3-4
(´∀`) 「参ったモナ……」
モナーが仰向けに倒れこんだ。
|/゜U゜| 「悪くなかったぞ。ただ、型も何もあったものでは無いな」
モナーの近くにはブーンが寝転がり、そのすぐ横にはオトジャが壁に体を預けて座り込む。
全員の胸が爆発しそうなくらいに膨れては、背と付きそうなくらいに萎む動きを繰り返す。
|/゜U゜| 「オトジャ」
( ´_ゝ`)「はい」
|/゜U゜| 「お前だけ何か少し違う感じがするな」
( ´_ゝ`)「えぇと……、何がでしょうか」
|/゜U゜| 「お前はあまり体格には恵まれていない。それでも先ほどの刀の扱いはまるで、力自慢のそれだった。それと、めちゃくちゃではあるが。何か、決まり事でもあるかのような動きだったな」
三人を立て続けに相手をしただけあって、ニンジャの息も多少乱れ、話の間に何度か呼吸が割り込んでいた。
( ´_ゝ`)「あぁ、そうですね。確かにそうです」
オトジャも大きく呼吸を間に挟む。極力失礼の無い様体を起こそうとするが、ほとんど背中は壁から離れなかった。
( ´_ゝ`)「私が参考にしているのはそういう人でした。まさに、力任せに武器を振り回すような人ですね。他に参考になるような人がいなかったので」
|/゜U゜| 「そうか。それとブーンとモナー、お前達は、ほとんど同じだな。どんな状況でどんな手を出すか、良く似ている」
ブーンはなんとか首を壁に引っ掛けて、ニンジャを視界に入れた。
( ^ω^)「そりゃそうですお。ブーンとモナーは他に参考にできるような人も、手合わせできるような人もいなかったですお。いっつも、二人で棒切れをもって打ち合うくらいしかできませんでしたお」
|/゜U゜| 「そうか。それでこれ位できるのなら筋は良い様だな、これまで何度かこういった事をしてきたがやはりお前達はなかなか見所はあるかもしれん」
(´∀`) 「本当モナ?」
|/゜U゜| 「あぁ、私がしっかり教えればすぐに自分の身くらいは守れるようになるさ。師もいないのにそれだけ出来るのだからな」
(=゜ω゜) 「準備できたよ」
不意に聞こえてきた声の方で、イヨウが細い木の枝を持って道場の中を覗いている。
|/゜U゜| 「それじゃあ次だ」
( ´_ゝ`)「次?」
|/゜U゜| 「今度はお前達の頭が、どの位かを見せてもらわないとな」
(=゜ω゜) 「そうだよ。そうしないと何から初めていいかわからないからね」
イヨウが説明しながら、枝で空中に円を描く。
(´∀`) 「今……、すぐモナ?」
モナーが少しも動きたくないという調子でかすれた声を絞り出す。
(=゜ω゜) 「明るいうちの方がいいね。でもほら、もう空が赤いね」
イヨウの口調は変わらないが、急かされた三人は覚悟を決めて力を振り絞り立ち上がる。
(=゜ω゜) 「こっちこっち」
それぞれがニンジャに挨拶をして道場を出る。すぐにイヨウは足を止めた。
(=゜ω゜) 「じゃあ始めようか」
三人が立っているのはなんて事の無い屋敷の庭だった。
これまでに何度も通った、イヨウの部屋から出てすぐで場所。厩もすぐの位置に在るので、いつも獣のにおいが漂っているところだった。
(=゜ω゜) 「はい、一つずつね」
( ^ω^)「なんですかお?」
(=゜ω゜) 「枝だよ」
どこからかさっき持っていたのと同じ様な枝をそれぞれに配る。
(=゜ω゜) 「じゃあ始めようか。足元にいくつか問題を書いておいたからね 」
言った通りに地面には文字が長々と書き記されており、それと同じものが両隣にも並んでいる。
(=゜ω゜) 「いやね、紙もなかなか安くなくてさ。悪いんだけど今日のところは、これで勘弁してね」
イヨウが両手を顔の前で合わせて笑っている。
(=゜ω゜) 「じゃあ、暗くならないうちに頼むよ」
そういうと三人が視界に収まる位置に腰を降ろし、子供が何かを期待するような視線を送る。
( ^ω^)「結構な量あるお……」
(=゜ω゜) 「良い。三人ともすごく良い」
( ´_ゝ`)「ありがとうございます」
隠すことなく感情を表すイヨウに、オトジャが少し戸惑いながら言った。
(=゜ω゜) 「単純な計算なら問題なさそうだね。あぁ、でもさすがに商人向けのは難しかったね」
地面に書かれた三人の答えを眺めている。
(´∀`) 「そりゃあ 他国の街の名産やら相場なんて知らないモナ」
( ^ω^)「はじめて名前を聞いた野菜の目利きの仕方だって分かるはずないお」
三人が頷くと、イヨウは笑顔で答える。
(=゜ω゜) 「でも正直いうとね、道場でニンジャとの打ち合い見てた時は不安だったんだよ。ニンジャやさしいからね。
あぁ言ってはいたけど、正直に言ったら素人と大差ないというよりそのものでさ」
三人の表情が曇ったがイヨウは構わず続ける。
(=゜ω゜) 「いやでもこれで安心だ。後は少し知識を頭に入れたら特訓だね。刀を握ってない時間の方が少ないくらいになるよきっと」
イヨウが立ち上がると小枝を放り投げた。
(=゜ω゜) 「とりあえず、一月後を目処に簡単な仕事の手伝いをお願いするね。慣れてきたら大きな仕事の手伝いや、小さな仕事は君達だけでって事になるかな。
あぁ、君達が一人前になって屋敷を留守にする事が増えたら募兵もしないといけないなぁ」
( ^ω^)「すでに兵士以外の仕事をさせる気だお」
(=゜ω゜) 「商人を守るために兵士を同行させるのと、自分の身を守れる商人とじゃ同じ事をしても掛かるお金が違うんだよね。人手不足のうちには一石二鳥だからさ。期待してるよ」
(´∀`) 「……商家兵士の道は険しいモナ」
(=゜ω゜) 「さぁさぁ、今日は疲れたでしょ。食事を済ませたら、もう休んで良いよ」
履物を脱ぎ屋敷に上がると、デレが濡れた手ぬぐい配る。
( ´_ゝ`)「ふぅ」
( ^ω^)「生き返るお」
イヨウがわざとらしい咳払いをして話し出す。
(=゜ω゜) 「できない事はこれから出来る様になれば良いし、知らない事はこれから憶えれば良いからね、うん。明日から大変だろうけど、頑張ろうね」
そう言って三人にやさしく笑いかける。それを見てデレも嬉しそうに笑う。