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ブーンが兵士になるようです  作者: カジ
四話
19/50

4-2


(^ω^ )「やっぱり、このお店は広いお」


ブーンが商品が来るまで、暇つぶしに店を見回す。

広い店内を沢山のモノが埋め、その間を縫うように丁稚や下働きが駆けている。

奥からは度々怒鳴り声が聞こえてくる。商人とはいえ、中央通りに店を構える程になるとやはり、騎士に仕えるのと大差のない厳しさがあるのだろう。

むしろ、ここで働く者達の目はブーンと同じ屋敷で働く者達よりもずっと必死さが伺える。


lw´- _-ノv「あなたは騎士様?」


不意に掛けられた言葉にブーンは、何よりもまずトゲトゲしさを感じた。


lw´- _-ノv「私騎士が嫌い。何より嫌い」


声のした方には野菜や果物を持った女が立っていた。


(^ω^ )「おっおっ。ブーンはただの馬房守ですお。下っ端ですお」


ジッと目の奥まで貫くように睨み付けてくる女に言った。


lw´- _-ノv「そうなの? じゃあそんなに嫌いじゃないわ」


女の目から力が抜けていった。落ち着いて見ると女は、恐らく美しい部類に入るのだろう。

化粧をしているわけでも着飾っているわけでもない。どちらかといえば、見た目には無頓着に見える姿をしていたが、顔立ちは悪くなかった。


(^ω^ )「もしブーンが本当に騎士だったら、斬られていたかもしれないですお。ブーンはあまり優しい騎士を知らないですお」


lw´- _-ノv「そうね。でも私は嫌いなの」


ブーンが大きく息を吐いた。ニシカワを同じように息を吐く。最近はよくブーンの行動を真似るようになっていたが、今は気にしない事にした。


(^ω^ )「どうしてそんなに騎士が嫌いなんですかお?」


lw´- _-ノv「この国は腐敗しているじゃない。その原因は騎士のせいでしょ」


(^ω^ )「腐敗、ですかお? 少し、詳しく教えて欲しいですお」


lw´- _-ノv「あら、こんなのそこらの子供だって知っているじゃない」


ブーンの真面目な顔に女は驚いた様子だった。


(^ω^ )「ブーンはちょっとした事情で、山奥で暮らしている職人なんかより世間の常識に疎いんですお」


女が少しだけ笑う。声にも表情にもほとんど出さなかったが、少しだけ雰囲気が明るくなる。

それを隠すように女は商品をブーンの前に出した。


(^ω^ )「また来ますお」


ブーンは何度か食い下がったが女は仕事が忙しいと、結局続きを話そうとはしなかった。

強引に荷物を渡すと奥へ引っ込む。それを見てブーンはニシカワに声を掛けて屋敷へ向かって歩きだした。


▼・ェ・▼「仲良くなれそう?」


不意に声を掛けられ女がびくりと体を揺らす。


lw´- _-ノv「誰とですか」


男が意味ありげに笑う。


▼・ェ・▼「ブーン君とシューがだよ。見たところ歳も近そうだし話しも合うんじゃないのかな」


lw´- _-ノv「あの人は山暮らしの職人よりものを知らないので。話は合いません」


話し方に普段より感情が込められているのを感じ、男がまた笑う。


▼・ェ・▼「そうなの。じゃあ色々教えてあげたらいいのに」


lw´- _-ノv「ビイグル様」


▼・ェ・▼「はい何でしょう」


話が終わる前に口を挟む。ビイグルと呼ばれた男はすぐに応じ、続きを待とうと口を閉じた。


lw´- _-ノv「私がこの店で浮いているからか、騎士が何より嫌いだからかわかりませんが。あまり気を回していただかなくて結構ですので」


ビイグルは少しだけ難しい顔をして、考え込む素振りを見せる。


▼・ェ・▼「でも心配でね。文字やら数字を使う仕事は誰よりできるのに、将来は商人になりたいってわけでもないんでしょう?」


▼・ェ・▼「私もご両親に色々言われて預かったけれど、個人的には他に大事なこともあると思うんだよね」


ビイグルが髪を掻きながら話す。終わる頃には髪はボサボサになっていた。


/^o^5\「ちょっと、ご主人」


見なりの良い中年の女が、装飾品をまとめた一角で手招きをしている。


▼・ェ・▼「あぁ、行かなきゃ。うーん。まぁ、私が言いたいのは全部シューのやりたいようにやったらいいよって事」


lw´- _-ノv「良くわからないんですが……」


声の方へ歩き出したビイグルは、背中ごしに腕を挙げて答えた。


▼・ェ・▼「彼、いつも三日くらいでまた来るからさ、今度はもう少し相手をしてあげたらどうかな」


▼・ェ・▼「金だの家だの出世だの、それから体面なんかも気にしないでいい人が近くに一人ぐらいいるといいと思うよ。うん」


lw´- _-ノv「考えておきます」


シューが小さくため息をついてから答えた。


▼・ェ・▼「そう。なら明日中がいいかな。実はね、いつもより少なめにしちゃったんだ、彼に渡すの。だからきっと明後日には、また来るよ」


振り向いて笑う顔は少年の様だった。


/^o^7\ 「おぉ、買い物かい」


屋敷の前まで戻ると、手を振りながら男がブーンの方へ小走りで近づいてくる。


(^ω^ )「そうですお。七号さんは騎士さんと一緒じゃ無いんですかお?」


/^o^7\ 「俺はちょうど使い走りが終わったとこだ」


ブーン何かを思い出した様に「あっ」と呟く。


(^ω^ )「そういえば、この街じゃ騎士は嫌われているんですか?」


七号が目を見開いてブーンを見つめる。


/^o^7\ 「ん、知らなかったのか」


いきなり質問した事よりも、その内容に驚いたような話し方だった。


(^ω^ )「え、やっぱりそうなんですかお。今日そんな話しを聞いたんですお。でもあまり深くは教えてもらえなくて」


/^o^7\ 「そうだろうな。まぁ、ここはまだマシな方だな。住んでる大抵のやつは難しい立場だからなぁ」


七号が周囲の屋敷をぐるりと見渡す。

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