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自分で自分を殺す方法 ~賞金は百兆円~

作者: 厨二病患者

あ~~~~~なんか疲れたから、夜の変なテンションで書いた、謎な短編を投下~


文字数少ないけど赦してください~

ーーーー1秒で百兆円を稼げるゲーム


売り出し文句は、そういうものだった。


時間加速機能搭載のフルダイブ型VRMMO『THE OTHER ME』。

ゲームに入ると、プレイヤーの体感時間を30758400倍にするという。


計算すると、現実での1秒がVRの世界では1年となる。恐ろしい加速度だ。


世界中の人々が、『それ』を買った。


ある人は、売り出し文句につられて。

その人は、余生を長く感じるため。

この人は、好奇心に誘われて。

あの人は、素敵な未来を求めて。


それぞれが、それぞれの欲望の為だけに動いた。


最後の戦争は、200年以上前に終わり、あらゆる問題も解決された世の中で。


誰もが、このクソったれな現実(世界)厳しさ(ルール)を忘れていた。


◇◇◇


とある、街のはずれにある森の中。そこには、図書館があった。世界中の本全てを取り揃えた無限の書庫。


その中には、住み着く者がいた。あらゆる知識を求めて、己の欲望に従順になった愚者の1人。


その愚者ーーーーいや、魔物は何でも知っていた。何でも知りすぎていた。


この現実(クソ)よりもクソったれな世界の隅々まで。さらには、この物語(つまらない話)のつまらない結末さえも。


そして、今日この時間に君が来て、この文字を読み、君が質問をしてくることも。


「すみませーん、魔物さんは、いらっしゃいますか~?」


本を閉じ、君を迎えに階段を降りる。


「あ、魔物さん、僕はーーーー」


魔物は、君の名前も顔も性格も何もかもを知っている。

興味のないことに時間を割く暇はない。さっさと、2階の温かいスープが待つロッキングチェアへ戻り、本の続きを読みたい。


「え、ちょっと待ってください!」


ドタドタと、足音をたてながら階段を上る君。


「あっ」


勢いよく上ろうとしたせいで、階段の最後の1段でつまづく。


そのまま、転けるとその衝撃で近くに積み上げていた書物が雪崩を起こして君に襲いかかる。


「いてて…………」


魔物は、次に立ち上がった君が掴もうとしたところに手すりが無くて落ちることまで知っていた。


「うわぁぁぁぁ」


しかし、未来は変えられない、変えようともしないし、変えたくない。


もう一度、今度は慎重に君は2階にやってくる。そして魔物が待つ場所へ向かった。

そこには、ロッキングチェアに座りながら、サイドテーブルにおいてあるコーンスープを飲もうとしている魔物がいた。


「え、えーと、魔物さん?実はあなたに質問があってーーーー」


君が口を開くと、魔物は近くに立て掛けてあったステッキを手に取り、一振り。


椅子が現れた。


(ただの椅子なんだ……)


心の声さえも知られているとは思ってもいない君は、現れた椅子に座ろうとする。だが、そこには丁度窓から木漏れ日が差していた。それはとても眩しく、目が反射で細くなる。


君は、手のひらで目の周辺を覆い、光を避けようとする。幸いにも座ると、光は背中からさす位置に椅子はあったので、ようやく君は一息つくことが出来た。


すると、魔物はステッキをもう一振り。


今度は、ガタガタのサイドテーブルと出来立てのコーンスープが出てきた。

君は、出されたコーンスープを、黙って飲む。


「熱っ…………おいしい、ですね……」


魔物はいつの間にか、本を読み始めていた。


(えぇ……)


君は困惑するが、ここに来た理由を話そうとする。


「実は、僕、ちょっと聞きたいことがーーーー」


ーーパタン。


「分かっている」


「は?」


閉じた本をサイドテーブルに置き話始める。


「君が、ここに来た理由、それは自分の殺し方を聞きに来たんだろう?」


「え?何でそれを!?」


「104回目だ」


「はい?」


何度目かの間抜けな声を君はあげる。


「ここに来る者は、迷子か質問のどちらかのみだ」


「はぁ……」


「めんどくさい前振りはおいといて、本題に入ろうか」


魔物が語り始める、そう分かったとき君は喉をごくりと鳴らし、魔物の顔をよく見る。


窓から木漏れ日が射し込み、二人だけの空間を照らしていた。


◇◇◇


「君は、この世界のルールを知っているかな?」


「この世界のどこかにいるもう1人の自分を殺せばゲームクリアで、百兆円がもらえるということぐらいまでは……」


「そうだ。そして、もう1人の自分を殺すまでログアウト不可、ということも知っているね?」


「えぇ、だけど現実ではさほど時間がたっていないことも知ってます」


「あぁ、その通りだ。ゲームクリア者には、その他の特典として、このゲームに自由にログイン、ログアウトする権利も与えられる」


「ていうか、それはチュートリアルでやってましたよね?」


「あぁ、だがたまにチュートリアルを飛ばす輩がいるからね、確認のためさ」


嘘だ。魔物は全てを知っている。君の知識も、全て。


「君は……アンチポデスっていう言葉は知ってるか?」


魔物は唐突に君に質問をぶつける。


「いえ……知りません」


君は、首を横に振る。


「アンチポデスというのは……いわば『もう1人の自分』だ」


「『もう1人の自分』……?」


「そうだ。例えば、君が……そうだな、日本にいたとすると、アンチポデスは、アルゼンチン沖にいて、君がアルゼンチン沖に行くと、アンチポデスは日本に来る、と言ったようにアンチポデスは君の裏側の場所にいて、君が動けばアンチポデスが動き、アンチポデスが動けば君が動くんだ」


「???」


脳内に?マークを浮かべながら君は分かったような顔をする。しかし、実のところは理解できていないことも魔物は知っている。


「昔話をしようか。いつも自分と反対に動くアンチボデス、その性質を利用してとある男はこう考えた。『この丸い星を耐火装備を着て直下掘りすれば良いのでは?』とな」


君はどういうことかと想像し、納得する。答えはそんなにも簡単だったのか、と。


「結果は失敗、そういうべきだろうね。なぜだと思う?」


告げられた結果に愕然とする暇すら与えず、魔物は君に問う。


「相手も耐火装備を着ていた、それだけのことだ」


納得しかけるが、新たな疑問が生まれて納得にたどり着けない。


「穴を掘り始めたのは、()()()その男の考えだったのだろうか?もしかすると、その男のアンチボデスが考えた案を男が()()()()()()()()()のではないだろうか」


「そして、それを恰も自分が考えたことのように錯覚した…………昔話には、必ず教訓が入っている。この昔話での教訓を言うなら、『自分で判断していることなど()()()()()』だろうかね」


君は魔物の発した教訓に驚愕を超え、愕然とする。


「つまり、君がここにいるのは、君のアンチボデスがこの世界に来たからであり、君がこの世界に存在するから君のアンチボデスが生きているんだ」


「だから、アンチボデスの全て…………いやそれ以上のことを知って実行に移すことが出来ない限り、君達は絶対にもう一人の自分を殺すことは出来ない。解放されることもなく、満たされることもなく、自由になることもなく。一生、アンチボデスのために生きるという呪縛を負うことになる」


「それらを拒みたいと、心の底から思うのなら、それを証明するしかない。そう、つまりーー」


その答えはーー



この世界に存在するプレイヤー全員が知っていて。


その実、誰も気づくことの出来ないもの。


それを、達成できたのなら、君は本当の意味でクリアする。


偶然でもなく、まぐれでもなく、寸分の狂いすら残さずに、君達の運命(ルール)を捻じ曲げるしかない。、

君自身が望む方向に曲げることが出来ずに、場合によってはへし折り断ち切らねばならないかもしれない。


しかし、その先にしか望むものは待っていない。君自身を心の奥底まで理解し(知って)、全てを認め(識って)、強さを手に入れ(しっ)て、弱さを体感し(シっ)て。


全てを知るんだ。この魔物のように、全てを、だ」


そう、言い切ると魔物はコーンスープが入ったカップを再度手に取り、本を開く。


いつの間にか、コーンスープは冷めて、窓からさしていたはずの眩しい光は、柔らかい月明かりへと変わっていた。


何をしようか迷いながら、とりあえずコーンスープをちびちびと、飲んでいく。


「…………」


「…………」


スープを飲む音、本のページをめくる音、後は時々聞こえるモンスターたちの声しか聞こえない。


次第に、スープも少なくなっていき、ついにはここにいる理由が一つもなくなってしまった。


どうしたものかと、君が困り始めると、今度は本にしおりを挟んでからパタンと閉じる。


「さぁ、そろそろお別れの時間だ。何か質問はないかね?」


本来聞く必要のないことを君に聞く。


「えっと…………特には」


「そうか、ならこれから奮起するであろう君にお土産代わりのヒントをあげよう」


「ヒント…………ですか?」


「あぁ、そうだ。アンチボデスは…………君たちは例えるならただのコンピューターだ。AIになるための術を見出すんだ」


「はぁ…………」


やはり、魔物の話は理解できそうで、できない。そんな感情を君は困った顔をして表現して見せる。


「では、今から君を『アスラ』の個室へ送ろう。確か、個室番号は307(サンマルナナ)だったね?」


「なんで、僕のギルドの個室を知ってーーーー」


今日一番の、驚愕を浮かべこちらを見つめる君。


「魔物は、何でも知っているんだ、そう、何でも…………ね」



君が魔物の声を聞いたのは、それが最後だった。


君が驚いて、まだ固まっている間に、魔物はたてかけていたステッキを振ってーー





ーーそこには、見慣れた部屋があった。


◇◆◇


その後の魔物は。


「まさか、ゲームのクリア方法がーーーーーーーーーーーーーーーーーーー、だなんて、思っていないのだろうね、彼らは」


()()()外のモンスターの遠吠えがかぶってしまった。


だが、それも決められていてーー

そして、魔物はそれすら知っていてーー



















○月×日△曜日


あぁ…………そろそろだ。海上に放りだされて、何日が過ぎただろう。分からない…………近づく人は皆、突如消えてしまう。ガー、という音とともに。

食糧が尽きて、今日で七日目。


あ…………あ、から……だ、に…………ちか、らが…………ハイ…………ラ………………………………






どこかの誰かのアンチボデスの残した、最後の自己主張は………………………………波に呑まれて、消えた。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーパタン


………………………………変な終わり方して&意味わからん事書いてごめんなさい。



ちゃんとした、もう一人の自分を殺す方法は自分の中でいくつ考えてみたんですが、しっくりこなかったので、あえて明確にはしませんでした。

ですので、もし、「こうすれば良いんじゃね?」という案がありましたら感想に送ってください!


お持ちしています。ていうか、送ってください!お願いしますッ!!

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― 新着の感想 ―
[一言] ちょっとくどいけど雰囲気があって先が気になる
2018/11/01 22:47 退会済み
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