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僕と君の意見はいつも平行線。

作者: 七瀬







僕と彼女は、全く意見が合わない。

今更思うのは? 何故、僕は彼女と付き合ったのだろう。

何にも共通点のない僕たち。

性格が僕はおっとりいているのに対して、彼女は短気で怒りっぽい。

食べ物も僕は和食が好きなのだけど、彼女は洋食が好きだ。

行きたいところも、趣味も何もかも合わない。

僕は一人で夜、読書をするのが好きだ。

自分だけの静かな時間、でも彼女はみんなで騒ぐのが好きで。

彼女の友達を家に呼んで、よくパーティーをする。

僕は、一人の時間を楽しみたいのにそれも許してくれない。

ここまで違うと、僕と彼女は喧嘩が絶えなくなった。

ちょっとした事で、口論になり取っ組み合いの喧嘩になる。

勿論! 男の僕が本気で彼女に暴力を振るえる訳もなく。

ただ一方的に、彼女にされるがまま暴力に僕が耐えるだけだ。





・・・彼女と初めて出会ったのは?

紅葉が咲いている秋頃だったと思う。

ちょっと肌寒く感じる、そんな季節だった。

僕の男友達が、珍しく僕に紹介したい女性ひとがいると

言って会わせてくれたのが彼女だった。

初めは、おしとやかで口数の少ない彼女を僕は気に入った。

でも、徐々に彼女の本性が見えてくる。

慣れてくると? よく喋るし騒ぐのが好きな女の子だった。

悩み事があっても、寝れば忘れる能天気なコ。

まあ、僕にないところを持っている彼女に魅力を感じたのも

本当なのかもしれない。



『ねえねえ、潤也! こんど皆で私の家でパーティーするんだけど

潤也も来る?』

『えぇ!?』

『じゃあー決まりね! 来週の日曜日の夜9時からだから!』

『いやいや? まだ返事してないよね?』

『迷ってる暇があるなら、来てよ! 待ってるから。』

『・・・・・・』






・・・僕は、彼女に言われるがまま彼女の家に行く。

彼女の家のチャイムを押すと、彼女が出てきた。


『さあー入って!』

『・・・ううん。』




確かに彼女がパーティーと言っただけあって、部屋の中には

彼女の友達数十人が既にお酒を楽しく飲んでいた。

ノリのいい音楽をガンガンかけて、クラブのようになっていた。

僕はそっと一人で部屋の隅っこの椅子に座ってお酒を飲んでいると

彼女が僕に話しけてきたんだ。



『何、一人でお酒飲んでるのよ! さあーみんなと盛り上がって

飲もうよ~』

『えぇ!?』

『ハイハイ! 飲んで~ ハイハイ! 飲んで~』

『・・・マジで?』

『マジで~マジで~』




僕は、彼女に言われるがままお酒を飲んで僕の記憶がプツンと

途中でなくなってしまった。

次に、僕が目を覚ました時には? もう誰もいなかった。

彼女が僕の看病をしてくれていたんだ。



『・・・ごめんね、あんまり潤也お酒強くなかったんだね。』

『いや、僕の方こそごめん、もうみんな帰ったんだね。』

『うん! もし良かったら、今日は泊って行っていいよ。』

『えぇ!?』

『時間も遅いし!』

『あぁ、でも、』

『大丈夫! 潤也は、そこのソファーで寝て、私は自分のベットで

寝るから。』

『・・・ううん。』





・・・なんだか不思議だったんだ。

妙に落ち着いたというか? 自分の家に一人で居るよりも安心する

というか? 僕は、彼女に親近感が湧いたのかな。

その日は、ぐっすりと眠れたんだ。

僕は不眠症で、なかなか寝付けない。

それが、あんなに深い眠りの中に落ちていくなんて。

僕にも信じられなかったんだ。

こんなに、何から何まで違う彼女なのに。

僕はやっぱり彼女がいいと想っている。

僕も彼女も、お互いの友達からは“二人は合わない”と言われ

続けているのにね。

それでも、僕も彼女も【別れたい】というワードを言った事がない。

普段、平行線だと思ってる事でも本当は何処かで繋がっているの

かしれないと彼女だからなのか、想わせてくれる。

僕は彼女がいいんだと心のどこかで強く想ってるいるのかな?





最後までお読みいただきありがとうございます。

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