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ブーンが兵士になるようです  作者: カジ
一話
3/50

1-3

(´∀`) 「字、書けるみたいだモナ」


青年は質問に答えをすらすらと紙へ書いている。


( ^ω^)「結構売りになると思ったんだけど、そうでもないかもしれないお」



(´∀`) 「村の外じゃ読み書きなんて当然なのかもしれないモナ」



( ^ω^)「でも、あの人は褒めてくれたお」



(´∀`) 「嫌味かもしれないモナ。こんな貧しそうな村で読み書きできるなんてには珍しいって事なんだモナ」



( ^ω^)「確かにここは……裕福な街なんかとは比べ物にならないお」



兵士に学は求められない。ただ騎士や家を守るための刀と盾にさえなる事ができれば十分であった。

だが、ただの兵士で終わるつもりがなければ、読み書き計算はある程度できなければ全く先が見えない時代でもあった。

出世を考えなくとも周囲に見栄を張りたがる公家、徹底した実力主義の商家、

自分達にとってこの二つなら兵士になるのは難しい事ではないと考えていた。そして今実際にこの場に来ている。

だがその期待は今、村の外から来たたった一人の青年に打ち砕かれていた。




(=゜ω゜) 「よし。それじゃあ行こうか」


全員に簡単な質問を終えると村長の屋敷の場所を尋ねられた。

モナーが答えると、その場でしばらく待つよう伝え、二人は教えられた場所の方へ早足で消えていった。

それから一刻から二刻後、戻ってきた後の第一声であった。


(=゜ω゜) 「君達は今日の今から私の家で一緒に働いて暮らしていくわけで。あぁ、肩書きは兵士なんだけど私はあんまり規律とかは重く見ていないからね」


両手を大げさに振り回しながらこれまで黙っていた男が、休み無く一気に話し続ける。


(=゜ω゜) 「気楽に、気楽にいこう。いやまず、兵士見習いってことになるのかな。うん」


そこで初めて話しを止め、一度ゆっくりとした呼吸を入れた。


(=゜ω゜) 「私はイヨウ、商家七位のイヨウ家の主だよ。よろしくね。それから彼がニンジャ。僕なんかより何倍も腕が立つからね。その辺りは僕より彼に教えを請うのが正しいとおもうよ」


|/゜U゜| 「よろしく頼む」



村を出た時、既に日はやや傾いていた。

六人の青年達は誰も欠ける事無く、イヨウの後について歩いている。

進む方角は常に西。人の往来よって作られた道からは大きく逸れる事はないが

しっかり整備された道はまだ一度も通っていない。


(=゜ω゜) 「少し休憩にしよう。君達も疲れてきただろう」


日は村を出た頃よりも大きく傾き、空もやや赤みを帯び始めていた。

大きな川に簡素な橋がかけられている。それを渡らずにイヨウが振り返った。

川は浅いところならば底が見える。

川べりだけが茶色い土がむき出してやや不自然さを感じさせたが、ここまで休みなしで歩き続けていた青年達は

それよりも喉を潤したいと川の淵へ向かう。


( ^ω^)「もう足が棒だお」


( ´_ゝ`)「あの、お屋敷までの道程は残りどの位なんですか」


(=゜ω゜) 「そうだね。このまま道なりに歩き続けていれば朝には到着するさ」


(´∀`) 「朝まで……」


(=゜ω゜) 「だけど、朝まで歩き通しなんてさすがに厳しいだろう」


( ´_ゝ`)「えぇ、まぁ」


(=゜ω゜) 「だから朝は屋敷の中で迎えられるようにしようか。うん、そうしよう」


( ^ω^)「……どういう事だお」


(=゜ω゜) 「あっ。それから、そこの川の水は絶対に飲んだらいけないよ」


ブーン達は両手に水を掬い、この話しが終わり次第それを口へ含もうとしていた。


(=゜ω゜) 「どうもねぇ、上流での方の街が胡散臭い事をやってるらしくてね」


ニンジャが腰に下げていた皮袋から小さな水筒を出し三人で分けるよう言いながらそれを配った。


(=゜ω゜) 「薬だか毒だか何を作ってるのかわからないけど。まぁ、とにかく飲んだらダメ。精神がえらい事になってしまう」


( ^ω^)「……ゴクリ」


(=゜ω゜) 「何かに使った水をそのまま川に垂れ流してるそうだよ。だから口に含むのもあんまり良くないね。まぁ唇を湿らすくらいにしておきなさい」


(´∀`) 「世間こえぇ……」


短い休憩が終わると、空のほとんどが赤く染まっていた。




( ^ω^)「ブーンだお」


(´∀`) 「モナーだモナ」


( ´_ゝ`)「ウトジャです」


西へ進み続ける一行は三つの塊に分かれていた。

一番前へイヨウとニンジャ、その後ろへブーンとモナー。そこへ先ほどの休憩からウトジャが加わった。

最後にブーンの同郷の三人組が続く。

休憩中は足が痛いだの、イヨウの言っている意味がどうのだのと話し合っていた。

休憩が終わり、再び歩き始めてから自分達が名前も知らない事に気がついた。

そうして簡単な自己紹介をしながら三人は前の背中から離れすぎないように、疲れた足を前に進める。


( ^ω^)「ウトジャは後ろの三人の名前聞いたかお」


( ´_ゝ`)「いや、まだだけど。なんていうんだい? 多分君達と同じ村の出なんだろ」


(´∀`) 「そうなんだけど……、モナー達はちょっと同年代に友達が少ないんだモナ」


( ´_ゝ`)「まぁ、小さな村ってわけでも無いようだけど。名前を知らないってのも珍しい気がするね」


( ^ω^)「顔くらいは知っているんだお。村の行事なんかで何度か見ているんだお」


(´∀`) 「でもモナー達は小さい頃からあんまり遊ばせてもらえないで、ずっと家の中で勉強だったんだモナ」


( ^ω^)「小さい頃はずっと勉強。大きくなったら勉強と仕事。兵士になるって決めた後は山で鍛錬」


(´∀`) 「接点なしだモナ」

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