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コンピエニュの戦い・8

 ガリアの命運は尽きた。

 コンピエニュの戦いの天秤は覆る余地がないほど傾いてしまった。



「もうダメだ!」

「持ちこたえられん!」

「て、撤退だ!」



 騎士やそれに雇われた傭兵達は不利を悟ると自然と本陣へと後退を始める。

 だが総攻撃の主力であった国民衛兵隊は奴隷の首輪のせいで撤退命令なく戦闘を放棄することは出来なかった。

 その命令を発する総攻撃の指揮官である【勇者】ジャンヌは元【剣聖】エトワール・ド・ダルジアンとの一騎打ちの真っ最中であり、到底命令を出せる状況ではなかった。



(来る……!)



 数歩飛びのいて間合いをあけたエトワールがサーベルを逆さに握りながら大上段の構えをとる。彼女が得意とする必殺の戦斧剣撃(モルトシュラーク)にジャンヌの頬に冷たい汗が流れた。

 元々、ただの村娘であった彼女に剣の手ほどきをしたのが【剣聖】だ。文字通り痛いほどその癖を熟知している彼女は咄嗟に低く腰を落としてその一撃を待つ。

 そして――。

 エトワールの神速の踏み込みと共に重い一撃が風切り音と共に振り下ろされる。

 ジャンヌは片手で刀身を握りながらスキルに裏打ちされた動体視力と瞬発力で【剣聖】の刃筋を読み、受ける。



「ぐぅ」



 火花が散るほど重いそれを受けたジャンヌは剣を取り落としそうになるが、寸での所で踏みとどまる。その力の機微を悟ったエトワールは器用にもサーベルの鍔をフィエルボワの剣の刀身にひっかけ、ジャンヌの力を利用しながら彼女の剣を引き離そうとする。



(今――!)



 【剣聖】と共に切磋琢磨してきたジャンヌは彼女の癖を痛いほど覚えており、力のベクトルが変わることを熟知していた。

故にフィエルボワの剣を傾け、その鍔でエトワールのサーベルの鍔をひっかけるや、力づくでサーベルをいなす。ジャンヌはその反動を利用して柄頭をエトワールの顔面へと叩きこんだ。

 すると一切の抵抗なく首が飛ぶが、ジャンヌは間髪入れずに前蹴りを放ってエトワールの態勢を崩す。



「これで、終わりッ!」



 素早くフィエルボワの剣を上段に構えるや、渾身の一撃が放たれる。

 痛恨の想いと共に放たれたそれはミスリルの胸甲鎧ごと【剣聖】を両断した。だがそれと共にフィエルボワの剣は中ほどから音をたてて折れてしまった。



「はぁ、はぁ……。危な、かった……」



 どっと汗が吹き出し、思わず戦野に膝をついてしまう。

 それほどの死闘を演じたにも関わらず、彼女に休む暇など与えられなかった。



「【勇者】様! 【勇者】様!! お味方は総崩れ、すでに本陣へ引き上げる貴族が多数で、じきにここは包囲されてしまうでしょう!!」



 すでにガリアの総攻撃に力がないことを看破した正面のオルク王国第二師団は残存の二個連隊を以って反転攻勢にでようとしていた。



「……わかり、ました」



 これだけ戦っても、ガリアは勝てないのか。そうジャンヌは絶望すると共に、周囲を見渡す。

 そこには奴隷の首輪の命令によって戦い続けさせられている民達がいた。

 そう、ガリアは敗れても、まだ【勇者】としての責務は残っている。



「貴方は早く本陣へ」

「【勇者】様は? まさか討ち死を!?」

「まさか。一介の村娘如きが騎士様のようなことはできませんよ。ただ私は民を一人でも多く救わねば」



 今、総攻撃の指揮官となっているジャンヌこそ憐れな奴隷達の主となっていた。

 だからこそ憐れな民衆をこの惨状から救出できるのは彼女しかいない。



「ならば私も供を!!」

「お気持ちだけで大丈夫ですよ」



 民衆の解放はジャンヌだけしか行えない上、ガリア最強を誇る【勇者】を護衛する意味もない。

 むしろ【勇者】の邪魔になりかねない。それを分かってか、騎士は悔しそうに顔を歪めながら剣帯を解く。



「では、せめて愛剣をお受け取り下さい。フィエルボワの剣の代わりにはならぬでしょうが、ないよりかはマシかと」

「ありがとうございます。ですがそれより貴方の槍とマントを。それを旗にすれば目立つでしょう? そうすれば多くの民に私の声が通るはず」

「声はとおるでしょうが、そのような目立つものを持っては御身が危ないのでは?」

「私は大丈夫、【勇者】ですから」



 ジャンヌは騎士の白いマントを槍に結び付け、即席の軍旗を作ると小さく微笑んだ。



「これはいいです。剣よりも旗のほうが四十倍も好きです」

「【勇者】様……。ご武運を!」

「貴方も」



 一礼して去っていく騎士に主の加護を祈りつつ、彼女は南に逃げろ、その後は好きにしろと命じながら戦野を駆けだした。

 だが悲鳴と怒声に銃声の合唱が轟く戦場においてその声はとても小さかった。

 その上、赤い衣をまとったオーク達がいよいよ前進を始め、銃声と悲鳴が近づいて来る。

 それでもジャンヌはありったけの勇気をかき集め、命令に縛られている民衆に声をかけていく。

 しかしその努力をあざ笑うかのように「敵の新手だ!」と悲鳴が立ち上った。



「っ、あれは小村の方角!? ブリタニア連合王国軍が魔族に攻撃をしていたはずじゃ――!?」



 ブリタニア連合王国軍低地人連隊(ディープランダーズ)の猛襲を受けていたプルーサ王国第五師団だったが、軍特火と第五〇〇航空猟兵(ハーピーイェーガー)大隊の増援を受け、これを撃退することに成功していた。

 その優勢な火力を背景に彼らはガリア王国軍が築いていた前衛陣地の一つである小村を強襲した。

 小村の戦力は他の前衛陣地同様に野戦築城による抵抗を試みたが、ガリア王国軍は総攻撃によって予備戦力が払底していたため、最終的に玉砕の憂き目にあっていた。



「く、このままだと――!」



 早く離脱せねば包囲の輪は閉じてしまう。

 だが、彼女の眼前にはまだ戦わされ続けている民達がいる。

 数舜の葛藤ののち、彼女は軍旗を強く握りしめて駆けだした。



「みんな! 撤退、撤退です!! その後は好きに生きてください!! 撤退――!!」



 その様は【勇者】というスキルの名ではなく、まさに勇者然とした麗しい行為だった。

 だがそれと同時にジャンヌは心の中で戦死するであろう自分を許してほしいと両親に謝るのであった。


 ◇


 コンピエニュ離宮から馬を駆って北部軍司令部に着陣すると、わざわざ司令部の前で妻が出迎えてくれたが、なんで仁王立ちしているの? 圧が凄まじいんだけど……。



「め、メリア! 久しぶりですな――」

「……夫殿」



 あ、だめだ。怒られる。

 ピンチに駆けつけて手をさしのべる王道系の登場で越権行為染みた攻勢を許してもらえるのではと思っていたけどダメだったよ。



「余が聞いていた作戦(はなし)とだいぶ違うようだが、大活躍だったようだな」

「え、えぇ。まぁ。猿獣人の生活を壊すのは大好きなので、存分に」

「………………」



 あ、ダメだ。そういうことじゃなかった。

 私怨とはいえ、一応は軍務伯(おれ)が認可した作戦を遂行したと形式上は問題ないはずだけど、軍を私物化しているという謗りは免れないだろうなぁ。



「あの、その、許して……」

「まったく。夫殿は――。まぁ今はただ、来てくれて嬉しい、とだけにしておこう」

「メリア――!!」



 あ、駄目だ。かわいすぎる。

 頬を赤らめ、そっぽを向いて放たれる言葉に、胸が弾む。あぁここが戦野でなければ抱きしめていたな。



「し、してカレン。変則的ではあるが北部軍の指揮下に入ってもらおう」

「仰せの通りに。して、なにをすれば?」

「これより北部軍はガリア王国軍に対し、総攻撃を敢行する」



 現状を整理すると戦線正面で掃討戦に転じたオルク王国第二師団と、右翼から運動してきたプルーサ王国第五師団が敵の突出部隊を包囲しようとしており、殲滅は時間の問題だという。



「なるほど。最後の仕上げを任せてくれるわけですか」

「その通り。オルク支隊に残余のコボルテンベルク王国第四師団を編入して丘を強襲し、敵を分断してほしい」



 プルメリアが合図をすると司令部の中から命令書を携えたオークがやってきた。それを受け取り、流し読みをして共についてきたゴブリンの副官に渡す。



「よくよく理解いたしました。では行ってまいります」

「ん? カレンも出陣するのか? そのような必要はないだろう」

「ま、確かに。ですが猿獣人がくたばるその瞬間を見ておきたいので」

「飽きるほど見てきたのではないか?」

「まだ見足らないだけですよ」



 するとサッと妻の顔が曇ってしまった。

 ったく、これだから童貞は……。

 自分の無思慮さに腹が立つが、それが正直な感想だった。



「プルメリア。俺は猿獣人共が思い描くような、テンプレ(典型)どおり人間の村や町を襲って焼いていくのが楽しくて仕方ない、邪悪なオークなのです」

「……だが、それと共に余を、愛息子(アルテミシア)を愛する夫殿でもある」

「メリア……!」

「今更いうことはない。そういう一面もふくめカレンはカレンだからな。ただ武運を祈っている」

「ありがたき幸せ」



 あぁ! かみさま――!! どうして! どうしてなのですか!? 俺の前世がニートだったというのに! 母さんの心配を他所に現実逃避をしていたというのに! 父さんがローンを組んで買った家を燃やしたというのに!

 これほど幸せてを味合わせてくれるのですか!? こんな俺でも“よし”としてくれるのですか!?

 あぁ! かみさま――! ありがとう。ありがとうございます。


 ◇


「ナイ大司教猊下、諸々の準備が整いました」



 破壊の限りを尽くされた離宮の傍らでせわしなく仕事に励む星字軍の騎士達を見ていると星職者の一人に声をかけられた。

 どうやらカレン様の要請に基づいた星字軍の攻撃準備が整った模様のようだ。



「異端審問の方もですか?」

「滞りなく。しかしよろしいので? 先ほどあのオークに戦が落ち着いたら行うとおっしゃられておりましたよね? それにイスパニア異端審問所のトルケマダ総長はこれから出陣なされるのですよ。その間に勝手に審問を開くのは問題なのでは?」



 その”主の犬”たるイスパニア異端審問所の長が不在だからこそ異端審問をしなくてはならないのだ。

 そうでなれかばわたしがあの()()()()()を裁く機を逃がしてしまう。



「確かにわたしのような若輩が異端審問の専門家であるトルケマダ総長の代わりになるとは思っておりません。しかし被告はこの異端騒動の首魁なのですから、軍団指揮官としてこの異端騒動の総括を行わねば」



 なるほど、と頷かれると建てられたばかりの天幕――即席の異端審問所へ案内をしてもらう。

 天幕に入ると騎士に押さえつけられたケラススが憎々し気にわたしを睨んでいた。

 だが、その理知的な瞳には弁論で自分の正しさを証明できるという自信が読み取れた。



「大司教猊下、異端に落ちたとはいえ、ケラスス司祭は神学校を首席卒業なされ、弁論がたつと聞きます。万が一に論争に負けた場合――」



 それはこの星字軍の意味が瓦解してしまう。だからこそ教学に精通し、幾人もの異端者を裁いてきたトルケマダ総長が審問官になるべきなのだろう。

 それに対し、わたしの成績は後ろから数えた方がはるかに早いし、異端審問の経験も浅い(数回書記をした程度だ)。

 だからケラススはわたしのような出来損ないくらい軽く論破してやろうと思っているに違いない。



「秘策があるのでご心配なされずに。それでは始めましょう」



 天幕に並べられた机に付き、小槌(ガベル)を打ち鳴らす。すると早速ケラススが口を開こうとする気配があった。まだ開廷の宣言もしていないというのに、せっかちなのだから。

 まぁその頭でっかちな無思慮さがわたしに復讐の機会を与えてくれたのだが。



「これより異端審問を開廷いたします。被告ケラスス。貴女の魂は罪深く救済は不可能と判断し、土刑に処します。これにて閉廷」



 小槌(ガベル)を打ち鳴らして立ち上がるが、天幕につめた誰もが固まっていた。

 まぁ弁論で勝てないのは分かりきっているので、一切の弁論などさせるつもりはない。



「ち、ちょっと待ちなさいよ! こ、これが審問!? やり直しを要求するわ――」

「異端者の言葉は聞きたくありません。速やかにその()()()()()の刑を執行するように。さもなくば騎士殿も異端の片棒を担いだと告訴せねばなりません」



 すると騎士は慌ててケラススを引っ張っていく。それと入れ違いに審問に参加した者達がなにか言いたげに目配せしていた。

 だが誰も表立って反論を口にする者はいない。

 それはそうだ。主の代理人たる教皇猊下より信仰秩序回復の全権を委任された大司教に逆らえる者など、存在するわけがない。

 さて、判決も言い渡したので居心地の悪い天幕を出てケラススの後を追う。

 するとマジックキャスターの土魔法によって作られた二メートルほどの深さの穴から彼女の悲鳴が聞こえてきた。



「審問を! 審問をやりなおしなさい!! こんな不当なことがまかり通るはずがない!」

「おやおや。まだ元気が良いですね」

「ナイ!? あんた――! この薄汚い出来損ない! 貴女は私に勝てないからこんな卑怯な手で口を塞ごうとしているけれど、正しい教えに目覚めた人々は必ず教皇庁の腐敗と暴挙を――ぺっぺ、土をかけるんじゃ、ぺっぺ、ちょっ!? やめ――」

「あぁ主よ……!生きることとは素晴らしいことなのですねぇ」



 あの頃――神学校を卒業してガリアに放逐された頃はこんな気持ちになれるとは思ってもいなかった。

 前任の司祭が事故死したというので辺境の小村の教会守りをしていた頃は生きているのか死んでいるのかもわからない、無味無臭な人生だった。

 村人達はわたしの肌の色を気味悪がっていたため、教会に近づく者は少なかった(前任の司祭があくどいやり方で免罪状を村人に買わせていたため、()()()したという噂があったので、教会への不信もあったのかもしれない)。



「や、やめなさい、こんなことをしても主はお喜びにならないわ。今こそ正しい教えに帰依を――。ぺっぺ、話を、話を聞いて――!」




 祭事以外で教会に来る者は少数で、それらは往々にして若き乙女の身体を欲してのことだった。

 もっともわたしはいつ死んでも良いと思っていたので文字通り死ぬ気で抵抗したら、想定外にもそうした者を殺めてしまった。

 そうしたことが二度、三度と続くと夜這いは止まったが、あの日は久しぶりに不信心者が教会を訪れていた。



「や、やめ! やめて! ナイ、貴女復讐がしたいの!? 神学校のことなら謝るから」



 わたしはそれを無事に処理し、片づけようと荷車を牽いて川にそれを捨てようよしたのだが、そこにあのオークがいた。

 そのオークは闇夜でもわかるほど頭と肩から血を垂れ流しており、命の灯火は今にも消えてしまうと思うほど重傷だった。

 だがオークはしきりに「殺す」「復讐してやる」「人間め」と呪詛を吐いていたが、しっかりと「母上、父上」といった。


 たぶん、その時宿った感情は”憎しみ”だったろう。


 オークでさえ父と母を慈しむ言葉をもらすのに、わたしはそれがなかったからだ。

 その時、わたしは悟った。彼がわたしの死になるのではないか、と。



「いやああ! こんな死に方!! お願いたすけて! たすけて! あああッ!! かみさまあああ!!」



 自分から死ぬ事は星々が禁じて久しい。ならばこの生き苦しい世界から脱出するには他殺しかない。

 きっと彼はわたしを殺してくれる。でもそれには深手を負いすぎている。助かるかはわからないが、彼に手をさしのべねばわたしが殺されることもない。

 ならば――。

 そしてわたしは苦労して大柄なオークを荷車に押し込み、やっとのことで教会に戻り――。



「………………。……」



 気がつくとケラススは土の中に消え、今はただ騎士がスコップを振るう音が響くのみだ。

 掘るのは魔法でよいのだから埋めるのもそうすればいいのに。まぁ土刑に処された者の魂が救われることを祈りながらスコップを振るわねばならないので仕方ないが。



「っ!? なんてことだ、遅かったか!?」



 がしゃがしゃと甲冑を騒がしくさせながら老司教が駆け寄ってきた。



「トルケマダ様? 出陣なされたのでは?」

「異端審問の真似事が行われたと聞いてな」



 トルケマダ様の後ろには先ほどわたしを呼んだ星職者がいた。

 さすがにわたしの問題行為を上司に報告したというところか。まぁわたしの目的は果たせたのだから今更どうでもいいが。



「先の審問について話を聞いたが、どういうおつもりです? 納得できる話をしていただけますよね?」

「おや? 妥当な判決では? アレはガリアに異端を広めた元凶。死以外に償う方法はありますまい。なにより異端審問とは本来、教皇猊下の管轄するものでイスパニア異端審問所の専売特許ではありませんよ」

「そのようなことを聞いているのではないッ!! そもそも異端審問とは悪人を裁くためのものではない。星々の代理人として穢れた魂を救うためにあり、その結果として死があるだけだ。だがお前が行ったものはなんだ? あれのどこに魂の救済があった!? 貴様はただ、その血塗られた舌で殺人を行ったにすぎん!」



 おやおや。やはり話通りにお堅い人だ。クスクス。



「つまりトルケマダ様は星字軍遠征軍団長の判決に異を唱える、とおっしゃるので?」

「……なにが言いたい、小娘?」

「簡単なお話ですよ。”主の犬”と謳われてイスパニア異端審問所は良い気分なのかもしれませんが、元々異端審問は教皇猊下の管轄下に行われてきたものです。それを特別な許可で独立した異端審問機関が作られた。これに教皇庁が不満を抱かないとでも? もし”主の犬”が異端者と内通している疑惑ありと軍団長たるわたしが教皇庁に報告したら、事実の如何はともかくどうなることでしょう」



 そう、わたしは大司教という、軍団長という絶対的な切り札を握っている。

 わたしが黒と言ったものは白でも黒くなるという力のある切り札だ。



「……”殺す(なか)れ”という十戒を破ったのだ。貴様は地の底に堕ちるぞ」

「クス、クスクス。言うに事を欠いて負け惜しみですか。ですがそれは良い。わたしは確信しました。異教徒の娘と虐げられたわたしが大司教となり、皇帝さえ跪かせられることができる。この世界の創造は完璧でした。そうでなければ不正義の塊であるわたしの復讐が成就する訳がない!! ならば主の創られた地の底ももまた完璧なのでしょう。今から行くのが楽しみです。クスクス。クスクスクスクス!!」



 トルケマダ様は顔を怒りで赤くしていたのに、途端に色が青白くなっていく。

 そして胸の前で五芒星を切りながらいった。



「教皇猊下が遠ざけられるはずだ。いや、あの人の子なのか? こんな、こんな這いよる混沌のような存在が……。あぁ、主よ――」

ラストまで追い込み気味のため戦況が動いておらず申し訳ないです。

予定ではあと本編一話とエピローグを残すのみです。


それではご意見、ご感想をお待ちしております。

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