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ブーン達には二人が話している内容が全く理解できなかった。
遠くで小さな灯りが二つか三つ、左右に揺れながらこちらへ近づいてきている事に気がついた時、これから何をしようとしているのかそれに気がついて三人は血の気が一気に引いていく感覚に襲われた。
( ´_ゝ`)「殺す気だ。殺す気なんだ。あの二人は、良くはわからないがこちらへ寄ってくる人を殺そうとしている」
ウトジャの顔色は闇の中で確認できないが、きっと蒼白であっただろう。
声に力はなく、最後に残った理性だけで震える声を小さく絞っている。
(´∀`) 「灯りはいくつだモナ」
( ^ω^) 「五つ、六つ、たぶん七つだお。まだ後ろにもあるかもしれないけど、今見えるのはそれだけだお」
( ´_ゝ`) 「仮に、仮にだ。最低の人数の七人だとして。こっちは八人。実際そのうちの六人はただの素人。もしも、向こうもこちらを襲う気だとしたら」
ブーンとモナーは山で修行をしていた。素人相手なら負けない自信は十分に持って村を出た。
だが、今この状況でそれを自分達から口にする事はできなかった。口の中は乾ききり、ひたすら明かりが七つ以上増えないよう
祈りながら遠くを眺め続けていた。
ウトジャの呼吸は見る間に早く浅くなり、無言の間に響くのは息を吐く音だけだった。
一向の異様な空気に一番後ろの三人組が不安そうにあたりを見回す。
イヨウとニンジャの会話はブーン達の位置では聞こえたが、さらに後ろの彼らの耳までは届いていなかっただろう。
しかし、誰も彼らに今の状況を教えようとはしなかった。
向かってくる七人が近づくと、イヨウとニンジャは隠れる事をやめていた。
( <●><●>)「イヨウだな」
木の影から現れた人影がイヨウだと分かるかどうかの距離で、背の低い男が早口で問う。
(=゜ω゜) 「そうだよ」
同じように早口で答えると、場は見る間に凍りつく。
( <●><●>)「おい」
男の周りを囲むように六人の男達が陣取った。
全員が斧と松明を手に持ち、小さな明かりに品のない笑いを浮かべている。
( <●><●>)「分かっているだろう。長いものには巻かれるのが商人。でもお前はそうしなかった。だから、こうなる」
(=゜ω゜) 「いや、違うよ」
イヨウはこの場でもいつもの調子で答えると、大きく息を吐く。
(=゜ω゜) 「違うよ、全然違うよ。君だって違う」
ブーンはその口調に、イヨウの感情を始めて感じ取った。
(=゜ω゜) 「僕らは、商人じゃない。商家の騎士だろ。六位のテマスさん」
( <●><●>)「大して違わないさ。金儲けが第一の連中だろう」
(=゜ω゜) 「やっぱり、あなたと話したって無駄かな」
( <●><●>)「全くだ。商人の次男に生まれたんだ。家も継げないのならば、一生長男の下で働いていればよかったものを」
テマスが右手を上げると周りの男達がすぐにでも走り出せるような姿勢で斧を持つ手に力を込める。
( <●><●>)「分不相応に騎士になるから、早死にをする。いや、なったとしても和を乱さなければこうはならなかったろうに」
(=゜ω゜) 「和なんて言うけどね。あれはただの談合でしょう。たくさんあるものを無いって言って価値をあげたり、自分の息の掛かった商人や騎士にだけ甘い汁」
ニンジャが音を立てずにイヨウの前に出た。
(=゜ω゜) 「挙句、人がせっかく作った黄札を二束三文で買ってやろうってさ。どうかしてるね、本当に」
( <●><●>)「売っていれば良かった。そうすればこんな所で死ぬ事にもならなければ、便宜もはかってもらえた。五位以上だって有り得たかもわからない」
(=゜ω゜) 「こんな腐った体制で、恵んでもらった五位なんて自力で上り詰めた七位に万倍も劣るよ」
テマスが右手を勢い良く振り下ろす。六人の男が一気にイヨウ目掛け走り出した。
( <●><●>)「優秀な奴程早く死ぬんだ。優秀な奴程頭が悪いらしい。誰かが言ってたな、今は何位だったか。」
ニンジャが同時に走り出した。
ブーンは身を隠すため腰を低くしながらも、できる限り素早く走り出せる体勢でじっとしていた。
両腕はモナーとウトジャの襟首をしっかり掴み、後一瞬でも間があれば腰を上げ振り返っていただろう。
しかし、すぐにブーンは恐ろしかったあの灯りが徐々にその勢いを失っている様に目を奪われていた。
戦いがはじまったらその隙に、二人を引きずってこの場から逃げるつもりだった。
勝てるわけが無いのだからこんな所で死ぬわけにはいかない。
ニンジャやイヨウが注意を引いている間にできるだけ遠くへ。
この暗さなら逃げ切ることだって難しくはないだろう、そう考えていた。
だが、ブーンが二人の首を引っ張るように腕を引き、立ち上がり反転するよりも先に、ニンジャは一番前にいた男を斬り捨てていた。
男の体から出ていく血はブーンが思っていたよりもずっと多かった。そんな事を考えている間に、ニンジャは二人、三人と相手を減らす。
四人目からは足は止まり、何人かは背を向けて逆方向へ走り出した。
ほんの数分後には、斧と灯りを持った男達は全員地面に転がっていた。
少し離れたところからテマスの悲鳴が聞こえた。
(=゜ω゜) 「ご苦労様。嫌な事をさせたね」
声の聞こえた方から近づいてくる人影にイヨウは変わらない調子で声を掛けた。
|/゜U゜| 「構いませんよ。ただ……」
転がる灯りに照らされたニンジャは、刀を二度三度振って血を払ってから鞘へ納める。
その慣れた手つきは、暗にこんな状況が何度もあったのだと物語っている。
|/゜U゜| 「刀と帷子を洗いたいのですが。このままでは少し」
ニンジャは全身返り血で真っ赤に染まり、強烈な血の匂いを放っている。
青年達は必死に嗚咽を堪えていた。
(=゜ω゜) 「そうだね、じゃあ少しだけ遠回りだけど川の方へ進もうか」
イヨウがまた先頭を歩き出す。それからすぐに振り返った。
(=゜ω゜) 「みんな、怪我はないかい?」