表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/51

ウパルパ最強伝説はここから始まるのだ!

 一方、ピアディの保護者筆頭を争う聖剣の聖者様(おとうたん)聖女様(ねえや)の心中は穏やかではない。


「まだ……まだ結婚などは早いと思うのですが、どう思いますかルシウスさん!?」

「そもそも違う種族で番えるのだろうか……?」


 深刻そうに保護者たちが相談し合っているのをよそに、ピアディはもうすっかり元通りのご機嫌ウパルパだ。


「ぷぅ(うんめい、われ新たなぶきを探しにお出かけするのだ。冒険フェイズつーなのだ、ねくすとすてーじなのだ)」

「ピュイッ(いこう、いこう、ピアディ、ぼうけん!)」


 スイカの果汁でべたべたになった顔を雛竜にぺろぺろと舐め取られながら、ピアディは決意した。


「ぷぅ!(最強ウパルパにわれはなる!)」


 二足歩行できるようになった後ろ足ですくっと立ち、ぽんぽんの胸とお腹を勇ましく張った。半透明の身体をぷるぷるぽよんと震えさせて。


「ピャウー(ぼくもさいきょうドラゴンなるー)」


 生まれたばかりの頃はピアディと同じぐらいの大きさだった雛竜も、毎日おいしい果物や草を食べ続けて、あっという間にピアディを上回る大きさまで育った。

 お父さんのユキノ君みたいな大きなドラゴンになるまでは数年かかるが、ピアディを抱っこできるサイズに育つまでは半年もかからないそうだ。


 真っ白な羽毛に覆われた背中の翼が動き出す。まだまだ柔らかすぎてなかなかお父さんのユキノ君のようには飛べなかった雛竜だったが……


 ふよ、ふよ……


「ぷぅ!(うんめい、すごいのだ、とべたのだ!)」

「ピュフー!(これでピアディといっしょにおそといけるね!)」


 まだちょっと飛び方がぎこちなかったけれど、間違いなく雛竜は空中に浮かんでいる!


 だが、そのままよちよち、ふよふよとピアディと雛竜がテーブルを降りてお外に遊びに行こうとしたところを、がしっとまとめて掴まれた。


 誰の手に? 聖女様(ねえや)だ。


「お外で元気に遊ぶのは良いことです。でも! こんなに可愛い子が二人だけでお出かけしたら、どんな危険があることか!」

「うむ。お供を必ず一人は連れて行きなさい」


 聖剣の聖者様(おとうたん)も二人だけのお出かけは許してくれなかった。


「ぷぅ(でもお~おとうたんもねえやも、いそがしいのではないの?)」

「ピュイッ(ないのー?)」

「そうなんですよね……今はどうしても首都の地下ダンジョン整備のお仕事にかかりきりで」


 本当なら聖女様(ねえや)だってピアディたちと一緒に海で遊びたかったのだ。だけどお仕事が忙しくてなかなか。


「仕方ない。お前たちが留守の間は、私が二匹まとめて預かろう」

「えっ、ジューア様がですか? ご迷惑ではありませんか?」


 可愛い盛りとはいえ、遊びたい盛り、暴れたい盛りのウパルパと雛竜のお世話をお任せしても良いものだろうか?


(もふもふちゃんはともかく、ピアディちゃんはなかなかの悪戯好き。だ、大丈夫なのでしょうか?)


 心配する皆に見送られて、魔王おばばに抱っこされてピアディと雛竜は去っていった。多分、お庭にあるおばばの工房に連れていかれたのだろう。




 結局その後、おばばの修行が厳しくてピアディは何度も何度も逃げ出してしまう。


 けれどそれなりに毎日楽しく過ごしては愉快な仲間たち、もとい保護者の皆を振り回すのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
本作の本編にあたる「聖女投稿」はアルファポリスで書籍化のため、なろう版は削除いたしました。アルファ版ページで連載が続いております。
アルファポリス版「聖女投稿」作品ページ(別窓)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ