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信仰と新式軍制

 リーベルタースから帰国して二ヶ月。

 カラッとしたオルク王国の夏を迎えたオルクスルーエの城門にて従者の用意させた折りたたみ椅子に腰掛けていると城門の警備に当たっていた番兵がおずおずと近づいてきた。



「閣下。間もなく昼食のお時間となります。一度お城に戻られては?」

「いや、大丈夫だ。もうすぐ来るだろうから俺に構わずそちらはそちらで昼を取れ」

「は、はぁ……。我々のことをご心配くださり恐悦至極に存じますが、閣下は()()()()()城門にお詰めになられているではありませんか」

「なに、大事ない」

「ですがこの暑さですし、閣下は政務の合間に休むことなく練兵に取り組まれているではありませんか。このままではお体に障ります」

「だから大事ないと――」



 ズキズキとした頭痛と共に怒りが沸き立つが、俺の短気を知る番兵はすぐに「出過ぎた真似を」と一礼して去っていった。

 うーむ。猿獣人に頭を斬られて以来怒り癖がすっかり根付いてしまった。叔父上からも治せと言われているが、自分でも怒りが堪えられなくて困っている。はて、どうしたものか……。



「ん?」



 思い悩んでいると街道の向こうから一台の箱馬車が見えた。そこには星神教を表す白地に赤色の五芒星が描かれた御旗がはためいている。間違いない。あれだ。

 喜色を押さえられずに椅子から立ち上がり、馬車を待つことしばし。城門の前で止まった馬車から黒い法衣を着込んだ浅黒い美少女が降りてきた。



「ナイ殿! お久しゅうございます!」

「カレン様もご壮健そうでなによりです。どうやら待たせてしまったようですね。申し訳ありません」

「いえそのような事はありません! 今来たところです。そうだろ?」


 番兵がコクコクと頷くのに満足していると感情の起伏に乏しい糸目が緩やかな弧を描く。



「積もる話もありますが、まずは教会の建設予定地に寄りつつ我が城へご案内いたします。まだ教会も宿泊所が完成していないので、しばらくは城に居を構えていただきます」

「これはこれは。手厚い歓迎に感謝いたします」



 ナイ殿が乗っていた馬車に二人で乗り込み、街に入る。



「リーベに比べればなんとも寂しい限りではありますが、これでも現状、我が国の中で最も栄える街です」

「ここが……」



 車窓を伺うナイ殿の顔に「え? 本当に栄えているんですか?」と言いたげな雰囲気を感じ取る。

 暑さの降り注ぐ街並みは確かに地方都市のような微妙な賑わいしか見せておらず、リーベから比べれば寂しい限りと言えた。



「教会ですが、リーベルタース式の街造りに則って街の中心付近に建立しようと考えております」

「それは良いお考えですね。街の中心ならば人通りも多くて布教しやすいことでしょう」



 まぁ土地の取得には一悶着あったが、今は無事に土地を接収出来て安堵している。

 そして大路を行くと街の中心にある城が見えてきた。その真向かいに学校の敷地ほどの土地が用意されていた。

 ここは元々王城に近いため家臣用の邸宅として使われていたのだが、持ち主が俺の怒りを買ってしまい、持ち主が居なくなってしまったので心おきなく屋敷を潰し、更地にしてしまった。



「ここが教会の予定地です」



 その更地は今、土台が完成し天に向かって柱が乱立し始めるところだった。帰国早々に教皇庁が設計図を送ってきてくれたのでそれ通りに建設を進めており、予定ではあと二ヶ月くらいで完成するそうだ。



「あの作業に当たっているのはドワーフですか? 魔族国にも住んでいたのですね」

「ドワーフ? いえ、俺達はあれをノームと呼んでいます」



 乱立する柱を巧みに組み立てる小身なれどがっしりとした体を持つ髭面の種族――それがノームだ。彼らは生まれつき手先が器用で鍛冶師や大工として生計をたてている。

 ……言われてみれば前世で言うところのドワーフの特徴を持っているな。ドワーフなんて魔族国じゃ言わないから気づかなかった。



「彼らは建設のプロフェッショナルですので必ずやナイ殿の期待に添う教会を造ることでしょう」

「それは楽しみです――」



 その時、ナイ殿の言葉を遮るようにドンという遠雷のような音が響いてきた。それに彼女は不思議そうに空を見上げる。



「晴れているようですが、珍しいですね。魔族国ではよくあることなのですか?」

「あぁ。これは研究中の兵器の発する音です。天候は崩れませんのでご心配なく」

「兵器? 例の復讐のためのですか?」

「えぇ。そうです。ま、そちらの方は中々上手く行っておりませんが」



 思わず肩をすくめるとナイ殿は「成功を祈願しておきますね」と口元を緩めてくれた。

 なんとお優しい方なのだろう。もはやナイ殿は星女様なのではないだろうか?



「ありがとうございます。それより長旅でお疲れですよね? すぐに城に向かいましょう」

「ではお願いします」



 御者に指示をだし、城に向かう。

 跳ね橋を越え、城内に入ると中庭で練兵を行う兵士達がチラリと見えた。

 その者達は手に木杖を肩に担ぎ、運動会の行進よろしく歩調を合わせながら歩いている。だが運動会のような浮ついた空気はなく、監督役の騎士が殺気を露わにしているし、兵達はそれを恐れるようにビクビクと行進していた。



「あれは何をしているのです?」

「練兵です。税の支払いの滞った者に兵役を命じておりまして、その訓練です」

「そうなのですか」



 物珍しそうに練兵を見守るナイ殿は歳相応の女の子のように目を輝かし(糸目だからそう感じるだけだけど)ていたが、ふと視界に入ったモノに肝が冷えた。

 まだナイ殿は気づいていないが、俺の視線の先には土気色の少女に指南される数人のオークが映っていた。

 ヤバイ。ネクロマンシーの練兵中だ。まずい。まずいまずい。教会にとってネクロマンシーは禁呪! それをナイ殿に見られる訳にはいかない。



「な、ナイ殿!」

「はい?」



 しまった。話題がないぞ。基本コミュ障だから女性との会話なんてパッと思いつかない。

 どうする? どうする?



「あー。その――」

「どうかされました?」

「そ、その、今日はお日柄もよく」

「はい? 確かに天気は夏らしくて良いですね。」



 ダメだ。壊滅的に会話が続かない。



「し、主もナイ殿のご来訪を祝福されているようですな」

「……カレン様。みだりに主の名前を唱えてはなりません。それに何か誤魔化そうとしているようですが、主は全てお見通しですよ。何より貴方は今、主の御名を使って隠し事をしようとしている。その事実は貴方の心に残り、誤魔化すことはできません。それでもまだ主の御名を使われるのですか?」

「それは――。申し訳ありませんでした。いや、違いますね。これは貴女に謝るのではなく、主に悔いねばなりませんね」

「その通りです」



 ナイ殿は法衣のポケットから星書を取り出すと五芒星を切る。それに習って俺も簡易礼拝をすまし、手を合わせた。



「告解します。俺はみだりに主の御名を唱えてしまいました。それを今、悔い改めます」

「告解を聞き入れましょう。天の星々の名において貴方の罪を許します。汝に星々の恩寵があらんことを――」



 静謐に満ちた祈りが馬車の中に響く。俺は一体なんと恥ずべき行いをしたのだろう。

 これは猛省せねばならない。数ヶ月ナイ殿と会わないだけで自分がこれほど堕落しているとは俺を救ってくれた彼女に――。いや、主にも申し訳がたたない。

 ここは心機一転し、心を入れ替えて修行に取り組まなくてはならないな。


 ――ドンドン。


 気づくと馬車が止まり、扉が叩かれる。

 まったく、決意を新たにしているというのに。



「どうした?」



 すると前ぶりもなく馬車の扉が開き、ツバの広い三角帽子(トリコーン)に新式練兵に併せて導入した真っ赤な軍服を着込んだイトスギが死んだ魚のような目で睨んできた。いや、実際に死んでいるのか。



「ちょっと暑くて練兵にならないんだけど」

「は? お、おま!? なにやっとんのじゃ!?」

「いや、冗談抜きで暑すぎて体が溶けそうなんだけど。それにオーク連中ときたらネクロマンシーはおろかそもそも魔法の適性自体ないというか――」

「ばッ!? お、おお、お前ェ!!」



 そこでイトスギも馬車の同乗者に気づいたらしく、土気色の肌を青くする(血が流れている訳ではないので実際に青くなったわけではないが、そう見えた)。



「そ、それではご機嫌よう」

「お、お前! あー! もう、くそ! ふざけんな! お前な! お前! くそ、死ね! いや、もう死んでるのか!?」



 その時、「カレン様」という呼びかけにギチギチと音をたてるようにナイ殿に振り返る。

 そこには相変わらず表情に乏しいナイ殿がジッと俺を見つめており、胸がドキドキと高鳴る。お、収まって。お願いだから収まって。



「この方――」

「な、ナイ殿! 違うのです。彼女は確かに異端ではありましたが今はそれを悔いており――」

「イトスギ様ですね。初めまして。この度、教皇庁より魔族国における宣教活動の主任司祭として派遣されたナイと申します。義兄上から貴女様の話はかねがね」



 「義兄?」と二つの間抜けな返事にナイ殿が頷く。



「お二人とも教皇庁にて義兄上にお会いしていると聞いております。マータイ司祭ですよ。教皇猊下の側近をしている――」

「あー。思い出しました。そう言えばどことなく似てましたね」



 そうか。あの司祭殿(マータイと言うのか、忘れてた)はナイ殿の兄君なのか。だから俺のような者が教皇猊下と面会出来たというわけだな。なるほど。



「あ、この話はくれぐれも御内聞にしてください。わたし、妾の娘なので面倒事が多くて……。そのせいでリーベルタースから離れて荒教会の守り役をしていたというのもあるのですが」

「そうなのですか。ご心中お察しします」



 つまりうちの王国に来たのも島流しのようなものなのかな? だからすんなりと話が進んだ訳だ。

 だが例えこれが左遷だとしても俺は嬉しい。

 なんと言っても命を救ってくれたばかりか俺を信仰の道に導いてくれた大恩人なのだ。そのような人に師事できるのだからこれに勝る喜びはない。

 と、いうかそのような大恩人を左遷させてしまって申し訳なくも思うが……。



「いえいえ。それより義兄上はカレン様が厚い信仰を以てイトスギ様を救われた事に感心しておられました。それを見て自分はまだまだ未熟だと痛感させられたので修行に励まなくてはとも」

「そ、それはなんとも面はゆい。俺など神の道に目覚めて日が浅いにわか者でしかないのに……」

「時間は関係ありません。長く修行したから偉いという訳ではないのです。大切なのは主を信じる心ですから。ですから義兄上のお心を動かされたカレン様はもっと胸を張ってください。こういう言い方は恥ずかしいのですが、一番弟子である貴方を誇らしく思っているのですよ」



 なんだかくすぐったい。

 だが誰かに認められているというのはとても心地よいな。

 前世じゃ、引きこもりニートだったからこういう風に誉められたことなかったな。ニートになる前の短い社会人人生じゃ怒鳴られてばかりだったし。



「ところで――」

「はい、なんでしょうか?」



 それはまさに晩ご飯はなんですか? というようなとても自然な口調だった。



「イトスギ様は信仰に復したのではなかったのですか?」



 カラッとした日差しが降り注いでいるはずなに体感温度が一気に下がった。



「教会にとってネクロマンシーは主の御業を愚弄する禁呪。ですが先のお言葉ではまるでその禁呪を教えているように聞こえたのですが?」



 気のせいでしょう? で済む話ではない。

 ダメだ。もう誤魔化せない。



「こ、告解しても?」

「うーん……。ネクロマンシーは禁呪ですからねぇ。告解すれば済むというお話ではないかと」



 だ、ダメなの? まぁダメだよね。異端だもんね。

 でも俺の計画を押し進める上でネクロマンシー技術の普及は絶対だ。ならば――。



「では免罪状を買いたいのですが、リーベルタースに行かねば手にはいりませんか?」

「ご心配なく。こんな事もあろうかと積み荷の中に全てのランクの免罪状をたくさん持ってきているのでこの場にて罪を清めることができますよ」



 じ、準備のよろしいことで……。だが金で問題が解決できるのなら安いものだ。

 これで安心して計画を推し進められる。



「ちなみになのですが、どうしてネクロマンシーを? もしかして復讐と関係が?」

「えぇ。まぁ……」



 もう遅かれ早かれ事は露見していただろうし、この際、一切合切をナイ殿に見てもらうのが早いか。

 その上で罪を悔い改めよう。



「イトスギ。練兵をナイ殿にお見せしよう。すぐに準備してくれ」

「えー。でもまだ碌にネクロマンシーなんて使えるオークはいないよ」

「お前がいるだろ」

「私達が!? もう暑くて限界なんだけど。早く涼しい城の地下に戻らせて」

「ここは譲れん。やれ」

「……はぁ、分かったよ。その代わりお風呂の用意をよろしくね」

「かまわん。好きなだけ入るが良い。準備させとく」



 「了解」と馬車を離れるイトスギを見送る。まぁ彼女が一々『暑い、暑い』と愚痴るのは気に障るが、彼女にとって気温の高さは死活問題だ。

 だって放っておくとイトスギの体が腐敗してしまうのだから。

 俺は初めて肉というものは腐ると溶けるのだと知った。知りたくなかったけど。

 だから彼女がいう『暑くて溶ける』は”冗談”ではなく”警告”なのだ。文字通り溶けるという……。それに部屋に死臭が染みついて抜けなくなり、やむなく封印した部屋もある。

 いや、彼女の保存について気を回さなかった俺のせいだけど。

 だからイトスギの体に関しては細心の注意を払う必要があり、彼女が望むのならいつでも防腐剤をぶち込んだ風呂を用意してやっていた。



「ではナイ殿。こちらへ」



 馬車を降り、ナイ殿の手を引いて練兵場に向かうと数人のオークがイトスギを遠巻きに見ていた。そのオーク達も彼女と同じ赤色の軍服を着ており、一目で彼女の部下だと分かるようにしていた。ゆくゆくは全軍で同じユニフォームが配布されるが、まずはネクロマンサー隊のみだ。



「では始めろ」



 イトスギが頷くと足下に散らばっていた複数人分の骨に向かって呪文を紡ぐ。

 それらは元々、選抜されたオーク達用に集められた白骨死体であり、練習台になっていたものだ。猿獣人の白骨死体は戦場に行けば簡単に手に入れることができたのでそれを利用している。

 そうした骨達はイトスギの魔法によりカチャカチャと音をたてながら人としての形を取り戻していった。



「これがネクロマンシーですか」



 息をのむようにナイ殿が珍しく目を見開いた。おそらく初めて見たのだろう。俺も初めて見たときは己が目を疑ったものだ。

 決して動きようのない無機物がまるで生物のように動いているのだから。



「ナイ殿。これが、俺がネクロマンサーを増やそうとしている理由です」



 軽く頷くとイトスギは「整列」と命令を発する。

 するとぼんやりと立っていた骸骨――スケルトン達が横一列に並んだ。



「右向け右!」



 イトスギの号令に従い、スケルトン達は一糸乱れぬ動作で足を滑らせて九十度右に回転する。



「前へ進め!」



 骨をこすり合わせながらスケルトン達は歩き始め、「止まれ」の号令で一斉に立ち止まった。



「ナイ殿。どうでしょう?」

「……え? どうでしょうと申されても……」



 ナイ殿の困惑も分かる。これだけでは確かにスケルトンで人形遊びをしているようなものだ。



「ナイ殿は星職者ですからピンと来ないかもしれませんが、もしこのスケルトン達がクロス・ボウを持っていたとします。それを一人の号令で十体のスケルトンがクロス・ボウを斉射する。言うは易しですが、感情を持った人であれば眼前に敵が居る状態では冷静に行動できないものです。なんといっても殺し、殺されるの状況ですからな」



 死を前に人は必ず恐怖する。その恐怖を克服するには数多くの修羅場をくぐり、胆力を身につけねばならないだろう。

 そうした存在が傭兵だ。だが傭兵は雇うのに金がかかるし、何より裏切る可能性もある。

 だがスケルトンであれば恐怖も感じないし、術者が離反しない限り裏切らない。

 何より術者一人を教育すれば複数の兵士を操れるのだ。数を揃える上でこれほどの策はない。

 まぁ、難点をあげるとすればその術者の育成だ。そもそもオークは魔法を扱うのが苦手な種族であり、薪に火をつけるとか、雑巾を濡らす程度の魔法しか扱えない者がほとんどだ(稀に攻撃魔法を習得できる者もいるにはいるが、貴族でもそんなこと出来る者は少ない。俺も扱えないし)。



「もっともイトスギの受け売りですが、ネクロマンシーにも弱点はあります。複数体を別々に操ることが出来ないのです」



 簡単に言えば複数のコントローラーが並んでいても操れるコントローラーは一つだけという話だ。まぁ鍛錬すれば二つのコントローラーを同時に操れる玄人もいるだろうが、イトスギは「私達でも無理」と言っていた。



「ですがこうして複数体に同じ動作をさせるだけならなんら問題ありません。ですので複数体のスケルトンが同じ動作をすることで効果を発露する戦術を取ればカバー出来る弱点と言えます」

「それが……。スケルトンを複数体集めて弓兵隊を作る、ということですか?」

「弓兵……。とは違うのですが、理想は飛道具も近接武器も兼ねる新兵器をスケルトンに装備させ、それを集団で運用することですな」



 そのヒントはナリンキー商会の倉庫に眠っていた大砲だ。

 あれを小型化し、一人(一体か?)で運用出来るくらい小さくすれば銃となる。

 それをスケルトンの軍勢に装備させれば短期間に傭兵より安く大動員できるはずだ。



「そんな武器があるのですか?」

「今、ノームを招聘して研究中です」



 ナリンキー商会から大砲を買い入れ、それを元に鍛冶に長けたノームを集めて大砲の国産化と銃の開発、それと火薬の研究も行っている。

 まぁいつ実を結ぶか分からない事業だし、やたら金がかかるせいで城を売ったり増税したりでオルク王国の財政は火の車だ。その上、リーベルタースでナリンキー殿からお金を借りたことや教会建立に反発する家臣も多くて困る。

 中には十年後のオルク王国を潰すつもりかと叱責する狼藉者も居たが、十年内に猿獣人を絶滅させられるのなら国が潰れようとかまわないので物理的に消えてもらった。そのおかげで教会の土地も確保出来たので万々歳だ。



「ナイ殿。告解します。俺はネクロマンサーを増やして戦を起こし、父上と母上の、そして猿獣人に殺された同胞の仇を討つために教会の法を犯し続けます。そのような愚かな俺を、どうかお許しください」

「……告解を聞き入れましょう。如何に罪深き事も許されないことはありません。そう、全て主が望まれたことなのですから許されない罪などないのです。禁呪の行使も、死者への冒涜も、貴方の復讐も。その全てを天の星々の名において許します。汝に星々の恩寵があらんことを――」



 ただ深く、深く。(こうべ)を垂れ、胸の前に五芒星を切る。

 主よ。どうか罪深き俺達を許したまえ――。


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