々な能力値を数値で評価したものだ。

 主に名前、所属(出自)、称号、保有スキルに加えて、体力、魔力、知力、人間性、人間関係、幸運それぞれの数値が十段階評価される。


 自分のステータスならば「ステータスオープン」と唱えるだけで、目の前に半透明のパネルが現れて確認可能だ。


 ここ冒険者ギルドにはステータス確認用の鑑定魔導具があるので、子どもたちは順番に鑑定していくことになった。


「ぷぅ(われは最後でよいぞ。真打ちはあとから登場するものなのだ!)」


(ぷふー。きっとわれ、最高にみらくるでえくせれんとなステータスにまちがいなし!)


 ぷくくく、と短い前脚で口元を押さえてピアディは楽しみで笑った。


 ところが。


「ピアディ=カーナさん。うーん、このステータス値だと冒険者は向かないと思いますねえ。本日は見学が良いと思います」

「ぷぅ!?(なにそれ!?)」


 鑑定結果を見たギルド職員のお兄さんが困り顔だ。


「ピゥ?(どれどれー)」


 横からユキノが鑑定結果の表示を覗き込んだ。


「ピャ!?(え? えええええ!?)」


 そこにはあり得ないような数値が並んでいた。


 ピアディはさすがに進化した種族(ハイヒューマン)だけあって、魔力値は最高値の10だった。


 ところが他の数値が問題だ。

 ステータス値の最高値は10、平均値は5。


 なのにその平均5を下回る項目がある!


「ぷぅ~(われ戦えるもん。偉大なる魚人族のちから、見せてくれようぞ!)」

「ピー!(ピアディ! 待って!)」


 自分のステータスを見もしないで、ピアディはよちよちと、子どもたちが訓練講習に集まる広場に向かってしまった。


 もちろんユキノも、ギルド職員のお兄さんも慌てて後を追った。



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本作の本編にあたる「聖女投稿」はアルファポリスで書籍化のため、なろう版は削除いたしました。アルファ版ページで連載が続いております。
アルファポリス版「聖女投稿」作品ページ(別窓)
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