恋人勝手にラブストーリー〜男
あれは…
首を少し左に曲げて佇むヨーコの姿は
昔と変わらない
遠くから、彼女の姿を認めたタロウは、
遠い昔を思い出していた
それは出逢いの頃まで遡った
彼女は、確かに自分の一部だったはずだ
色々あった
いつからか二人の関係は変わっていったが、
こうして全く別れてしまったとはいえ、
いまだに赤の他人とは、思えない
未練ではないと思う
もう元に戻る事はなく、元に戻そうとも思わな
い
けれど、全く会う前に戻るわけでもないんだ
別れてから、何年も経つ
だが、ヨーコのような女はいない
(当たり前でしょ、私は1人しかいないんだか
ら)とヨーコは言うだろうな
俺にとって、ヨーコのような女はいない
(それでいいのよ)
随分苦労させたな…いじめもした…
(わかってるの?)
泣いてたな…
また、遠くの方を見ると、もうすでにヨーコの
姿はなかった
よく似た人の人違いだったかもしれない
いない…