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ピアディ焼き? ウパルパ焼きなのだ!

 魔王おばばが作ってくれたものは、タコ焼き用の鉄板やゼリー型だけではない。


 あらかた皆が食事を終えた頃、新しい別の鉄板が披露された。


「今、カーナ神国の新しい名物を考案中でして。聖女様には聖女パンがありますし、ピアディ様はこんなのはどうでしょう?」


 言って、鮭の人(さいあい)が取り出したのはワッフルメーカーだ。業務用なのか一度に八枚ずつ焼けるタイプ。

 ただのワッフルメーカーではない。特定の形に焼き上がるようになっている。


「ぷぅ?(これ、われのすがた?)」

「はい。ピアディ様の愛らしい姿を国民に普及しようと思いまして」

「! ぷぅ! ぷぅ!(よい! それはよき!)」


 それでデザート代わりに、ピアディの形のワッフルを勇者君が焼いてくれた。


「名付けてピアディ焼き」

「ぷぅ!(われが焼かれてるようなネーミングやーなのだ!)」

「じゃあ、ウパルパ焼きかな」

「ぷぅ(うむ。それでよし!)」


 ワッフルはバターたっぷりのパン生地に、パールシュガーという真珠粒になぞらえた小さな砂糖の塊を入れて焼いた焼き菓子だ。

 焼き上げるときのバターの豊かな風味や、パン生地特有のしっかりどっしりした歯応え、小麦の旨みが味わえる。


 パールシュガーは焼き上げても溶けきらない砂糖なので、食べたときに〝かしゅっ〟と砂糖粒が崩れる感触を楽しめるのが面白い。


「基本のプレーン生地。紅茶の葉を入れたタイプは優雅な気分になれるぞ。冷めた後、チョコレートでコーティングしたものはまさに絶品……」


 勇者君があれこれ解説しながら焼き上げていく様子に、ピアディも子どもたちも目を輝かせている。


 なお、甘いのが苦手な人用に、チーズや胡椒、ベーコンのチップなどを入れたものもあるらしい。


 そうして焼き上げたワッフルのウパルパ焼きだが、さすがに就学前の子どもたちの食後のデザート用には多すぎた。


 とはいえ、勇者君が生地や味付けごとに一口大にカットしてくれたので、皆は一通り味わうことができた。


「どの味が一番気に入ったかい?」


 影の薄かったウェイター役の聖女様(ねえや)の彼氏や、勇者君とよく似た大きめお兄さんがすかさず子どもたちにインタビューしていた。


「あのね、何も入ってないやつ!」

「プレーンだね」

「ナッツ入りのもー」

「香ばしくて美味だよね」

「紅茶の、おいしかったけど口の中いがいがしたー」

「茶葉そのままより粉末にして加えたほうがよかったかな」

「チョコ、食べるときべたべたするーおいしいけどー」

「コーティングする場合は紙で包んでおくのが良さそうだね」

「ペッパー入りのはパパが好きそう!」

「大人の味もなかなか受けよし、と」


 その様子に、残念ながらワッフルが食べられないピアディは首を傾げている。


「ぷぅ?(なるほど、まーけてぃんぐしてるのだな)」


 とここまでで、お昼の時間は終了だ。


「ワッフルはお土産をご用意してあります。ぜひ、ご家族と一緒に召し上がってくださいね」

「「「「「はーい! ありがとうございました!」」」」」


 さすがに冒険者教室に通う子どもたちだけあって、お行儀良くお返事もしっかりしていた。


 宰相様でもある鮭の人(さいあい)から一人ずつお土産のワッフルの箱を受け取り、頭を撫でられたり、握手したりして、満足して帰って行ったのだった。



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本作の本編にあたる「聖女投稿」はアルファポリスで書籍化のため、なろう版は削除いたしました。アルファ版ページで連載が続いております。
アルファポリス版「聖女投稿」作品ページ(別窓)
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