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ピオニブール攻略戦・2

 ピオニブールは深夜になろうと未だ喧騒が消えなかった。

 そんな暗闇に沈む街の地下――エルフがピオニブールを統治していた頃に建設された下水道を歩む一団があった。



「しっかし、エルフって種族は大したものだな。エール帝国の遺産ってやつか? 大昔にこんな物を作っちまうんだから驚くばかりだぜ」



 金髪に碧眼、日に焼けた健康的な肌をした青年が石畳で出来た天井を見上げてこぼす。しかし視線を外しても油断なく双剣を握り、臨戦態勢を解かないのはさすがBランク冒険者であるといえた。

 そんな剣士に言葉にお代年ほどのハーフエルフの女性が得意げに答える。



「でしょ、エルフは凄いのよ!」



 体形はほっそりとしており、胸や尻などの女性らしいまろやかさが足りない彼女もまたエルフに似た特徴を有する耳をせわしなく動かし、周囲の気配を探る。レンジャー職らしく、短弓に短剣という出で立ちだが、彼女の背負う矢筒は空っぽになっていた。



「別に貴女のことを褒めていない」



 人形のように無機質な表情をしているが、どこか品のある相貌をした少女がそう言う。彼女は身の丈ほどの杖に光を灯す魔法を唱えており、それが深淵に支配された下水道を明るく照らしていた。

 そうした三人の後から全身鎧に身を包んだ精悍な顔に影を浮かべ続く。彼は星職者であることを示す五芒星の描かれたサーコートとペンダントを身に着けている。



「みなさんをこんな戦に巻き込んでしまって、申し訳ありませんでした」

「今更なにを言っているんだ? 教会の人間でも、あんたは同じパーティーメンバーじゃないか」

「そうよ、そうよ。治癒魔法で何度も危ないところを助けてくれたじゃない。今度はこっちの番よ」

「肯定する。それに魔族を倒せばお金が手に入る。今回はぼろ儲け」



 陰鬱な表情を浮かべる星職者に対し、パーティーの仲間達は温かく言葉を返す。それに険しかった表情も緩み、小さくありがとうと呟く。

 その間、時折ではあるが頭上が揺れて砂が落ちて来る。夜間になっても魔族の砲撃は絶えることはなく、着々とピオニブールを破壊しようとしていた。



「おい、この下水道、崩落しないよな?」

「大丈夫でしょ。数十年も昔からある代物なんだから」

「だからといって崩落しないことはないと思う」

「そうですよ、まったく楽天的なんですから」



 軽口を叩いて恐怖を紛らわす彼らはつい先ほどまで魔族達の攻勢を凌いでいた冒険者の一部だった。

 だが数に物をいわす魔族達によって守備していた区画が包囲される危機を迎え、やむなく下水道を使って脱出を図ろうとしていた。



「さて、こんな臭いところからさっさと脱出したいんだが……」

「ねぇ、あれ! 点検口じゃない?」



 ハーフエルフの女性が指さした先には下水道の整備をするために設けられた梯子が壁に設置されていた。そこに近づけば頭上に石で出来たマンホールが静かに鎮座している。

 こうした高度な下水道が整備された街はガリアでも珍しく(王都パリシィでも暗渠式のものは存在しない)、古代エール帝国の技術を受け継いだエルフ達の街だったからこそといえた。



「よし、様子を見て来る」

「気を付けてよね」



 視線を交錯させ、青年が梯子に足をかける。それを背後から見ていたマジックキャスターと星職者は互いに顔を寄せあい、相変わらずお似合いの二人だと囁き合う。



「この戦が終わればあの二人、入籍だそうですね」

「ん。パーティーが解散するのは惜しい。けど二人が幸せになるなら」

「それを言うなら貴女もですよ。もうすぐ借金を返済できるそうですが、そろそろご自分のことを考えては?」

「ありがと。でも、まだ妹たちのこともあるし……」



 没落貴族の親が作った借金返済のために身を粉にして働く彼女のことを知っている星職者はこういう人こそ主の助けが必要であると考えていた。

 しかし教会のしがらみと腐敗は目に余るものがあり、それを憂いて教会を離れ、冒険者として活動していた星職者にとってこの“聖戦”は参加せずにはいられないものであった。

 だが、それでも冒険者として苦難を分かちあってきた仲間を危険にさらすことに躊躇いを覚えないといえば嘘になる。

 だからこそこんな戦に巻き込んでしまった自分を仲間として支えてくれる者達に星職者は静かに頭を下げるのであった。



「よし、開きそうだ……!」



 十数キログラムはあるマンホールが音をたてないように開けるのは至難を極めたが、ゆっくりと開口部から夜気が流れ込んでくる。

 それと共に青年はふと目の前を横切るナニカに気がついた。そのナニカ――深紅の軍服に身を包んだオークも同時にマンホールから顔を出す青年に気づいた。



「あ?」

「ん? え!? にんげ――。え!?」

「うわ、やべ!」

「に、人間だ!! 人間が隠れているぞッ! 擲弾! 擲弾持ってこい!」



 間抜けな声から一転、両者とも予期せぬ出会いに慌てふためく。

 青年は素早く梯子から飛びのき、仲間達に指示を飛ばす。



「まずった! 逃げるぞ!!」

「もうなにやっているのよ!」

「――不用心」

「まぁまぁ、生き残れたら責任をとってもらい――」



 言葉をかき消すようにマンホールの蓋が乱暴に開けられ、火花を散らす玉が投げ込まれる。冒険者の直感が警笛を鳴らし、四人が一斉に駆けだすが、その努力もむなしく擲弾が爆ぜた。

 暴力的なエネルギーが狭い下水道に乱反射し、内包されていた鉄片が狂ったように暴れまわる



「ぎゃああッ!?」



 鉄片の洗礼を受け、誰ともいわず悲鳴が木霊する。

 もっともオーク側もまさか地下に人間がいるとは――そもそも下水道の存在さえ知らなかった――思わず、二個、三個と擲弾がダメ押しといわんばかりに投下される。

 そんな混乱に満ちた夜はまだまだ続く。主力の後退に取り残された騎士や冒険者、民間人の有志による防衛隊が玉砕覚悟の抵抗を見せ、それを魔族達は苦労しながらも殲滅していく。もちろん苛烈な抵抗には苛烈な報復が行われるのは世の常だ。

 故にピオニブール外郭地区は復興が絶望的なほどの爪痕を刻んでいくことになる。


 ◇


 南部軍司令部に届く各部隊からの報告を幕僚や秘書官達がまとめていく。

 その結果だが……。



「進軍が鈍化しているではないか。作戦ではすでに第二城壁までの突撃路を確保しているはずではなかったのか?」



 ジロリと参謀連中を見渡すと、ドラゴニュートの参謀長が顔を強張らせながら「敵の抵抗が思いのほか激しく……」と絞り出すように言葉を紡いだ。

 言い訳かな?



「ほう?」

「い、いやその、はい。遅延が解消できるよう、最大限の努力を行う旨の指示を布告いたします。ただ――」



 静かに参謀長を見据えると、彼は頬についた鱗に汗を流しながらしどろもどろに言葉を継ぎ足していく。



「そ、その、人間共は卑怯にも決戦を避け、住居一つ一つを拠り所に頑強な抵抗をしており、制圧に時間がかかっているのが現状でして……」

「数では敵を圧倒しておろう。どうして押しつぶせぬ?」

「その件につきましては、我々参謀も首をひねるばかりで……。仮説ではありますが以下のように考えます。まず、ピオニブールという街はエルザス公国崩壊後、ガリア人の入植によって無秩序な都市開発が行われ、複雑で見通しの悪い市街地が出来上がっているとアキレア情報参謀は考察しております。そこに特火の射撃によって破壊された住居の残骸で街路が塞がれ、より複雑さを増しているのも一因かと」

「つまり進軍に適した道がないと?」

「はい。つまるところ地の利がないという点であります。また、敵はそうした瓦礫や住居に身をひそめ、友軍が通過した後に背後から奇襲をしかけてくるらしく、現状は建物一つ一つの占領を確認してから進軍しているため、それも鈍化につながっているものと推察いたします」



 むむ……。

 でもよくよく考えると前世でも最新のハイテク兵器を多数保有する某世界の警察も市街戦で散々苦汁をなめていたし、このファンタジー世界なら尚更苦戦するというものか。

 それに市街戦となれば近接戦闘(CQB)がメインとなるだろうし、そうなれば個人の力量差も当然大きく影響を及ぼすことだろう。この点、オルク王国軍やゴブリシュタット公国軍は全くもって自信がない。

 そもそも新式軍制の強みは軍という一つの組織に兵士を集約し、組織としての戦闘能力を底上げすることに焦点を当てているため個人的な戦闘技量は二の次、三の次となって重要視されていない。むしろ重要視しないよう改革をしてきた(だってそっちのほうが練兵課程を省けるからね)。

 それが裏目に出ている。



「確か、先の会戦でデモナスは戦闘能力に秀でた戦闘団を臨時に組織していたな。それと同じことができぬか?」

「検討してみますが、根本的な解決にはならないかと」

「………………。……? どういう意味だ?」

「はい、その……。大変、申し上げにくいことではあるのですが、私見を述べますと、その……。人間共は戦う以外に選択肢がないという点も考慮すべきかと」



 ん? うん? えと、まるで意味がわからないのだけど。

 それは空が青いことと同じくらい当たり前のことじゃない? そう見返すとドラゴニュートの参謀長は言葉を選ぶように口の中で何かを紡ぎ、清書をするように話し出した。



「人間を魔族の捕虜にする者はおりません。逆もまた然り。故に、連中は、そして我々も死中に活を求める他ないのです」

「………………? ……あ、なるほど。そうか、まぁ考えてみれば当たり前のことか」



 やっと彼が何を言っているのか分かった。

 つまり連中が切れるカードは“戦わずに死ぬ”か“戦って死ぬ”そして“戦って生きる”の三枚しか持っていない。で、魔族は捕虜を取らないから当然“戦わずに生きる”という選択肢は最初から存在しない。

 生きるための選択肢が一つしかないのだから連中も必死の抵抗を試みるというわけか。まったくもって忌々しい。



「ならば進軍速度の低下には目を瞑るほかあるまいな。ならこの際、確実に、丁寧に、くまなく猿獣人をピオニブールから消滅させよ。駆逐ではないぞ? 消滅だ」

「畏れながら閣下! そのようなこと現実的ではありません! 地の利がない上に複雑な市街地を制圧するのにどれほど兵力がいることか! そもそも『黄色(ゲルプ)』は敵野戦軍の誘引と拘束が主目的の補助攻勢作戦です。戦況が泥沼化して我が軍が極度に消耗すれば戦線維持の都合上、北部軍から予備戦力を引き抜くことになりかねません。そうなれば本末転倒でしょう。ここは逆に考え、先頭の早期終結のため降伏の余地を与えてはいかがでしょうか?」

「こーふく? 降伏だと? く、フハハ」


 この参謀長、中々面白いことを口にするのだな。



「あぁ、そういえば参謀長は南部軍が開設される前――。まだ南部諸侯総軍だった頃から我が妻にも参謀長として仕えてくれていたな。妻とは長いのか?」

「……ブリタニア留学時、御付武官としてご同行させていただき、そのご縁で参謀長に推薦していただきました」

「おぉ、なるほど。ブリタニア被れというわけか。確か、ガリア人はブリタニア人を”ドラゴニュート”ではなく”リザードマン”と称し、魔族とは区別して友和を育んでいたようだな」



 他にも連中はコボルトをワーウルフ、ノームをドワーフと名を変え、区別という名の差別をしている。

 人間とは心根の意地汚い種族だが、その差別を盾に同族を手にかけるワーウルフだとかドワーフだとかはまったくもって許し難い。種族への裏切りだ。



「で、貴様はガリア人に親しいリザードマンなのか? それとも星々の恩寵厚き皇帝陛下のドラゴニュートなのか? え?」



 顔を青くしてリーリエ陛下への賛辞を叫ぶ参謀長に司令部の意見は決まった。

 まぁ、最初から選択肢などないのだから仕方がないのだ。それに今、ガリア人の心は悪しき歪んだ教えに汚れてしまっている。今生でこれ以上の罪を重ねさせないためにも迅速に浄化してあげねば可哀想だ。

 もっともその決定に参謀長は異を唱えるべきかと逡巡する気配を見せてきた。ここまで言葉を使ったのに理解できないの? あ、もしかすて連日の作戦で疲れているのかな? なら静養のできる部署に配置替えしてあげようか――。

 そう考えているとゴブリンの副官が「あの、軍司令官閣下」と割り込んできた。



「……なにかね?」

「作戦の遅延を憂慮するお気持ちも理解できますが、概ね大局に影響のない範囲であると考える次第です。ですのでそろそろガリアの御客人に会われてはいかかでしょうか?」

「あぁ、そういえばそのような者が来ていたな」



 数日前に寝返りたいと寝ぼけたことをいってきた貴族がいたが、あの後二度ほど使者と面会し、話だけでも聞いてやるかと返事をしたら今日わざわざ単身で南部軍を訪ねてきていた。



「確か……。なという貴族だ? がり、がり……」

「ガリヌス公爵です。ガリア王国屈しの大貴族で、王族とも血縁のある有力者です。もう朝から待たせておりますし、作戦の修正であれば幕僚のみで検討いたしますので軍司令官閣下が離席されても問題はないかと」



 すっかり忘れていたが、まぁゴブリンの副官の進言通りそろそろ会ってやるか。

 でも参謀長と認識の齟齬を埋めたいところではあるが……。いや、やめとこう。彼も時間を与えれば考えを改めてくれるかもしれない。きっと副官はそれを見越して割って入ってくれたのだろう。

 それにいつまでも上司がいては息も詰まっちゃうよね。



「では例のガリア貴族と会ってみるか。新しい奴隷が増えるか、スケルトンが増えるか賭けでもしていてくれ」



 忍び笑いが響いてやっと司令部の空気が剣呑だったことに気がついた。

 おっと、これはいけないね。もっとアットホームな職場じゃないとモチベーションも下がっちゃうし、それは仕事の効率が落ちてしまう。やはり高効率のお仕事をするには良い職場じゃないとだめだよね。反省、反省……。やっぱり俺も疲れているのかな?

 そして副官と護衛の銃兵を連れて南部軍司令部から離れた粗末な兵卒用のテントが建てられたところに向かう。



「しかし、軍司令官閣下。よろしかったので? 兵卒用のテントをあてがうのはその、公爵様にする行いとは言い難いものが」

「所詮人間だ。テントをやっただけ恩情というものではないか?」

「お言葉ですが、アレは間違いなくガリア一の名門貴族です。それに、星字軍への参加の嘆願とはいっても事実上の単独講和ではないでしょうか? その時は受託なされるのですか?」



 ガリア貴族が単体で――。それも王家の血を分かつ公爵家が単独講和なんて夢物語だと思うけど。

 いや、魔族国の貴族も魔王様から与えられた自治権を盾に勅命を拒むような例もあるし、そこらへんの事情がガリアは違うとは言い難い。

 そう考えると単独講和という可能性もなきにしもあらず、か……。



「深く考えることはない。どうせ明日には奴隷かスケルトンだ」

「お言葉ですが、当主をそのような目にあわせたとなれば一族郎党皆がかたき討ちを行うため挙兵するでしょう。それは得策ではないのでは?」

「く、フハハ。面白いことをいう。先の会戦でガリアの野戦軍を撃破したばかりではないか。そのような抵抗ができる兵力など、もう残ってはおらんだろう。もし取りこぼしがいたとしたら探す手間が省けるというものだ」

「……差し出がましいことを申しました。ご容赦を」

「よい、許す。では参ろう」



 周囲を警護――という名の監視を置いていた兵士達に答礼しつつテントの中に入ると粗末な蝋燭が辛うじて幕内にいた嫌に気障な顔を照らしていた。



「お待たせしたかな? 作戦指導が忙しく、今時分になってしまっった。あぁ、俺はカレンデュラ・オークロード・フォン・オルク。畏くも魔皇陛下より大公並びに軍務伯位、帝国元帥、そして南部軍司令官を拝命している」

「オルク閣下! お会いできてうれしい。私はガリヌス公爵家が当主。ディーオチ・ド・ガリヌス。ガリア王陛下よりロタンギリア地方の統治並びに国境鎮護の任を賜っております。この腕は先のヌーヴォラビラント――貴国でいうウルクラビュリントを巡る戦いで失ったものです」



 隻腕をさらし、彼は続けてあれは両国にとって激しい戦であったと言い出したが、まだ社交辞令が足りないのかな?

 てか、思ったより猿獣人と話すとストレスを感じるんだな。手短に終わらそう。それに明日も作戦指導で忙しいだろうし、早く寝たいからね。



「前置きは省きましょう。で、星字軍遠征への協力の申し出であるが、ガリア貴族の貴殿がどのような協力をしてくれるのかね? まさか金を渡して命乞い――単独講和という訳ではあるまい?」



 聞いておいてなんだけど、もし副官の懸念が的中していたら――単独講和だったらどうしよう。あんな風に言っちゃったけど、冷静になって考えると交渉相手を殺したり奴隷にしたりってヤバイよね。オルク王国の評判が地に落ちそう。


 となると講和条件は? 賠償金や領土の割譲は当然だが……。あまりに難題をふっかけると話がこじれてしまうし、戦略上の観点から無暗に敵を増やすと今後の作戦指導に支障がでるかも……。 

 いや、一軍司令官が判断できるものではないから回答は保留にすべきだ。とにかく今は要求を聞くだけ聞いてやろう。どうせ殺生与奪の自由はこっちにあるんだ。



「結論を急いては相互理解に齟齬を生む恐れがあります。まず、此度の戦役に関してですが、これはガリア王国と魔族による対外戦争ではなく、ガリア内に跋扈する異端と、諸外国の援助を受けた教皇庁との戦であると認識しております。現にガリア貴族も少数ですが、そちらの星字軍に加わっているはず。つまり我がガリヌス家と魔族は過去に一戦交えましたが、現状において我々は戦争状態ではないと確信をもって断言する所存です」



 なにその超理論……。コイツ、口から生まれたんじゃないのか?

 ちらりと副官を盗み見ると頭を押さえているのが目にはいった。これは俺じゃなくても頭の痛い問題だよ。



「あー。国対国の争いでないという点においては、まぁ同意しよう。で?」

「星々の教えに反を唱える不埒者をのさばらせてしまったのはこの身の不徳のいたすところ。しかし公爵とはいえ、辺境においやられた外様であることに違いはありません。今や王宮は司祭ケラススという悪魔に唆されたルイ殿下の暴政を許すがままになっており、わが身の非力さに涙する日々を送ってまいりました。しかし! しかし今ここに教皇庁の援軍がやっと到着したではありませんか! これはまさに天の星々が我がガリヌス家に奸臣を討てと御啓示を示されたに他ならない!! 時は来れり! 今こそガリヌス家は堕落した王家を忠罰を加え、新たなるガリアの統治者とならんため、涙を呑んで同胞を討つ所存です!!」

「ほう。………………。……ぇ?」



 え? なに? え? え? なんていった? 同胞を討つとか、涙を呑んでの前に、なんて?

 思わず副官を見やると、彼は口を開けたまま硬直している。

 誰も、誰もこの状況を理解していない……!



「ですから、ガリアに正しい神の教えを、正しい王を、正しい国を取り戻すため、私はガリア王を討ち、新たな王となるのです。そのご協力を願いたい」



 そしてこの男はニヤリと不敵に唇を歪めた。


オーバーロードオマージュ回でした。まさかあんなヒドイことになるなんて(歓喜)



また、私事ではありますが、現在新作を準備しているため投稿ペースを二週間に一度に落とします(昔の私はどうやってこのペースを維持していたのか……)。

新作に関してはマスケットとファンタジーな世界で市民革命の話を書いており、十万字ほどかき上げられたら投稿する予定です。


それではご意見、ご感想をお待ちしております。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ディーオチ君が全然オチない点。 さてはゾンビだなオメー
[一言] つまりこの公爵は最前線で星十字軍の援誤を受ける肉壁になりたいと申すか…殉教者の鏡かな?
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